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DALLAS DHU
SIGNATORY VINTAGE 
CASK STRENGTH COLLECTION 
Aged 30 years
Distilled 1975/08/15
Bottled 2006/07/19
Cask type Bourbon Barrel#1493
700ml 46.9%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:1ショット程度
場所:個人宅持ち寄り会@Iさん
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:バニラクッキー、ナッツ、ドライパイナップル、洋梨。華やかでオーキーな樽香に、微かにチーズを思わせる酸味を伴う。

味:ドライでフルーティーな口当たり。ファイバーパイナップル、ナッツ、クラッカー、香り同様の構成。ボディはミディアムからやや軽く、余韻はドライで染み込むウッディネス。オーキーな香味が消えていき、あっさりとしている。

華やかでドライなオークフレーバー主体のボトル。ともすれば樽しゃぶり系だが、時代の良さかギリギリの厚みで酒質が樽感を支えている。加水も悪くない、さらに華やかな香味が引き立ち、バランスが良くなる。


ダラスデューは個人的に「印象に残っていないウイスキー」の一つです。
少なくともこれまでに飲めた1960年代以降、酒質由来の味わいは淡く、ボディ感も中庸、古いものであればクリーミーな麦芽由来の甘みがありますが、特にこれという個性が見出せない。シングルカスクで個性を楽しむというより、ブレンドでの縁の下の力持ち向きと言えるのかもしれません。

蒸留所の歴史を見てみると、創業は1899年と古いものの、特にシングルモルトが有名だったわけでも、この蒸留所をキーモルトとする有名なブレンドがあるわけでもありませんでした。
大手グループに属していなかった訳でもなく、ディアジオの前身であるDCL傘下には1929年に入った一方で、期間不明ながら1936年までは操業を休止していたようです。
再稼働した直後の1939年、今度は火災が発生しスティルハウスが焼失。修繕は行われたものの世界大戦の煽りを受けて1947年まで再び休止状態に。。。
約20年間、ほとんど原酒のストックを作れていない状況は、経営者視点で考えるとお荷物でしかなかったように思われます。

その後1950年代から1970年代初頭にかけて蒸留所の電化から生産設備増設、フロアモルティングの取りやめ、石炭直火蒸留をスチーム式への切り替えなど近代化が進み、やっと本腰を据えて原酒作れるようになったのは1970年代に入ってから。
そのキャラクターは先述のとおり、酒質の個性に強いものはなくプレーンなそれ。当時はブレンデッド全盛期、時代背景や蒸留所そのものの製品ラインナップから考えるに、DCL系列が抱える様々なブレンド銘柄のベースとして使えるように位置付けていたのではと推測します。

以上、紆余曲折あったダラスデューですが、80年代ウイスキー冬の時代が到来すると1983年にあっさり閉鎖。現在は博物館となっているのは有名な話です。
近年、世界的なウイスキーブームを受け、再稼働の話も進んでいると聞きますが、きっとブームが終わればまた役目を終えてしまうのかもしれません。
些か不遇な気持ちになりますね。