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SPRING BANK
Aged 10 years
Campeltown Single Malt
(Release 2017)
700ml 46%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅(サンプル@若手のNさん)
時期:開封後半年程
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:蝋っぽさと香ばしさを伴う麦芽香、燻したようなピートスモーク、灰っぽさ。ほのかにグレープフルーツを思わせる柑橘系のニュアンスもあるが、時間経過で麦芽香が主体的に。

味:口に含んだ瞬間はクリアで華やか、オーキーな黄色い果実を含むフルーティーさから、厚みと蝋っぽさのある麦芽風味、塩気を思わせる刺激が混然一体となって広がる。
余韻は強くはっきりとした主張。スパイシーでピーティー、舌に残る独特な麦感を伴い長く続く。

余韻にかけて度数よりも強めのアタックが感じられるが、らしい麦感と程よいオークフレーバーでバランスは良い。個性を出してネガを抑えた、完成度の高いオフィシャルスタンダード。
少量加水すると、麦感が強く主張してくるだけでなく余韻の刺激も収まりさらにバランスが良くなる。


昨年リニューアルした、スプリングバンクのオフィシャルスタンダード。
ラベルデザインが少々残念と感じるのはさておき、中身は旧ボトルの10年に比べて評判が良い模様。
まあ言うてもオフィシャルやし、酒屋で会えたら買うか〜くらいに思っていたのですが、縁がないのかそれだけ人気なのか、中々出会えない(笑)。
そんな中、昨年12月にウイスキー仲間とのサンプル交換をした折、やっと機会に恵まれました。

実際飲んでみて、これは確かにレベルが高いオフィシャルボトルだと感じます。コスパも非常に良いですね。
印象で比較するなら、旧ボトルで感じられた若さ、乳酸系のニュアンスがなくなり、らしい麦芽風味や華やかでフルーティーな樽感を主体に感じる構成となっていることが大きな違い。
余韻の強さで10年という熟成期間を認識させられるものの、熟成感も旧ボトルより増しているように感じます。


この理由を香味から推察すると、樽構成としてシェリー樽の比率を抑え、バーボン系の樽で熟成させた原酒を増やしたのではないかと推察。
スプリングバンクのシェリー感はサルファリーなモノが多く、旧10年ではそうした要素もバーボン系のオークフレーバーに混じって感じられましたが、この10年はその分の要素がなくなって後者の要素が強くなっています。
(使われなくなったシェリー樽原酒が何処にいったかは、写真の12年に寄せられたのではないかと予想しています。)

ウイスキー業界におけるオフィシャルリニューアルでは残念な結果を突きつけられる方が多いようにも感じますが、スプリングバンクのそれはウイスキー高騰の中で、スタンダードボトルに統一感とポジティブな変化が見られる、歓迎すべき動きだと思います。

(キャンベルタウンの港にて、夜明け前の1枚。近年オフィシャルを中心に明るい話題の多いスプリングバンク、2018年も期待したい。Photo by K67)