カテゴリ:
GLENFARCLAS
Bar Main Malt & Bar Campbelltoun Loch 
Aged 26 years
Distilled 1989
Bottled 2016
Cask type Sherry Butt #13009
700ml 52.3%

グラス:サントリーテイスティング
量:30ml以上 複数回
場所:BAR飲みなど(GOSSE@目黒)
時期:開封後2ヶ月弱まで
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:リッチでスパイシー、焦げたような樽香を伴う香り立ち。黒砂糖、ドライクランベリー、枝付きレーズンの果実味と甘み。序盤はウッディで少しゴムっぽさもあるが、徐々に甘みが開いてくる。

味:リッチでイチジクの甘露煮、レーズンチョコレート、ほのかにドライクランベリーなどの果実感を伴う甘みと焦げた焼き芋、ビターチョコレートの苦味が合わさって広がる。
余韻はウッディでドライ、微かにハーブのニュアンスが鼻腔に届く。甘みは淡い香木感を伴い長く続く。


昨年末、ウイスキー愛好家の間で特に話題となったボトル。
日本を代表するウイスキーBARといっても過言ではない、西の聖地メインモルトと、東の聖地キャンベルタウンロッホが共同でボトリングしたグレンファークラス。
ラベルのデザインはウイスキーテイスターの吉村さんが担当されたとのことで、関わったメンバーだけでも錚々たるものですが、それ以上に話題になったのはその中身です。

系統としてはスパニッシュオークの香木感を伴うウッディでリッチなフレーバーで、口当たりで感じた甘みが余韻までしっかり続いていく満足感の高い構成。近年のグレンファークラスのリリースと比較して、相当良い樽を引っ張ってきた事は明らかで、シェリー系ウイスキーが大好物な濃厚民族を中心に絶大な支持を集めました。

(年末年始で大きな話題となった1989、1991、2本のファークラス。同じシェリーバットだが色は1989の方が透明感のある仕上がり。飲み比べた感想は後述。)

これだけ話題になったボトルだけに、遭遇率は非常に高く、BAR飲み、個人宅と、テイスティングの機会はだいぶ恵まれました。
そうした中で感じたのが、開封時に話題となった「オールドシェリーを思わせるフレーバー」が、時間経過でこなれ、ウッディな苦味が前に出てきている傾向があるのではないかという事。
シェリー系のウイスキーにはよくある話で、特に驚く変化でもありませんが、この後再び苦味が落ち着いて全体が慣れてくる段階まで、少し時間をおいても良いかもしれません。

また、約1ヶ月差でリリースされ、同様に話題となった信濃屋のグレンファークラス1991は、このグレンファークラス1989とは何かと比較される存在。
開封時期が異なるので一概には言えないものの、双方スパニッシュオークのシェリー感で、リッチな味わいから余韻にかけてタンニンが収束するか、甘みが残るかという方向性の違い。
どちらも近年シェリーの中ではクオリティが高く、もはやここから先は好みの問題であると感じます。

それ以上に注目すべきは、アジアを中心とした海外市場が日本以上に力を持ってくる中、貴重な良質シェリー樽モルトが合計1000本以上日本向けにリリースされた事。2010年頃まではJIS向け等で良質な長熟樽がガンガンリリースされた時期もありましたが、この5年間で時代はがらりと変わってしまいました。
そんな時代にあって、今回のリリースは素直に凄い事だと思います。
インポーターだけでなく、愛好家個人が様々な関係を繋いでくれた事が実を結んだ結果ですね。