カテゴリ:
MORTLACH
The Scotch Malt Whisky Society
No,76.128
"A Real Privilege"
Tasting Panel's Choice 2016 Japan Edition
Aged 28 Years
Distilled 1988
Bottled 2016
Cask type Sherry hogshead?
700ml 48%

グラス:木村硝子テイスティング
場所:自宅セミナールーム
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:スパイシーで樽の効いたウッディネスとフルーティーさ。アーモンド、アプリコット、熟したパイナップル、樽由来の濃縮感に加え、奥からおしろいを思わせる白っぽい麦芽香も感じられる。

味:甘くドライな口当たり。メープルシロップ、リンゴのカラメル煮、レーズンチョコレート、エステリーなフルーティーさから淡くベリー感のあるシェリー系のニュアンスも程よく広がっていく。
余韻はドライでウッディ、ほのかにビターでカカオのニュアンスを伴い長く続く。

酒質由来の麦芽風味、シェリー感とオークフレーバーが合わさった樽感、熟成による複雑さとバランスが取れた香味を楽しめる。
加水すると華やかさ、ナッティーさとオーキーで華やかなフルーツが開き、余韻にかけてのドライさが軽減されるが、個人的には古き良きシェリーカスクの姿が見えるストレートを勧めたい。


ソサイエティが2016年から約1年間かけてリリースしていた、日本支部向けリリースのうちの1本。
シェリーカスクというには色は薄めですが、アメリカンオーク由来のオーキーで華やかな香味に、オールドタイプのシェリーカスクに通じる懐かしいフレーバーも備わっている、複雑でナイスなモートラックです。

シェリー感はあまり強くないので、1960年代か1970年代初頭あたりに一度使われ、1980年代にウイスキーを払い出した後のアメリカンホワイトオークのリフィルが使われているのではと推察。樽由来の香味のバランスが丁度よく、モートラックらしい厚みのある麦芽風味が潰れず底支えとなって、近年ありがちな樽味のみでない仕上がりとなっています。
度数が48%まで落ちているので、ボトリング直後からすでに飲み頃という印象ですが、あえて古酒感を纏わせにいくのも面白そうです。

テイスティングパネルズチョイスは計7種類リリースされたようですが、このモートラックで打ち止め。新体制となったソサイエティから日本向けの新しいリリースがあるかはまだ分かっていません。
勿論今回のようなボトルばかりではないものの、原酒、樽共に揃いづらいボトラーズ受難の時代に、一定レベル以上のリリースを安定して展開出来るソサイエティの物量とコネクションは流石と言わざるを得ません。
先日記事にした通り、組織自体には設立初期に見られる混乱があったようですが、今後もこうした"シングルカスクでキラリと光る"リリースをお願いしたいです。