東京 インターナショナル バーショー2017(初日)に行ってみた
先週は本当に仕事が忙しく、土曜日は起きられないか・・・と思ったのですが、目が冷めると午前10時。準備すると開場時間にちょうど良い、ほんじゃまぁ行ってみますか~と東京ドームシティまで。
ウイスキーフェスといい、バーショーといい、イベント会場が自宅から近くて助かります(笑)。
この記事が公開されるのは、バーショー2日目の14日日曜日。2日連続の方も、今日が初参加という方もいらっしゃると思います。
昨年に比べてカクテルなどの"ライブ系の展示"が増え、ウイスキー要素は控えめだった気がしますが、その中でも「おっ」と思うものがいくつかありましたので、紹介させていただきます。
まずは世界一を取って益々注目を集める、秩父蒸留所、イチローズモルトから。
ホワイトラベルなど通常商品に加え、2015年蒸留のニューポット、そしてシェリー樽とアメリカンホワイトオークIPA樽のカスクサンプルとブレンデッドウイスキーの3種が試飲できます。
ニューポットを飲むと発酵系の雑味が少ないだけでなく、アルコール感柔らかくコクのある甘みが感じられ、以前のようにツンとしたニュアンスの少ない、更に短期で仕上がりやすい酒質を感じます。
そして限定のカスクサンプル3種も中々。秩父らしい酒質をベースに、ブレンデッドはナッティーな香ばしさの後からオーク由来の華やかさ。シェリー樽は樽質の良さが感じられる、発売されたら秩父ファンによる争奪戦間違いなしというレベル。IPAカスクは以前リリースされた免税向けの毒々しいIPA感はなく、余韻にかけてじわじわと広がってくる感じでバランスの良いIPA感。
一緒に試飲していた某チャーハンBARのマスターと「気合入ってますねー」と唸ってしまいました。
続いて秩父蒸留所の隣、マルスウイスキー本坊酒造は出品数少なめながら、最近何かと話題のプレミアムジン和美人(WA-BI-GIN)が印象的でした。柚子、金柑の苦いニュアンスがある輪柑橘のアロマ、微かにシナモンのようなニュアンスもあり、これは「けせん(ニッケイ)」によるものだとか。
少しボディは軽めでしたが、爽やかで飲みやすいジンでした。
この他、ジャパニーズメーカーとしては、サントリーウイスキーからはマッカラン12年ダブルカスクの大々的なPRに、メーカーズマークのカクテルブース。山崎を始め各蒸留所の原酒サンプルなどがバウチャー1枚からテイスティング可能。蒸留所に行かないと飲めないものがテイスティング出来るのが嬉しい。なお6月に発売されるというプレミアムジンROKUの試飲はなかったようです。
キリンウイスキーは新商品のシグネチャーブレンド、蒸留所限定品だったシングルモルト・ワインカスクフィニッシュ12年、スモールバッチシリーズからシングルモルト17年、グレーン25年(この3種はバウチャー必要)がテイスティングアイテム。加えて田中氏以下、ブレンダーチームがブースにスタンバイし、積極的にコミュニケーションをとられていたのも印象的でした。
ニッカウイスキーは5月と6月にそれぞれ発売するクロスオーバー、カフェジン、カフェウォッカの先行試飲が可能。ウイスキー側のカウンターには制作に関わられた森ブレンダー以下、開発チームがスタンバイ。ジンとウォッカはそれ単体の試飲だけでなく、海外から招聘(?)したバーマンによる各種オリジナルカクテルを飲むことが出来ました。
この3種、自分は過去の記事に記載したとおり総じて好印象だったわけですが、会場での反応も上々だった模様です。発売が楽しみですね!
続いてはウイスキーショップ・インポーター関係の出展の紹介。
まずは精力的にプライベートボトルをリリースし、注目を集める信濃屋さんのブースから。試飲の充実度としては、信濃屋と後述する株式会社フードライナーが非常にがんばっていた印象でした。
信濃屋さんは直近発売のPB5種(カリラ、ブナハーブン、ベンネヴィス、ポートシャーロット、スペイサイドシングルモルト和)を含む新旧リリースで構成。
近年では非常に貴重となった、長期熟成の1970年代蒸留として注目を集めた"和NAGOMI"は、和み・・・というほどゆるくなく、樽感主体で硬さとスパイシーさのある構成でしたが、長期熟成らしいフルーティーさ、華やかさも備わっており、ボディもそこまで軽くない。今後の変化に期待したいです。
そんな信濃屋PBニューリリースの中で最も印象に残ったのが、モルトマンのベンネヴィス19年。
カスクタイプはシェリーバットなので、ともすると濃厚なシェリー感をイメージするかもしれませんが、飲んでみるとシェリー感というより、バニラ、クッキー、焼き林檎や桃を思わせる甘みとフルーティーさ。ベンネヴィスのリリースに見られる紙や植物っぽい癖もあまり感じられない、樽由来の香味と熟成感でコスパに優れた1本に仕上がっています。(是非試飲してみてください。)
ウイスキーではありませんが、大手グラッパメーカー、ベルタ社の正規輸入元である株式会社フードライナーのブースは、今回最も気合の入ったブースの一つと言えます。
同社が取り扱うベルタグラッパ通常ラインナップほぼ全てが無料試飲アイテムであるだけでなく、京都からK6の西田氏も参加。K6のオリジナルグラッパの試飲(特別価格での販売も有り)に、同氏によるカクテル、グラッパ業界の裏話も楽しめます。
近年、ウイスキーの高騰、原酒枯渇などからコニャック、カルヴァドス、ラムなどの他のスピリッツにも注目していたところ。10種類を越えるスタンダードからフラグシップまでのグラッパを一度に試飲出来たのは、これだけで参加した価値があると言える、素晴らしい体験になりました。
長期熟成のグラッパの濃厚な甘さ、樽由来のほろ苦さはウイスキーに共通するところもありますね。新樽以外に複数タイプの樽を使ったオルトレ イル ヴァッロは、甘さとナッティーな香ばしさ、樽由来のタンニンがウイスキー好きの琴線に触れそうな構成。フラグシップに当たるパオロ・ベルタ1996は食後酒としては極上、イベントの締めにもうってつけです。
ウイスクイーのブース。ウイスキーはキルホーマンのみでしたが、ニューポットと麦芽(ノンピートとピーテッド)の試食が出来たのは、イベントならではの出し物として楽しませてもらいました。
ニューポットは創業当時と比較してもあまり違いの無い、嫌味の少ないクリーンなピーテッドタイプ。「ニューポットから美味しくないとおいしいウイスキーにはならない」、とスタッフの方のコメントがあり、確かにこれなら短熟でリリースするにはうってつけだなと。
飲みつかれた身体には中々ヘビーな試飲になるかもですが、キルホーマン、アイラ好きの方は是非。
最後に、ディアジオのブースから、アードベッグのVRを紹介。
確かアードベッグのプレミアムテイスティング会で公開されていたモノだったと記憶していますが、ブースにも出展されていました。
これ、すごいです。正直1回では楽しみきれないほどの完成度で、何度でも見てみたいほど。
慣れない人は、そのままヘッドマウントの映像としてみてしまうかもしれませんが、360度全方位が映像として展開されるため、ひたすら顔を動かして蒸留所の周囲、中、全てを見渡すことが出来ます。
酔ってしまわない程度に、くるくるまわってみてください!(笑)
(イベントのラストは、メインステージで「We Love Bar Show!!」)
さて、長くなってきたのでここらで筆を置こうと思います。
これまで紹介したブース以外に、京都の空気をそのまま持ってきたような季の美の出展ブース(レシピを構成する各フレーバーにフォーカスした原酒テイスティングも可能)、ディアジオ社のカクテルライブなど、見て楽しめる展示が多く、お酒を飲むだけではないエンターテイメント的な展示会として、1日かけて楽しむことが出来ました。
ちなみに、今回個人的に最も注目していた新生ソサイエティブースは、社会的地位によって何かが変わるアベラワーなど、4種類の試飲アイテムがバウチャー1~2枚(会員は無料)。
日本支部が設立され、これから大々的にPRしていく・・・という感じはない、少しさびしい内容。
アベラワーはソサイエティらしいトーンの高い、硬めの味わい。3.291のボウモアはシェリーカスクで、結構サルファリー。ウイスキー愛好家に大きな衝撃を与えた"投光照明石油掘削装置ムーンプール"こと29.206が無かったのは残念でした。
では、本日はこれにて。
本日イベントに参加される皆様、飲み過ぎ注意でバーショーを楽しんできてください!
コメント
コメント一覧 (10)
昨日は貴重な体験ありがとうございました。
和みは開けたてで硬かった印象でした!
瓶熟やこなれてきた時が非常に楽しみです!
モルトマンのベンネは美味しくて注文してしまいました。
グラッパの美味しさにも気づき非常に為になるイベントでした。
マクダフを飲んでみた感想なのですが、非常に落ち着いた甘い香りで少しスー‘ミントのような’爽やかさ。熟れた洋梨と経験不足なのでなんとも言えないのですが紅茶とフルーツのニュアンスがとても素晴らしいと思いました。多分紅茶と思ってるのはウッディネスとフルーツ香が混ざって勘違いしているかもしれません。
味に関しては熟れたフルーツとカラメル、フルーツティーと麦芽風味、余韻はウッディで一瞬だけ渋み、あとはひたすら熟れたフルーティーさが続く。個人的には少し加水した方が良かったかな?。
くりりんさんのおっしゃったトロピカルフルーツのニュアンスがいまいち掴めなかったのが残念で仕方ありません。これからも、もっとバー飲みでいろんな経験をし共通要素を思いだしながら飲んでいこうと思いました。
コスパ考えたらもう一本買っといておこう良いなと思える素晴らしいボトルでした、非常に美味しく飲み疲れないボトルで気付いたら開けた日に三杯半飲んでましたw。本当に素晴らしいボトルを紹介してくれてありがとうございました。これからもブログに張りついて応援させてもらいますのでよろしくお願いします。
こちらこそご挨拶出来て良かったです。
和は開いてきたらもう少し柔らかくフルーティーになるのだと思いますが、今はパリッパリでしたねw
今の時点では正直モルトマンのベンネヴィスのほうが美味しいと感じましたが、今後どう開いていくか。。。
それにしてもベルタブースの気合いの入れ方は凄かった。あれだけで入場料の元がとれるくらいの経験だったと思います。
ついでに、8000円くらいで樽の強いグラッパをというリクエストをしてしまいました(笑)
感想共有いただきありがとうございます。
ミント、熟したフルーツ、紅茶を思わせるウッディネス。素晴らしく的確な分析と感想だと思います。(本当に若い方ですか?w)
他方、オフィシャルリリースで20年ものくらいまでのマクダフは、ここまでフルーティーではなく若さが出ているリリースもあるので、30年は多分相当気合入れて原酒を使っているのではないかと思います。
ウイスキー愛好家の中で一般的にトロピカルフルーツと言われる要素は、例えば1960年代のボウモアやロングモーンに代表される蒸留所のリリースに感じられる事が多く、その辺りのリリースを飲んでいただけると、類似の点が感じられるかもしれません。(もっともどちらも近年は非常に高額になってしまいましたので、何かのイベントなどで飲める機会で体験されるのが良いかなと。)
今回のバーショーはそうした試飲は見られませんでしたが、ウイスキーフェスティバルなどはマニアックな試飲が出たりしますので、イベント参加を検討されても良いかもしれません。
また、もし都内在住でしたら板橋にあるエムズテイスティングルームで試飲ボトルが開封されていたりしますので、そちらも合わせてご検討ください。
自分のレビューを参考にしていただきありがとうございます!
今後とも宜しくお願いします。
グラッパは会場特別価格の奴どれか買えばよかったなと後悔しています。
返信ありがとうございます。カカオチョコレートやアプリコット、トロピカルフルーツのニュアンスが拾えなくて全然駄目じゃねえか俺と1人嘆いていましたw。紅茶のニュアンスはくりりんさんの感想を初めに見ていなかったら多分なんと答えていたのやらw。
残念ながらまだ22歳で会社の先輩(20歳上)やその友人達に絶賛仕込まれ中ですw。
最近は先輩の友人達と先輩の自宅で現行品とオールドのヘブンヒル系列バーボンの飲み比べに参加させてもらいました。
シングルモルトだけでもまだ勉強中なのにバーボンと呼ばれる新たな魔境に片足引き込まれてしまいした。オールドセントニックの水平飲みですっかりヘブンヒルのファンになってしまいましたw。
エヴァンの23年はなかったのですがスタンダードの年代違いやシングルバレルのヴィンテージ違いの飲み比べは本当に良い経験になりました。後半に潰れてしまってヴィンテージの違いをはっきり覚えてなかったのは不覚でした。
知ってしまった幸せと不幸が僕に降り注いで、後10年早く産まれたかったと最近いつも口にしています。
在住が静岡なので御殿場蒸留所に今度行ってみようと思っています。ガイアフロー静岡蒸留所の一般公開はまだ先みたいなのですが公開したらいち早く行きたいですね。
長い文章失礼しました。
買われたんですか(笑)
中々に良いお値段でしたが、今の市場価格を考えたら仕方が無いですよね。
ちなみにこの手のタイプは未開封なら10年、20年は大丈夫ですよ。今までもリリースされてきた40%台の度数落ちモルトがそれを証明しています。ただ開封後の変化は早いので注意が必要です。
ちなみにグラッパ、自分もウイスキーカスクを使ったやつか、何か買えばよかったと思ってます。あれは凄いブースでした(汗)
いやはや、バーボンの話にしても、とんでもなく順調に経験を詰まれていますね(笑)
テイスティングのコメントは、その人が飲んできたウイスキーの経歴、種類などによるところもあるので、世代によって違いが出るのは当然だと思っています。
むしろ今飲み始めた方が同評価していくのか、表現していくのかに興味があります。そこは無理に自分の表現に合わせる必要は無く、今は思いつくまま書いていくのが良いのかなと。
バーボンの話は「知る悲しみ」というヤツですね。
知ってしまったからこそ判る悲しみ、でもそこにある良さ、魔的とも言える魅力を知りえたことは、人生の彩りに繋がります。嗜好品による感動や高まりのない人生は、きっと死ぬとき納得できないんじゃないかというのが持論です。
10年の時間は遡れませんが、幸いにして静岡は結構色々モノがあったと認識しており、都市部から外れて酒屋巡りなどすれば、スコッチやジャパニーズは難しくとも、バーボンはまだものが眠っているのではないかと思います。(例えばワイルドターキー8年や12年の旧ラベルなどは比較的入手しやすいオールドバーボンです。)
実は自分もそうしてさらに深みにはまったクチではあります。新平その1さんはきっと、間違いなくこちらの世界に頭まで浸かってしまうと思いますので、是非その過程も楽しまれてください。
最近は40年以上で5万以下なら安いって感覚が浸透してるって凄いですよね。
それが必ずしも美味しいとは限らないのに飲まずに即売り切れは恐ろしいなと思います。
和は実際飲んで浅い経験ながら開けば美味しくなると思えたので購入を決意しました。
経験が少ないので瓶熟すると美味しくなるかどうかをしっかり見極められないのが悔しいですね。
ただ知れば知るほどこの世界は面白いです。
オールドボトルにロマンを感じたり、最新のリリースに進化や成長を感じたり等興味が尽きません。
これからもよろしくお願い致します。
買わずに後悔するより買って後悔、ですねw
モノがあれば如何様にも出来ますが、無ければそれまでですので自分はもっと買い置きしておけばよかったと後悔しきりです。
近年のウイスキー相場はやっと落ち着いてきた感はありますが、おっしゃるようにあまり落ち着いて欲しくない価格帯に落ち着いてしまったのが痛い。
それでもオフィシャルで見るものが増えましたし、様々な時代のものが飲めるという点で、楽しみ方も色々ありますね。
これからもよろしくお願いいたします。