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WAKATSURU
SABUROUMARU
Hevry Peated
Aged 22 years
Distilled 1994
Bottled 2016
Cask type Bourbon Barrel
700ml 50%

グラス:サントリーテイスティング
場所:BAR飲み@Y's Land IAN
時期:開封後10ヶ月程度
評価:★★★★★(5-6)(!)

香り:ツンとした刺激、ハチミツや風邪薬シロップのような甘みのある樽香、若干のえぐみを伴うウッディネス、土っぽさ、奥からスモーキーフレーバー。

味:粘性のある重い酒質、駄菓子のパイナップルシロップ、シリアルのような穀物風味。スパイシーで後半からピーティーなフレーバーが存在感を出してくる。
余韻は牧場のような香りが鼻腔に。。。発酵したようなクセを伴うスモーキーさ。ほろ苦く長く続く。

開封直後は麦系の香ばしさやピートフレーバーが強かったが、ラスト1杯は酒質由来のクセの方が強く感じられた。ピーティーかつ洗練されてないクセのある原酒にスコッチ的な熟成感、ある意味で完成された富山の地ウイスキー。


今から約1年前、若鶴酒造が挑戦した蒸留所改修のためのクラウドファンディングが、目標とした2500万円を大きく上回る約3800万円を集める大成功。当初の計画に加え、新しい設備の調達も含めた改修プロジェクトとしてスタートしたのは記憶に新しいところ。
そして同時期、クラウドファンディング成功を記念し、同社が所有する原酒の中からリリースされたのが、今回の1本です。
リリース直後から何度か飲む機会があり、これは結構面白いリリースというのが自分の印象。Y's Land IANに介錯直前のボトルがありましたので、記録に残すことにしました。

若鶴酒造は60年以上前からウイスキー蒸留を行なっていましたが、改修前まではステンレス製のスチルに、密造時代を思わせるような手作業主体でウイスキーづくりが行われ、品質が安定しないところがありました。
そのため、これまでリリースされてきたブレンデッドやシングルモルトの評価は決して高くはなく、この三郎丸1994に期待した飲み手も少なかったとも思うのですが、これが冒頭述べたようにちゃんとウイスキーしてる熟成感に、地ウイスキーらしい癖もある、なんとも際どいバランス感が魅力と言える1本に仕上がっています。

(改修された三郎丸蒸留所の蒸留現場を建屋2Fから眺める。発酵槽、糖化タンク、銅製の蒸留器、そして右奥には熟成スペースのラックや樽も見える、他の蒸留所にはない独特な設計。改修前のウイスキーづくりについてはこちらを参照。)

三郎丸蒸留所では、日本のウイスキーとしては珍しい50PPMというピーティーなモルトを主体に製造を続けていて、今回のボトルもまたしっかりとピートフレーバーが感じられます。
それだけでクセのある原酒なのですが、上述の作り方からくる荒削りな要素が良い方向に作用すると、今回のように地ウイスキーとしてならこれはこれとして良いんじゃないか、と思える原酒が出てきます。

また、熟成庫兼用で酒粕用の低温貯蔵庫に樽を保管していた関係から、偶然にも湿度と温度が日本よりもスコットランドに近いところとなり、バーボン樽でも20年間かけても問題ない、じっくりと熟成が進んで今回の味わいが形成されました。
ある程度計算づくで綺麗で洗練されたウイスキーが作られる大手メーカーに対し、このように偶然が積み重ねって出来たウイスキーというのも面白いと感じます。

他方そんな経営者泣かせなウイスキーですが、クラウドファンディング達成から約1年、改修工事を経た今年7月の新生三郎丸蒸留所の操業で、新しい姿に生まれ変わろうとしています。
新しい原酒はこれまで感じられた、発酵香、硫黄香のようなネガティブなニューポッティーさが大幅に軽減され、それでいて個性の一つである重みのある酒質とピートフレーバーははっきりと。さらに上述の酒粕熟成庫と通常の熟成庫を併用することで、原酒の幅も持たせようという計画もあると聞きます。

今後の3年、5年とあるであろう短熟リリースも楽しみですが、地ウイスキー的な魅力を追求する中で、メインターゲットとなるのは今回のボトル。今から22年後の2039年、さらに美味しいウイスキーが富山の地から出来上がってくる事を期待しています。