カテゴリ:
TALISKER
Pure Malt Whisky
Over 8 years old
1960's
750ml 43%

グラス:テイスティンググラス
量:ハーフショット強
場所:個人宅(KuMC)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★★★(8-9)

香り:リッチな麦芽香、熟成した葉巻を思わせる妖艶なスモーキーさ、土っぽいピート香にプラムやママレードを思わせる酸味、ほのかにヨードのようなニュアンスが混じってくる。

味:とろりとした口当たり、香り同様に強い麦芽風味、塩キャラメル、土っぽいピートに湿ったウッディネス。コクと厚みのあるボディ。
余韻は古典的な麦芽風味、微かにオレンジジャムを思わせる。スモーキーで染み込むように長く残る。

経年によりやや熟れすぎた感はあるが、それにしても素晴らしいボディの厚み、ピート、古典的な麦芽風味。。。スコッチモルトたる要素が充実している。今の時代よりも遥かに強い個性の存在感。これを普通に飲めた時代がなんとも羨ましい。


1980年代以前のタリスカーのスタンダードである、TDラベル。
現行品のようにただ荒さの残る味わいではなく、深いコクと染み込むようなピートを感じるそれらは「この時代こそ」と愛好家から高い評価を受けています。
ラベル遍歴としては、マップ(1990年代から)→JW(1980年代後期)→TDという順に古く、JW時代、TD時代には8年と12年がリリースされており、特に今回の1960年代は、日本国内への輸入がなかったことに加え、後述する理由から現存するボトルそのものが少ないという状況、自分も初めてのテイスティングになりました。

随所に時代を感じさせるラベルデザイン、Pure Malt Whisky表記にDistillery Isle of Skye表記、見た目からしてそそられますが、味も古酒らしいこなれた香味に麦由来の強い風味がしっかりと備わって、ウイスキー好きの本能に訴えかける魅力があります。
また、この時代の短熟オフィシャルの特徴として、8年表記でありながら若いニュアンスはなく、長期熟成原酒とのバッティングでバランスがとられているであろうことも伺えます。
(タリスカー蒸留所外観。目の前には海、背後には不毛の大地。華やかという単語は似合わないが、この環境が詰まっていると思うと納得出来る味わいがタリスカーにはある。 Photo by T.Ishihara)

この時代のシングルモルトは、いくつかの要因で物が少ないと言われています。
一つが当時のウイスキー市場はブレンデッドウイスキーが全盛だったこと。まあこれはシングルモルトの生産量が、ブレンデッドに比べて少なかったという話で、今の時代もスコッチ業界全体としてはこの流れですね。
そしてもう一つが、当時のこうしたボトルは「あくまでスタンダードの一つ」であり、普通に飲まれてしまったために"残り辛かった"ということにあります。

マッカランなどのようにビンテージ入りだったり、ボトラーズリリースだったり、あるいは何かしらの限定品であればコレクションされていたものが後々流通してくることもありますが、このタリスカーなどは当時の愛好家からすれば、ただのオフィシャルの8年ものなのです。

今我々がタリスカーをじゃぶじゃぶハイボールにしてしまうように、こうしたオフィシャルが日常的に消費されたであろうことは想像に難しくありません。
ボットリングから半世紀の時を超えて、こうして目の前にボトルがある、その機会を頂けただけでも感謝です。