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MORTLACH
"Special Strength"
2015's
For the Travel Retail Market
500ml 49%

【ブラインドテイスティング回答】
仕様:加水
原産:スペイサイド
熟成:シェリー主体、スパニッシュやアメリカンオークの複数タイプのバッティング
年数:15-20年程度
度数:48%程度
蒸留所:グレンファークラス
暫定評価:★★★★★★(6)

シェリー樽熟成を思わせる甘い香味。ドライプルーン、ブラウンシュガー、アップルパイ。濃いめの紅茶を思わせる渋み、乾いたウッディネスにリチャー系の焦げたようなニュアンスもある。
口当たりの粘性を伴うキャラメルのような甘みから、ピリっとした刺激、淡く徐々にローストした麦芽、アーモンド、焦げたトースト。余韻はややトーンが高くヒリヒリとした刺激を伴い、ほのかな草っぽさ、ほろ苦さが長く続く。

シェリー、バーボン、リチャーの有無。シェリー樽を中核としつつ複雑な樽感が感じられるウイスキー。複数タイプの樽が混ざり合う中で、しっかりとした酒質がバランスの良さに繋がっている。熟成感は中熟主体に幅広く、フレッシュであり落ち着きもある。
(ボトル全容。このシリーズは容量が減ってくるとラベルが見えづらい。。。)


モートラックが2015年にラインナップを一新し、ダフタウンの野獣というニックネームを纏って登場した際、通常ラインナップ3種と合わせてリリースされたのが、この免税店向けのスペシャルストレングス。最近は並行品が国内市場に入り始めたようです。
49%仕様でカスクストレングスというわけではなく、加水仕様ですが、通常よりも度数を高く調整することで、より原酒の個性を際立たせつつ、オフィシャルとしてのバランスを保つ狙いもあるようです。

実際に飲んで見た感じも、酒質由来のアタック、香味がしっかりと残っていて、飲みごたえがありました。体感的な熟成感は15〜20年程度の中長期熟成原酒を主体にしたイメージで、加水を少量に抑えているためか、香味のアタックに強さがあり、一緒にブラインドにトライしたウイスキー仲間は50%Overのハイプルーフを予想していたほどです。

特徴的なのはその香味の強さに加え、複雑な樽感。これも度数の高さに由来してか、スパニッシュ系のシェリー樽の香味を主体としつつも、リチャーオークの焦げ感やアメリカンホワイトオーク由来と思しきニュアンスなど、各樽の要素があまりぼやけることなく伝わって来ました。
テイスティングのとおりそれらのバランスがとれており、渾然一体となって楽しめるのは、様々な原酒を持って大量生産出来るオフィシャルならではの作りと言えるかもしれません。


そんなわけで今回のブラインド、各スペックだけ見ればかなり近いところまで絞り込めていて、テイスティング的には及第点ではあるものの、ここまできて蒸留所が出てこなかったのは不覚でした。
悩んで酒質的に強いグレンファークラスとしましたが、冷静に考えるとオフィシャル・ファークラスでこの手の複数樽バッティングがリリースされた記憶はなく。。。モートラックが選択肢にも出なかったのが悔しい(笑)。
前回のブラインド記事でもあと一歩絞りきれない状況でしたが、今回もあと一歩。この精度を上げることを目標としていきたいです。

今回の出題は神田のBAR Groovy の藤島さんに頂きました。楽しく分析出来ただけでなく、いい経験になる出題、ありがとうございました。