マッカラン 12年 シェリーオーク 40%
MACALLAN
Highland Single Malt
Sherry Oak
Aged 12 years
700ml 40%
グラス:サントリーテイスティング
量:30ml
場所:BAR飲み@(Y's Land IAN)
時期:不明
暫定評価:★★★★★(5)
味:とろりとしてスパイシーな口当たり、黒砂糖やプルーンの甘みから、ほのかにオロロソっぽい酸味、ウッディネスは徐々に生木っぽさを伴う。後半は単調。余韻はべったりとウッディ、シーズニングオーク、キャラメルの甘みを伴い長く続く。
シェリー樽由来の甘さはあるが、のっぺりとしていて香味共に後半単調で開かない。酒質だけでなく樽の厳しさを感じる1杯だが、これを大量生産しているシステムはある意味で凄い。ロックで飲む分にはそれなりに味はキープ出来る。
だいたいの人が一度は飲んだことがあり、今の時代のスタンダードの一つであるマッカラン12年シェリーオーク。
実は世界中で販売されている訳ではなく、シェリーオークはアジア圏を中心としたリリースで、免税向けには様々な樽を使ったノンエイジ商品に、欧州、アメリカなどではファインオークが中心という話。
少し古いデータですが、同社では年間26億円(2013年時点)を樽関連に投資しており、スコットランドに入るシェリー樽の約8割を確保するという、様々な努力の上で、なんとか成り立っているウイスキーです。
ただそのイメージは、好きな方を悪くいう訳ではないですが、BARでロックを飲むとなんとなく雰囲気の出る(ように感じる)ウイスキーで、合わせてハロッズ読本に書かれた「ロールスロイス」という表現が、お約束のように使われる。
一般的な知名度の一方、ウイスキー愛好家からは「今のマッカランは。。。」と軽くディスられ、そして率先して飲まれる機会は減っていく。
マッカランのスタンダードに対するイメージを書き出すとこんな感じですが、今回は先日発売したダブルカスク12年と比較するため、久々にスタンダード品もテイスティングしてみました。
単品で飲んだ印象は上述の通り。しかし飲み比べてみると、ダブルカスク側にあるアメリカンホワイトオーク由来のの癖やシェリーオーク側のスパニッシュオークらしい甘み、ウッディネスがわかりやすく、これは相互リンクしているウイスキーだと実感。どちらもシェリー樽原酒100%で構成比率の違うウイスキーであるため、逆に違いがわかりやすいのだと思います。
もう一つのマッカラン、ファインオークだと樽構成が違いすぎて、飲み比べても「まあバーボン樽入ってるから違って当然だよね」となってしまうのです。
ちなみにロールスロイスという表現は、その当時のマッカランの品質、こだわり、高級品としてのステイタス等の数々から例えられたものと言われているものの、実際当時の状況等からどうだったかというと、一つの本に書かれたに過ぎない言葉が、日本で独り歩きしている感はあります。
ロールスロイス社は1970年代に経営破綻、買収など紆余曲折ありましたが今尚高級ブランドとして存続しており、ゴースト、ファントム等に代表される、基本特性プラス超豪華な内装、設備を売りにしたクラクラしてしまうほどの高級車を少数生産で展開しています。(モーターショーくらいでしか見たことないですけどw)
マッカランも現行品の最上位グレードまで行けば、味の良し悪しはともかくロールスロイスとも言えるこだわりを見ることは出来ますが、勿論数は作れない。そう、ロールスロイスなんてそんなにバンバン走ってないんです。
この表現に拘るなら、現行品12年はさながらロールスロイスから技術提供を受けたメーカーが作った軽自動車、という印象。
結果、色々比較するとそんなに悪くないと思いつつ、ついついもっと頑張れよと思ってしまうのです。
コメント
コメント一覧 (14)
モルトウイスキーのロールスロイスだけが、日本で罷り通ってる感のあるマッカランですが
いつ頃の話なんだろうと思って調べると1978年のthe Harrods Book of Whiskyで
匿名のメンバーによる評らしいという事までは分かりました。
英単語をキーとしてGoogleで検索しても、何故か日本語のヒットの方が多い状況で
世界5大ウイスキーやサッチャー元首相のグレンファークラス105よりは実体のある
話ですが、さすがにもう古いのではないかと思ったりもします。
それと、1978年ってマッカランに初めてmarketing directorが置かれた年なので
まあそういう事かなと、少し邪推したりして
現行のドミニカやニカラグア産のも出来は良いのですが、どうしても過去のキューバ産に比較されてしまいます。
自分も無茶言うなよと内心分かっているのですが、凄いのを知っているからこそ、もっとどうにかならんのかとついつい言ってしまうこてがあります。
いつも有益な情報をコメントいただきありがとうございます!
自分もいつから言われているのか、どこの誰が書いたのか気になっていたので、これで一つスッキリしました。
1978年のマッカランとなると、相当良い時代のブツですから、この時代を指しての話ならば間違いなくロールスロイスだと思います。
他方、KAZさんもおっしゃるように、このロールスロイス評価は間違いなく日本を中心に根強く使われているPR表現だと思うので、もう良い加減古いというか、それこそ過去の栄光と言われても仕方ないところはありますね。
そしてマーケティングディレクターですか。。。なるほど、なるほど・・・。
確かになんにしてもそうですが、過去実績のあったモノは、ついついその成果に引きずられてしまいますよね。
葉巻はキューバという印象が強い(実際いいものも多い)中で、ダビドフも良いのですが、ドミニカということでその良さがわかるコアユーザー向けという感じでしょうか。
なんてことを書いていたらダビドフが吸いたくなってきました(笑)
ちょうど良い感じに仕上がってきたダビドフのエクスクリオ・ロブストがあるので週末吸いに行こうと思います!
ダビドフは、過去にキューバで生産されていたので、尚更比較されてしまうんだと思います。
キューバ産でも新旧比較され、議論のネタになってますしね。やはり昔のが良いという意見が多いように感じますが、結構いい加減に巻いたものもあって、まともに吸えないのもあったりしますからね。(現行のはいくらか改善はしてますが、まだわりとあったりしますが)
そのころからしばらく「昔にくらべ今のロールスロイスは・・」という嘆きの声がつぶやかれていました。
酒ではなく機械ですから性能は進歩しているはずですが、品質のこころざしで堕落したように言われてましたね。
重要な部品は型で鋳造するのでなく鋼材から削り出すとか、ピストンは誤差を徹底的に除いて作動させてまた組み直す、などの過剰なまでの工作が昔はあったそうで。
マッカランでもマーケティングで語られたさまざまの特質のなかで、大麦品種・酵母・蒸留加熱・熟成樽など変化しているものも多々あります。
嗜好品ですから改悪とまでは言いませんが、なんか普通になっちゃったんじゃ?という感は否めませんな。
興味深い情報、ありがとうございます。
そうした観点でロールスロイスを見て行くと、現在の方が機械化されて内装など見た目はラグジュアリーだが、車としての本質的な部分でどうかというと、「今は・・・」となるのかもしれません。
ちなみにウイスキーについては、今でこそ様々な情報からある種職人が神格化されつつあるものの、実際に昔の作りってどうだったのかと考えたら、昔からやっていることをそのままやってるだけだったり、結構アバウトだったりと、こだわり抜いていたとは思えない部分もあるんですよね。
実際マッカランにしても、ロールスロイスと言われた時代(1978年)のボトル、味は良いですが、麦の品種とか、樽はどうかとか、むしろ今のほうが徹底してやっているようにすら感じてしまうのです。
コメント&ご指摘ありがとうございます。
予測変換ミスですね、修正させていただきました!
これからも宜しくお願いします。
キューバンダビドフですね。
ウイスキーに関しては麦芽品種の違いなどから昔の方が良かったというのも説得力があるのですが、葉巻も何か明確な違いがあるんでしょうか。
巻き方も昔の方がいい加減そうな印象がありますね。
(ウイスキーも結構いい加減ですw)
葉の配合を変えたとかが一番多いと思います。
また、十数年前のハリケーンで、たばこ葉が打撃を受けて、その際に他国のキューバ種の苗を輸入して、新たに植えたのが影響してるとか、需要に応えるために熟成しなくても、そこそこ旨くなるようにしたせいとか色々聞きます。
昔のダビドフの畑が、今のコイーバやトリニダッドという最高級ラインで使われてるとか噂はありますが、なかなか分からないことが多いです。
確かにウイスキーと似ていますね
なるほど、葉巻も配合や畑違いなどいろいろあるのですね。
お話を聞いていてなんだかワインに似ているなと感じました。
島地さんは「葉巻は農産物」とおっしゃっていましたが、まさにそうなんだなと。
ウイスキー同様、この手の話は現地に行かないと伝え聞く話では限界があると思いつつ、しかしわかったからと言ってどうなるものでもない。しかし判るものなら判りたい。
どこまで踏み込むかの線引きが難しいです(笑)
覗いているのですが出物に出くわしません。
Googleブックスでヒットがありましたが、タイトルを間違っていたようなので
今さらですが報告してきます。
p.46と薄い本なので逸失する事が多かったのかと想像します。
書籍名 Harrods Book of Whiskies: Stories Behind the Great Names, Plus Tasting Guide to 64 Single Malt Whiskies
出版社 Harrods Limited, 1978
ページ数 46 ページ
続報ありがとうございます。
確かにいわばカタログ的な本をとって置くようなことは無いですし、ましてそれが1978年ともなると・・・。
本当にどこかにないものか、ソースの無い表現が一人歩きしている現状はむずがゆいですね。