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GLENFARCLAS
Highland Single Malt Whisky
Aged 25 years
700ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後1年程度
評価:★★★★★(5)

香り:青みがかった甘い香り立ち。アロエを思わせる植物感、バニラ、ウッディーなえぐみが追いかけてくる。徐々に乾いた木、オレンジピールのアロマが開く。

味:色は薄いがウッディーでカカオパウダー、じわじわとサルファリーで苦味とえぐみを伴う口当たり。ボディは厚みがあり、苦味の奥には色の濃い蜂蜜を思わせる甘みもある。
余韻はスパイシーでウッディー、ビターで長く続く。
   
酒質そのものは決して悪くは無いが、出がらしのシェリー樽をさらに強引に絞ったようなニュアンスを連想させる苦味やえぐみが強く、良質なシェリー樽特有の深い甘みや果実味がほとんど感じられない。
加水するとまろやかでえぐみも収まり飲みやすくなるが、多少ピンボケしたような印象も。


圧倒的ストック量から、シェリー樽中心のリリースを貫くグレンファークラス。
最近はメインモルト&キャンベルタウンロッホの1989、信濃屋プライベートボトル10周年記念の1991、といった1990年前後のビンテージが話題になったところで、じゃあオフィシャルラインナップの同年代蒸留あたりのボトルはどうだろうと、25年を改めて飲んでみることにしました。
思い返せば試飲で何度か飲んだ記憶はありますが、腰を据えて宅飲みするのははじめです。

蒸留時期はほぼ同じとしても、オフィシャルは量産品ゆえ、評価された2銘柄のように飛びぬけてよい原酒ばかりで構成されてはいない。という認識の下、最低限これくらいだろうと想定はあったわけですが・・・正直これほど上記2樽の"選ばれし"感が際立つとは思わなかった、というのが本音でした。

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(グレンファークラス蒸留所外観。かつては2本の煙突の奥にキルン塔があったようだが、それ無き今はまるで何か別の工場のように見える。雄大なスコットランドの大地の中に、溶け込むように建っている。Photo by K67)

もちろん好みの問題も多分にあると思いますし、そもそも樽の種類も異なります。
上述2本はどちらもファーストフィルのスパニッシュオークですが、この25年のキーとなっているのはセカンドやサードフィルのアメリカンホワイトオークが多めの印象。
全体的に樽に苦労した時期なんだなという事が想像できます。

グレンファークラスは酒質が強くフルボディであり、濃いシェリー樽にも負けずにバランスが取れるところが魅力の一つです。
また、そうした酒質であるため加水でも中間から後半にかけてヘタらず、シェリー樽以外の樽香のノリも良い。バーボン樽熟成で稀にリリースされるボトラーズなどにも、結構美味しいボトルが多かったりします。
ただ、それは当たり前のことですが、樽が一定品質以上であれば、と言うところ。
やはり樽なんですね。販路を広げれば良質な樽が不足する。生産を絞れば経営が苦しくなる。現在のスタンスのように特別なリリースにのみ良い樽というのはある種正しいですが、全てを解決できる方法はないものでしょうか・・・。