カテゴリ:
ARDBEG
UIGEADAIL
(No Aged)
750ml 54.2%

グラス:木村硝子テイスティング
量:30ml
場所:BAR飲み(Ambrosia)
時期:開封後2-3年程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:甘くピーティーでスモーキー、ハイプルーフらしく強いアタック。キャラメル、アーモンド、ひじきの煮付けを思わせる樽香由来の甘みやヨードのニュアンス。時間経過で土っぽい香り、溶剤のような刺激も奥から感じられる。

味:パワフルなアタックとともに広がる、スモーキーフレーバーと磯っぽさ、とろりとした甘み。みたらし、ローストアーモンド、焦げたウッディネス。
余韻はピーティーでスモーキー。ヒリヒリとした刺激を伴い程よくドライ、ウッディーでカラメルソースの苦味を伴う長い余韻。

パワフルで実に飲みごたえがあるアードベッグ。
仕上がりは多少荒いが、少量加水すると最初のアタックが収まりバランスが良くなる。キャラメルナッツを思わせる樽由来の甘みが引き立ち、焚き木のような焦げたニュアンスも強く感じられる。葉巻との相性も実に良い。


アードベッグの水源である、ウーガダール湖から名付けられたリリース。
ウーガダールが発売されたのは2003年のこと。発売当初は1991年、1993年蒸留のバーボン樽熟成原酒に、1976年と1977年のシェリー樽熟成原酒を少量バッティングした、実に豪華な構成でした。
アードベッグは1980年代に操業を休止、再稼働後も1989年から1996年まで非常に不安定な状態だったため原酒の種類も少なく、バランサーというか品質を安定させるためのミドルエイジとして、1970年代の熟成原酒を使用していたようです。(結果、色合いがアイラ島のピートが溶け込んだ水と同じ茶褐色になったのか、狙ってのネーミングかは、とりあえず後者ということに。)

勿論これは発売当初のみのレシピ。2004年、アードベッグの所有がディアジオ社に移った後もしばらくは類似の構成だったようですが、少なくとも現代においては、2000年代以降に蒸留された10年熟成程度の原酒で構成されているそうです。
まあ今も当時のままのビンテージだったら何年ものだよ、っていうか先日リリースされたアードベッグ21年はどうなるんだって感じですよね(笑)。

     
(ウーガダールのファーストリリース。ボトリングの年次は外箱に書かれている。野澤、国分の組み合わせが懐かしい。ラベルはトラディショナルストレングス表記が現行品との大きな違い。)

さて、前置きが長くなりましたが、このアードベッグウーガダール、現行品だからどうということはなく、中々良く出来たオフィシャルボトルです。
樽の構成は通常のバーボン樽原酒を主体に、リチャードバーボン樽、そして少量のシェリー樽といったところか。初期ロットと比べると、味わいの奥深さというか、1990年代アードベッグの現代とは違う荒さを包み込むまろやかさは得難いものがありますが、近年のアードベッグは中間がクリアで当時ほどの雑味がないので、はっきりとしたピートフレーバーに樽由来の甘い香味がうまく馴染んで、結果的に類似の系統になっている。
これはこれで良いじゃないかと思えるレベルに仕上がっています。

それこそ高騰するアードベッグのボトラーズリリースを追うなら、この1本で充分じゃないかと思えるクオリティとコストパフォーマンス。
テイスティングに記載したように仕上がりの荒さが多少あり、パンチも強いので初心者向けとは言えませんが、樽の使い方はラガヴーリンに近いものがあり、例えばアイリークのカスクストレングスを飲んで「美味しい」と感じるなら、このウーガダールもおすすめだと思います。