エヴァンウィリアムズ23年 1972年蒸留 53.5%
- カテゴリ:
- ★8
- アメリカンウイスキー(バーボンなど)
EVAN WILLIAMS
Kentucky Straight Bourbon Whiskey
Years 23 old
Distilled 1972
750ml 53.5%
グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml程度
場所:個人宅@KuMC
時期:開封後1ヶ月以内
暫定評価:★★★★★★★★(7-8)
味:リッチな甘みのある濃厚でパワフルな味わい。キャラメルとドライベリー、林檎のカラメル煮、濃く入れた紅茶。舌あたりにベタつく感じと、やや焦げたような樽感があるがしつこく残らず余韻に消えていく。
華やかかつ濃厚でパワフル、長熟ハイプルーフバーボンの魅力が詰まった1杯。少量加水すると、ベリーや花を思わせるさらに華やかな香味が開く。
個人的に、美味いバーボンは?と聞かれたら、まず出てくるのがエヴァンウィリアムズ23年です。
時代的には焼失前の旧ヘブンヒル蒸留所での製造にあたり、スコッチモルトに対抗したのか1980年代から1990年代あたりまではこうして単一蒸留年度の表記のある珍しいリリース形態。自分は全ての年度を体験できているわけではありませんが、それぞれに異なる魅力があると聞いています。
勿論、これ以外に美味いバーボンはいっぱいあります。
現行品で衝撃を受けたフォアローゼスPBは記憶に新しく、今回のボトルを含む90年代に流通した各種長熟、ヴァンウィンクルとか外さないですね。
それ以前のオールドバーボンではヘブンヒル系列、ジムビーム系列、ターキーなどなどもうだいたい美味い。特有の赤い果実風味、うっとりするような艶やかな甘みがあって・・・と話が逸れましたが、その中でもエヴァンウィリアムズ23年はまず名前が出てくる濃さ、パワーがあります。
家に1本は開けておきたいと思っているのですが、最近その手のバーボン相場は青天井。なんとも世知辛い世の中です。
エヴァンウィリアムズ23年は、今回テイスティングしたトールボトルから、2000年前後に、上記写真のややずんぐりとした形状に変化。この時代のボトルは単一蒸留年度縛りが無くなったためか、同じベクトルでありつつも、香味のバランスが良くなった印象。例えばこの1972年蒸留のエヴァンは、樽由来のニュアンスが強く、リッチな味わいながら口当たりでベタつく感じがあります。
どちらを好むかは人それぞれだと思いますが、間違いなくバーボン好きには堪らない旨さがあるということに違いはありません。
なお、2000年前後に切り替わったラベルの上にシルクプリントでEvan Williamsの記載がありますが、近年流通ではこれが無くなり紙ラベルのみとなります。このロットであれば、今でも酒屋やBARなどで見かける事があります。
トールボトル、シルクプリント、近年流通の3種飲み比べとかやってみたいなーと思いつつ、一体幾らになるのか地味に怖い(笑)。
何れにせよ、長期熟成バーボンの魅力を感じる、古き良き時代の素晴らしい一杯でした。
コメント
コメント一覧 (14)
まあ、スコッチのボトラーズとかもわかりづらいですけどね。
オールドボトルのバーボンは、謎解きをしてるようで面白いです。原酒の出所をラベルの特徴から推察したり、蒸溜所の歴史を調べたり・・以前、江戸時代の家系図みたいなのを作成した事もありました笑
エヴァンウィリアムズ23年、お酒の天下一武道会があったら、間違いなくノミネートされる珠玉の逸品ですね!
マクダフ30年届きました!。休日に開けるつもりなので遠足前の子供みたいにウキウキしていますw。
くりりんさんのブログにあったベリーズベスト ブレンデッドスコッチ1970年代流通品とジムビーム5年 1960~1970年流通品を入手しました。開けてびっくり、特にジムビームは度肝を抜かれました。ウィスキー全部に言えることですがオールドボトルは沼というよりは魔境ですねw。
オールドボトルは魔境ですか・・
私は、オールドボトルはタイムマシンに乗って過去に飲みに行ってるんだと考えてます。タイムマシンの燃料費は高いから仕方ないんだよ、と自分に暗示をかけないととても飲めません笑
タイムマシンの燃費悪すぎなんですよね、過去への永住権が欲しいですねw。
こうした長熟のプレミア品は元より、古いボトルを飲んでみると4~8年程度のスタンダード品でもレベルが高く、大量生産品でも手を抜いていない大量生産なんだなぁというのが実感できます。
いつもコメントいただきありがとうございます。
自分はウイスキー飲み始めのころ、バーボンの銘柄の数だけ蒸留所があると勘違いしていた時期がありました。
その後、スコッチウイスキーで言うブレンデッド銘柄=通常のバーボンウイスキーの銘柄なんだなと理解しましたが、調べてみるとその結びつき、特に蒸留所稼働の多かった古い時代はよくわからない状況で、そこから統廃合が進みますから、まさに家系図ですね。
一方、自分のような認識を持つ方も少なからず居るのか、蒸留もしてないのに(Since〜〜年など)伝統を語るなど、誇大広告だと裁判になっているという事例も耳にしています。
さて、エヴァン23年ですが、このリリースは現行品も含めてかなり良い出来のバーボンだと思ってます。(やはり好みは旧ボトルですが。)
ただ、旧時代のヘブンヒルの原酒は限りがあるわけですから、これもいつまで流通するか。。。見かけたら飲んでおくは大賛成です。
オールドボトルは魔境、そしてタイムマシンの利用料、おっしゃる通りですね(笑)
いつも当ブログを閲覧いただきありがとうございます。
同一発信源と見られるIPから、複数投稿者を自演するかの如くコメントを頂いております。
今回はご連絡のため1つ公開致しましたが、私への中傷などを含むものについては、通常公開致しません。
これ以上こうしたコメントをが続くようでありましたら、ご利用プロバイダーへの情報開示請求含め、しかるべき手段を取らせていただきます。
以上です。
購入報告、及び後日のテイスティング報告ありがとうございました。
マクダフのコメントについては別コメントで記入させていただきますので、まずはエヴァン23年について。
Yanasemaさんがコメントされておりますように、現行品も長期熟成バーボンは一飲の価値があると思います。
バーボンは10年あたりで熟成がピークという話がありますが、20年前後に到達するもののそれは、エヴァンにしろジムビームにしろ、ターキーにしろ、素晴らしいものが多いです。
そしてオールドボトルはスタンダードでもその領域に到達しているボトルが複数見られるのが凄まじい。
もちろんそうしたリリースの人気はうなぎのぼりな現状ではありますが、ジムビーム5年のオールドボトルは緩いながら艶のある甘さが堪らない1本だと。
それにしても、失礼ながらその年齢でそこまでたどり着いてしまうと、もう後には戻れませんよ。。。
魔境へようこそです(笑)
いつも的確な補足をいただきありがとうございます!
1966年以前や、1972年以後のことは曖昧な部分もありましたので、大変参考になりました。
ボトル形状はおっしゃる通り色々変化があるようですね。全部並べて写真を撮って見たいです・・・。
おっしゃるように1990年代以前のスタンダードバーボンは、現行品に比べて明らかに質が良く、一体何が違うのかと浅い知識ながら考えたことがありました。
まず一つは原料というより連続式蒸留の際のアルコール量を上げたことで、香味成分が失われたと取るか。
そしてもう一つは良質な樽材の枯渇からくるものかなと思っています。バーボン樽は新樽といっても切り出した樽材を数年間天日干してアク抜きをしますが、最近は機械乾燥のものも増えてきていると聞いており、最近のバーボンのライト化、甘みの足りない妙なえぐみはその辺りからきているのか・・・など。
もしかもさんがご存知の話がありましたら是非教えてください。
樽材についてはおっしゃるとおり、長期的な変化の要因の一つかと思います(良質な古木が足りないというのは、以前どなたかが御指摘されてましたね)。
短期的な要因は「バーボンが売れなかったから」だと思います。
国内の売れ行き鈍化によるメーカーや蒸留所の統廃合、ブランドの移動、良質な原酒のダブつき、海外戦略を拡大したことによるテイストの変化・長熟化・フィルターの進化による酒質の変化、全体的なライト化etc…様々な要因が重なって50年代から00年代位までの変化をもたらしたのかなぁ、と(個人的にはこれらの諸々の要因で10年スパン位で味の傾向が変わる気がします)。この辺は他のウイスキーも多かれ少なかれ同じような流れにあると思いますが、当時の市場やメーカーの動きを見えると大体要因が想像できます。
80年代~90年代でスタンダードな短熟・プレミア級の長熟ともに人気のあるボトルが多いのは、余裕のあった良質な長熟原酒をガンガンボトリングしていたからでしょう。現行品についても一部のプレミア品はしっかりとした味わいのボトルに仕上がっているため、昔のような原酒を全く作れない(持ってない)のではなく、良い原酒を使い分けている側面が強いのではないでしょうか。
多分、この辺の話は度々話題に出るバーボンの歴史に細かく書かれていると思いますので、ざっくりと。
いやまさにおっしゃるとおりだと思います。
ウイスキー全般、本当に造詣が深いですね。自分がバーボン等の記事を書くときは、必ずかもさんからご意見いただきたいくらいです(笑)。
>現行品についても一部のプレミア品はしっかりとした味わいのボトルに仕上がっているため、昔のような原酒を全く作れない(持ってない)のではなく、良い原酒を使い分けている側面が強いのではないでしょうか。
間違いなく使い分けていると思います。どうやらプレミアムバーボンを好む層と、普及価格帯のバーボンを好む層は好みの違いがはっきりとしていて、後者はよりライトなバーボンを好むケースが多いと聞きます。飲み方が常温ストレートではなく、冷やしたり、コーラ割りしたりするからライトなほうが都合がよく、そしてそこに各メーカーが悪乗りしていると。。。
我々が好むようなタイプのバーボン原酒も、例えば最近自分がプッシュしているフォアローゼスしかり、ターキーやジムビームのプレミアムタイプを飲めば、原酒がないワケではないことがわかります。
問題はそうしたバーボンが安価に手に入らなくなってきていることにあり、しかも仮に今後バーボンタイプのウイスキーにブームが移ると目も当てられなくなるなと、業界として成長してほしい反面、マイナス面も見えて心中複雑です(汗)
いつもブログ、楽しく拝見しております。
昨日、シルクプリントのエヴァンウィリアムズ23年を見つけ購入しましたが中々あける勇気が出ません。現行品でも凄く美味しいからです。
現行品の23年とシルクプリントの23年ではどのように違うのでしょうか?
ご教授のほどお願いいたします。
コメントありがとうございます。
まずどちらも美味しいバーボンであることに違いはありません。疲れた時にこれを飲めば、癒しと元気づけを一度にしてもらえるような感覚があります。
ただその樽感の上品さ、チャーオークの濃厚な甘みに漂うベリー系の甘酸っぱさに違いがあり、シルクプリント時代や古い23年のほうが味わいがより深いと感じています。
返信が遅くなりまして大変恐縮ですが、参考になりましたら幸いです。