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ICHIRO'S MALT
CHICHIBU
Whisky Talk Fukuoka 2017
Distilled 2011
Bottled 2017
Cask(1st) Bourbon Barrel
Cask(2nd) Bear Barrel
59.5% 700ml

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅
時期:開封後1週間以内
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:注ぎたてはバタークッキーのような甘いアロマが一瞬あるが、すぐにシトラスやレモンピール、あるいはグレープフルーツなどの柑橘類や、微かにハーブを思わせる爽やかなアロマ。ほろ苦いビール、乾いた麦芽香も開いてくる。

味:とろりとした口当たり、最初から柑橘やホップのIPA系の柑橘の香気やほろ苦い味わいが主体。そこにモルティーな香ばしさ、ピリピリとしたハイプルーフらしい刺激。ビールを思わせる香りが鼻に抜ける。
余韻はビターでグレープフルーツ、ホップの苦味が長く残る。微かにオークの華やかさも。

香味はビール感強く主体的。バーボンとビア樽、使われた樽同士が自然な感じに交じり合っている。若さゆえ荒い部分はあるが、嫌味な要素は少ない。
加水すると樽由来の個性がボケる印象。度数ほどの強さは感じないのでチェイサー片手にストレートで。

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今年の6月に開催された、ウイスキートーク福岡2017の記念ボトル。月と失われゆく動物#7 ツキノワグマ。
このシリーズは、環境省が定める「レッドリスト」に掲載されている、九州地方において絶滅の恐れがある動物をラベルにしたもので、リリースと共に欠けていく背景の月も特徴の一つ。
イベント関係者であるクラブバッカスの皆様により原酒の選定が行われた後、イベント当日購入希望が受け付けられ、10月に抽選、当選者への配送が行われたばかり。リリースされたてホヤホヤの1本です。
(博多のBAR Kitchen にて。月と失われゆく動物シリーズ#2〜6。徐々に月が欠けてきており、今作ツキノワグマの背景は"新月"。全てイチローズモルトの所有するカスクからリリースされている。)

今回使われたビア樽は志賀高原ビールのIPA樽。味わいはビール感6〜7:モルト感3〜4という程度で、柑橘系の爽やかさと苦味を連想させるIPA感が、過剰にならない範囲でしっかりと備わっており、ウイスキーらしいモルティーな味わいと共にバランスは良好です。
個人的な好みの話ですが、秩父のモルトのいくつかに感じられる余韻の苦手な要素が綺麗にマスクされているのもポイント。上述のバランスと合わせて、今までリリースされてきたIPA樽3作の中で、一番良い出来なのではないかとも感じています。
(ちなみに、先日リリースされたIPAカスクフィニッシュ2017の樽感とモルト感は5:5くらい。)

このウイスキーが持つIPA樽由来の爽やかさは、真夏よりもちょうど今の時期のような過ごしやすくなってきた気候の中で、昼間から飲むにはピッタリです。
IPA樽についてはその独特な香味ゆえに好みがはっきり分かれたり、まだまだイロモノ的な見方があるのも事実ですが、だからこそクラフトディスティラリーのように尖ったリリースが求められるメーカーがチャレンジする価値のあるジャンルの一つと感じます。

秩父にあっては今はまだベースとなる原酒の荒さ、若さがありますが、これが10年くらいの熟成を経た後でフィニッシュされたウイスキーの味わいはどうなるか。
創業初期の数年間と比較して味わいに厚みがで始めた、2012年以降の原酒が育っていく今後に期待したいところです。