キリン 富士御殿場蒸留所 ピュアモルトウイスキー 40%
KIRIN FUJIGOTENBA
PURE MALT WHISKY
2017's
600ml 40%
グラス:サントリーテイスティング
量:ハーフショット
場所:BAR飲み(サウスパーク)
時期:開封後1ヶ月以内
暫定評価:★★★★★★(6)
香り:フルーティーで熟した洋梨を思わせる柔らかさに、バニラの甘み、ナッツ。華やかだが軽めのアロマで徐々に乾いた木材っぽいドライなニュアンスに振れていく。
味:とろりとした口当たり、はじめは乾いた麦芽、干し藁、ナッティーなニュアンス。すぐにオーキーなフルーティーさ、林檎のコンポートーや洋梨、バニラなどの甘み。熟成感あり。
余韻はドライでエステリー、華やか。染み込むように消える。
突き抜ける強さはないが、嫌味が少なくバランスが良く仕上がっている。
富士御殿場らしさは余韻にかけて感じられる。加水の必要性はあまりなく、そつなくうまいモルトウイスキー。
キリンがDrinx限定で販売を開始していた、"新しい"ピュアモルトウイスキー。元々は蒸留所創業20周年記念として1992年にリリースしたピュアモルトが、「評判いいので(スタッフ談)」と定番ラインナップとして定着していたところ、これをリニューアルした限定ボトルになります。
前述の20周年ピュアモルトからの変更点は、容器が旧富士山麓のボトルが流用されて100ml減の600mlとなったことと、当たり前ですがその中身。
旧ピュアモルトはブラインドで飲んでも、「富士御殿場」と言えるドライでエステリーな個性がメイン。硬さがあるというか、甘みが取りづらく、人によっては飲みづらいと感じることもあったようです。
実際過去には、ウイスキー仲間が飲み進まんとウチに置いていったことも。。。
(富士御殿場蒸留所 20周年記念ピュアモルトウイスキー。定番化したことが記録になく、いつまでも発売し続ける20周年として、ちょっとしたミステリーでもあった。)
しかしこの新しい富士御殿場蒸留所ピュアモルトウイスキーは、柔らかくフルーティーな香味が主体的。御殿場らしい個性もある中で、飲み疲れないバランスのとれた構成。これで旧ボトルと同価格(700ml換算でも3000円後半)は、今のジャパニーズでは嬉しい設定です。
何も知らずに飲んで、コスパの良さにびっくりしました。(竹○さん、これはうかうかしてられませんよ!?)
キリンDrinx 富士御殿場蒸留所ピュアモルトウイスキー
ピュアモルトウイスキーということは、一般的には複数蒸留所のモルト原酒が使われている事になります。
飲んだ感じ、前半にある味わいは、富士御殿場蒸留所のキャラクターとは異なるイメージ。メーカー表記では「タイプのの異なる蒸留器で仕込んだ原酒をバッティング」とありますが、連続式蒸留機で仕込んだモルトウイスキーに、別な蒸留所のそれか。
後者については、富士御殿場以外に蒸留所を持たないキリンが、一体どこから調達してきたのかは気になるところです。
ただまあ本音を言えば、美味しければ良いんです。うん、美味いは正義。
飲みごたえを求める人は、同じくDrinx限定の富士山麓シグネチャーブレンドという選択肢になりますが、バランスという点ではピュアモルトに軍配。ウイスキーを飲み慣れない方でも飲みやすいだけでなく、某蒸留所のマネージャーが見学した際もこのコスパの良さを絶賛していたとか。自分もこちらの方が好みでした。
キリンウイスキーの新しい試み、今後も何がリリースされるのか楽しみにしています。
コメント
コメント一覧 (6)
統制管理の洗練された酒質による他に見られない綺麗な長熟カスク等新たな枠を期待したり。
今後の展開が楽しみですね。
バーショーの時に赤ワインカスクフィニッシュに気を取られてこっちのこと確認するの忘れたのをちょっと後悔しました(ノ∀`)
サントリーとは異なるアプローチを感じて面白いです。実際、海外ではかなり注目度が上がっているようです。
ただ悲しいのが、原酒の樽詰め度数を50~55%に設定しているため、熟成は短期決戦、17年で46%でも極少量程度という状況なのが痛いのです。
個人的にはまさに綺麗な長期熟成を期待したいのですが・・・。
コメントありがとうございます。
ちょっとよくわからない書きぶりだったので、記事のほうを修正させていただきました。
自分も聞いてみようかと思ったのですが、総じてこの手の質問はメーカー側からすれば「実は」とオフレコできないものなので、聞いても仕方ないかなとスルーしてしまいました(笑)
もし何かわかりましたら教えてください。
ちなみに、赤ワインカスクも中々良い出来ですよね。バーボン系しかない富士御殿場モルトの中に、新しいキャラクターが生まれて存分に楽しませてもらいました。
何かの理由での50~55%となると新たな試みとしてエンジェルシェアの極めて穏やかな熟成保管場所(富士山麓近辺)確保等ですかね。
極少量限定でも試飲なりを期待します。
キリンは熟成実験の結果、50%でバーボン樽に入れて熟成させることが、最も安定して自分たちが求められるフレーバーをモルト原酒に与えられると結論づけています。
(ちなみにグレーンウイスキーが55%です。)
これは、キリンが樽を調達しているフォアローゼズにも同じ製造方法が採用されており、彼らも樽詰め前に加水して55%程度まで度数を落としています。
度数が下がることで、樽材が溶ける量が減り、バーボン樽特有のギスギスしたウッディネスが減ることに寄与しているように感じています。
そして度数もさることながら、おっしゃるように熟成環境ですね。日本は温暖なので通常の気候では20年以上は厳しく、空調管理で10年底上げという感じです。
他方、yanasemaさんも書かれているエバモア原酒だけでなく、過去には蒸留所サンプルで30年クラスの熟成原酒があったようなので、いつか飲んでみたいと思っています。