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WAKATSURU
SUN SHINE PREMIUM
Blended Whisky
700ml 40%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:50ml
場所:自宅
時期:不明
暫定評価:★★★★★(4-5)

香り:注ぎたてはスモーキーだが、すぐに乳酸系の酸味を伴う穀物香。食パンの白い部分、徐々にグレーンの甘みとレモングラスを思わせる爽やかさも感じられる。

味:香り同様乳酸系の酸味を伴うコクのある口当たり。軽やかな刺激、じわじわとシリアルなどの香ばしい穀物風味が広がり、モルティーで飲みごたえがある。
余韻はスパイシーでスモーキー。炒った穀物を食べているような香ばしさが長く残る。

若さは多少あるが、その中にあってバランスが良く、モルティーで嫌味の少ないブレンデッド。今時の流行りである華やかな樽香の効いたタイプではなく、その逆、どこか素朴で、無骨な印象さえあるまさに地の酒。
特筆すべきは加水しても崩れないところで、ハイボールも良い。若いリンゴのような爽やかさが開き、マイルドな飲み口でパン生地からスモーキーフレーバーへと繋がる。

当ブログでも何度か紹介させて頂いた三郎丸蒸留所の若鶴酒造が、これまで販売していた地ウイスキー、サンシャインウイスキーをリニューアル。クラウドファンディングの御礼品にもなっており、該当するプランで参加された方の手元には既にボトルが届いていると思います。(一般市場には4月下旬に展開されるようです。)

サンシャインウイスキーの発売は1953年、今から半世紀以上前に遡ります。
ウイスキーブームからの冬の時代を経て、細々と作り続けられていた銘柄。若鶴酒造のウイスキーの歴史とも言えるその味は、香味を楽しむというより、水割りなどでスッキリ酔うための晩酌ウイスキーで、決して味を楽しむモノではありませんでした。

今回、蒸留所の改修プロジェクトと並行する形で行われたサンシャインウイスキーのリニューアルは、同社で蒸留、熟成されてきたヘビーピート原酒に輸入原酒をブレンド。(若鶴酒造では創業時から50PPMという、アードベッグクラスのピート麦芽で仕込みが行われています。)
若さはありますが、使われた輸入グレーンは8〜10年熟成あたりで素性よく。モルト原酒は古くから蒸留を続けてきたメーカーの強みを活かして幅広い年次のものが使われているようで、モルティーで素朴な味わいから広がるスモーキーフレーバー、短熟のみではないバランスの良さも感じられます。

希望小売価格は2300円。モルト比率も高く、コスパで考えると近年のブーム価格ではなく、結構薄利で作ってるなという印象。 
例えば、角ハイやクリアハイボールでウイスキーを飲んで、何か物足りないと感じた人が次に飲んでいくような、あるいは「富山ハイボール」として地域の飲食店が積極的に展開して欲しい。ピーティーなウイスキーを作り続けてきた、若鶴酒造らしいキャラクターを、しっかり内包しています。

製造能力も販売力も大手メーカーには及ばないクラフトメーカーは、大手メーカーに追従して、1000円台で無個性なアルコール飲料をリリースするより、少し価格を上げて尖った商品を展開する方が、クラフトビールのようにコアなユーザーを獲得できるチャンスがあります。
他方で、2000円台はジョニ黒、バランタイン12年など有名スコッチがターゲットとなり、競争相手と比較されることも多いだけでなく、決して完成度の高いウイスキーが作れる価格帯でもない、1000円台に比べて難しいレンジ。
ただ、それを「まだまだだね」と切って捨てるより、その中でどれだけ光るものがあるか、伝わってくるメーカーの方向性を楽しんだ方が建設的だと考えます。

若鶴サンシャインプレミアムは大手メーカーの整った都会的な造りに対し、無骨で不器用な田舎的な魅力がある地ウイスキー。
機会があれば先入観抜きに飲んでみてください。この価格帯で一番の商品とは言いませんが、こんなもんかなという印象の中にも「おっ」と楽しめる蒸留所の個性を感じられると思います。