マッカラン ダブルカスク 12年 40%
MACALLAN
DOUBLE CASK
Highland Single Malt
Aged 12 Years
700ml 40%
グラス:サントリーテイスティンググラス
量:30ml
場所:BAR飲み(Y's Land IAN)
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★(5)
香り:乾いた草を思わせるウッディネス、ほのかに漂う七味のようなスパイスのアロマ。カカオチョコ、微かにオレンジピール、時間経過でスパニッシュオークらしい生っぽいニュアンスを伴う樽香。
味:やや粘性のある口当たり。オレンジチョコの甘みとほうじ茶のような苦味、スパイシーなエッジの効いたウッディネスを伴う。中間はオールブラン、シーズニングオーク、コクのある舌触り。フィニッシュはビターで軽くスパイシー。口の中に張り付くように長く続く。
アメリカンホワイトオークのシーズニングらしいキャラクター、乾いたウッディネスや植物っぽい癖を要所に感じる。時間経過でドライプルーン系統の甘みも開きそう。度数以上の飲みごたえがあり、バランスも悪くないが、売り文句「ロールスロイス・マッカラン」に求めるフレーバーかと言うと。。。シェリー樽100%でリリースしたことはともかく、大量生産の難しさを如実に感じる味わいでもある。
昨日3月7日から国内正規品が発売された、マッカランの新しいスタンダードラインナップ。12年のレンジとしては、シェリーオーク、ファインオークに継ぐ第3のマッカランです。
昨日3月7日から国内正規品が発売された、マッカランの新しいスタンダードラインナップ。12年のレンジとしては、シェリーオーク、ファインオークに継ぐ第3のマッカランです。
IANで飲んでいたところ、サントリーの営業さんがちょうどこのボトルを持ってこられ、折角なのでとテイスティングしてみました。
シェリーオークはシェリー樽100%、ファインオークはアメリカンオークとスパニッシュオークのシェリー樽にバーボン樽の3種類が使われ、それぞれ異なる個性で市場に展開されてきました。
今回のダブルカスクの住み分けとしては、文字の上ではファインオークからバーボン樽を除き、アメリカンオークとスパニッシュオークのシェリー樽で作られたシェリー100%のブランドという事になります。
ではシェリーオークとは何が違うのかと言うと、これはアメリカンオークのシェリー樽の比率にあると考えられます。
マッカランは、基本的には自社でボデガに発注したスパニッシュオークのシェリー樽(シーズニング期間2年間)で熟成させているという話は有名です。
ではシェリーオークとは何が違うのかと言うと、これはアメリカンオークのシェリー樽の比率にあると考えられます。
マッカランは、基本的には自社でボデガに発注したスパニッシュオークのシェリー樽(シーズニング期間2年間)で熟成させているという話は有名です。
シェリーオークはこのスパニッシュオーク主体、ダブルカスクはアメリカンオークの比率が高いという印象。また使われたアメリカンオークのシーズニング期間は、体感で1年未満、あるいは半年程度とそれほど長くはなさそうです。
飲み比べても色、香り、味、その違いは明確に感じられ、希望小売価格はシェリーオークと同価格の7000円(4月1日からシェリーオークが1000円値上げし同価格に)。どうにかしてシェリー系のリリースを維持していこうとする、マッカランの戦略も垣間見ることが出来ました。
(写真左、ダブルカスク12年。写真右、シェリーオーク12年。ダブルカスクの方が複雑だが、色同様、シェリーオークの方が甘みの濃い樽感が感じられる。)
物足りなさは感じるものの、とりあえず現状の出来栄えは可なく不可もなし。
香味のイメージとしては口開け直後であるためか比較的スパイシーでウッディな苦味も強く、過去発売されたマッカランの限定品、エディションNo,1を飲みやすくしたような印象も受けました。
そう言う意味で、このマッカランは「らしさ」のあるオフィシャルなのかもしれません。
さて、ここまで書いて読み直すと、アメリカンオークを使っていることがマイナスであるような印象を受けるかも。。。と感じたので、誤解のないようにシェリー樽について補足すると、本来シェリー酒の熟成工程で使われる樽は、アメリカンオークで作られています。例外的に一部スパニッシュもあったようですが、主たるものではありません。
ここから先は諸説ありますが、ウイスキー製造の歴史の中で、需要が増えたシェリー樽に対応すべく、シェリー酒を染み込ませて樽を売り出すための「シーズニング」がボデガのビジネスとなり、アメリカンオークに比べて香味がつきやすいスパニッシュオークが1970年代後半、あるいは1980年ごろから主流となっていきました。
マッカランは1974年から自社で樽工場まで作り、スパニッシュオーク樽を量産しています。かつてマッカランの日本向け背面ラベルには2年間のシーズニングを説明する記述もあったほどです。
今回マッカランが使っているのはシーズニングで作ったアメリカンオークのシェリー樽で、シェリー酒製造工程本来のものとは異なるものと考えられます。
これを持ってシーズニングが悪い、スパニッシュが悪いと言う話をする訳ではありません。また、ダブルカスクを飲んで味が落ちたと感じたなら、それはアメリカンオークが味を落とした要因とするのも早計で、あくまでシーズニング樽の仕上がりの一例として捉えておくべきなのかなと思います。
コメント
コメント一覧 (6)
マッカランの原則にのっとれば、シーズニング期間は18ヶ月でしょうか
スパニッシュオークのシェリー樽100%の12年はリフィルも
使用しているそうですが、 樽の違いによる影響が如実に出てるなと感じます
コメント&情報ありがとうございます。
ファーストフィルですか・・・確かにスパニッシュオークはかつて18ヶ月と記載がありましたが、アメリカンオークのほうはずいぶんシェリー感がライトに感じられたので、18ヶ月もシーズニングしているか微妙だなと感じました。
なんてことを考えていたら、ウイスキーマガジンの特集記事では2年間シーズニングしたと書かれており、まじかよと(笑)。
何れにせよ今回のリリース、樽の違いがはっきりと感じられ、教材として経験値を積むにも良いかなと思っています。
また擬似シェリー樽と言われているものでは南アフリカ産が圧倒的で、
この南アフリカ産のオークはアメリカン&フレンチオークに比べて木孔がスカスカらしく、よく言えばシーズニングの際に味が入りやすく、悪く言えばスコッチを詰めた際に味が抜けやすいそうです(ネガティブな部分も含めて)。
その結果近年の擬似シェリー特有の味が生まれるわけです。
一つの蒸溜所でこれほど個性の異なるシリーズをピーテッド麦芽を使わずにリリースしてる蒸溜所はそう無いのではないかと思います。
私はシェリー樽系によくあるレーズンの香りの由来はペドロヒメネスなのではないかと思ってます。
都内のシェリー酒で有名なバーでペドロヒメネスを初めて飲んだ時、まるで液体カリフォルニアレーズンの様だと驚きました。
歯が溶けそうなほど甘かったです笑。
シェリー酒もウイスキー並みに種類によって味に個性があるので面白そうです。
そういえばマッカランはシェリー酒の種類について、オロロソのみを使ってるのか、ペドロヒメネスも使ってるのかといった情報はあまり公開されてなかったと思うのですが、その辺りも4シリーズの中でどの様に使い分けられているのか気になりますね。
素晴らしい情報、ありがとうございます!
やはり2年間もシーズニングしている味じゃないですよね(笑)。
また、このウイスキーマガジンの記事は伝統的なシェリー樽がスパニッシュオークとか、結構さらっとすごいことを書いているので、あまり信頼はしていませんでした。
擬似シェリー用のアメリカンオークが南アフリカ産で、木孔がスカスカというのは非常にいい情報をいただきました。
確かに樽によって本質的な味の違いが結構出ているなと感じていたので、自分でも改めて調べてみます!
確かに、マッカランは例示いただいたシリーズ以外にも様々なリリースをしていますから、ブレンダーしかり樽の使い分けしかり、かなり工夫と管理をされているのでしょうね。
まずマッカランの樽ですが、これは一応「オロロソ」が主体です。ただ、マッカランのスタンダードに使われている樽はほぼ全てがシーズニング樽で、ここで使われるオロロソというのが、通常の製法で熟成を重ねたオロロソシェリーではなく、オロロソシェリーっぽい味のするシェリー溶液なのだそうです。
実際、マッカラン用の樽に入れられていたシェリー溶液を持ってきてもらい飲んだのですが、コクのない、ソースのような酸味のあるシェリー酒(?)でした。
こうしたもので樽に味を染み込ませて、ウイスキー用の樽にした後でウイスキーメーカーに出荷しているのが近年のシェリー樽です。
そしてペドロヒメネス(PX)は、おっしゃる通り極甘口でレーズンのような味わいがありますね。
ただ樽での熟成は、シェリーが溶けでるだけでなく、樽そのものも溶けるので、シェリーの味がそのまま移るわけではありません。
グレンドロナックなどでPX樽で熟成させたウイスキーも発売していますので、機会があれば是非飲んでみてください。
樽とウイスキーの関係は非常に奥が深く、まさに永遠の謎です(笑)