カテゴリ:
STRATHISLA
Gordon & Macphail
(Aged 56-57 years)
Distilled 1953
Bottled 2010
700ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅テイスティング会
時期:開封後1ヶ月以内
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:甘く濃厚で艶のある香り立ち。カラメルシロップを思わせる甘みのあるシェリー感。華やかに香るレーズンやデラウェアの葡萄香、微かにハーブ。時間経過でビターチョコのようなほろ苦さとドライなニュアンス。

味:まろやかでコクのある甘みのある口当たり。ミルクチョコ、ぶどうの皮、枝付きレーズン、徐々に染み込むようにドライなタンニン、ウッディネス。中間あたりで少し水っぽさも感じる。
余韻は華やかなウッディネス、カラメルソースの甘みとほろ苦さ、ドライベリーのアクセントが長く残る。

GM系のシェリー感に葡萄や微かにベリーを思わせる華やかさも伴う。くすんだ味わいはなく、加水調整で樽感とのバランスも良好な部類。他方時間経過でややドライさ、ウッディネスが前に出て、甘みの後退がみられる。ストレートで楽しみたい。


GMが数多くリリースしていた、ストラスアイラの長期熟成シングルモルト。このシリーズは同一ビンテージの複数樽をバッティングし、加水など各種調整を行なった上でリリースされていたため、共通してシングルカスクのような突き抜けた個性や樽感はなく、まったりと穏やかで、甘みの強いリリースがあれば、フルーティーなリリースもあるという、ある種安定感に優れたシングルモルトです。

特にシェリー感という点では、GMシェリーとも例えられるカラメルソースのようなまったりとした甘みが印象的。
1980年代後半あたりの蒸留頃まで、これでもかというくらい共通のニュアンスが存在していましたが、ところが最近は不思議なことにすっかりナチュラルカラー路線に・・・。今でもGMシェリー系のリリースは一部続いているようなので、過去形にしてしまうのは表現として適切ではないかもしれませんが、それらは総じて60年代頃のビンテージ、10万を超えた値付けが当たり前になってきてもう手が出ません。

今回のボトルはというと、やはり安定のGM系シェリーに、近年のスパニッシュオークでは決して出ないであろう、1960年代オールドシェリー系の華やかさと果実味が調和。50年の熟成を超えてなおくすまない甘みと、決して強すぎない樽感、この辺はバッティングもさることながら加水調整がうまく効いているようです。
今回のようなボトルを飲むと、ああGMだなあと、ある種安心感のようなものさえ感じてしまいます。

っていうか、まだウイスキーブームが本格的に到来していない2010年頃とはいえ、50年オーバーの原酒でそれも加水調整に耐える度数のあるものが多数存在していたということになります。しかも他にリザーブラベルやケルティックシリーズなど、別シリーズでもリリースしていたわけで・・・考えれば考えるほど、とてつもないボトラーズメーカーです。