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ASAKA
SASANOKAWA SHUZO
NEW POT
Disitlled 2016.12.26
Bottled 2017.01.13
250ml 63%

香り:酸味が強く、ドライなアルコール感と微かに発酵臭を伴うアロマ。加水すると乾燥させた麦芽、おかき、無糖のシリアルを思わせる香ばしさを感じる。

味:軽くスパイシーな口当たり、最初はニューポットらしい乳酸系で微かに発酵したような酸味、口の中で転がすとオイリーで香ばしい麦芽風味が主体的に。
余韻は麦芽系のフレーバーが後を引きつつあっさりとしている。
ボディはミドル程度、加水するとバランスがとれて口当たりは柔らかくまろやかに。

まごうことなきモルトウイスキーのニューポット。どこか垢抜けていない素朴なニュアンスを伴う、個性のプレーンなハイランド系統の仕上がり。
酸味が多少強いが、発酵臭や温泉卵のような硫黄系の要素は少なく、加水の変化を見ても素性は悪くないと感じる。
中長期熟成向けの原酒であると感じる一方、今後蒸留のノウハウやイメージが蓄積する中で、どのような方向性で蒸留所のキャラクターが洗練されていくかを見て行きたい。

笹の川酒造が昨年操業した安積蒸留所、そのニューポットが福島県を中心に出荷されました。
蒸留は2016年12月26日、ボトリングは2017年1月13日で、年末を挟んだこともあり、この約3週間はタンクの中でボトリング待ちだった模様。
そう言えば昨年告知された福島屋商店の樽オーナー制度の樽詰めは、2017年3月ですから、これと同系統の原酒が使われるのかもしれません。

今年中にはピーテッドモルトの仕込みも行われる予定とのことで、この酒質でピーテッドであれば、アイランズ系統の中々楽しめるモルトができるのではないかと感じています。
地元に蒸留所が稼働を開始しただけでも嬉しい事ですが、活発な動きがあるのはなおの事。今後も引き続き紹介していきたいです。

(安積蒸留所のポットスチル。間接加熱式でストレートヘッド。三宅製作所製。)

日本に限らず各蒸留所のニューポットをテイスティングすると、それぞれに特徴があり、狙っているキャラクターで違いが出ていることがわかります。
ニューポットが熟成していく過程や、熟成を終えて製品化された後、その全行程から作り手はフィードバックを受けて、目指すキャラクターを絶えず調整していきます。

対して、まだ稼働し始めたばかりのクラフトディスティラリーは、一定期間熟成させたマイルストーンとなるリリースがないため、先をイメージしながら原酒を作っていくことになります。
例えるなら連載開始時点の漫画のようなもので、書かれ続けるうちに、画風とキャラクターにも変化があり、徐々に個性が洗練されていくようなもの。
安積蒸留所のニューポットも、このリリースが完成形ではなく、様々な原酒が作られ、ノウハウが蓄積し、目指す個性がはっきりとしていくのだと思います。

今回のリリースだけでなく、津貫、長濱、そして今年中には厚岸、三郎丸、静岡といったその他の蒸留所からもニューポットのリリースがあると思いますが、彼らのスタート地点に立ち会えるというのは、この時代にウイスキーを飲んでいたからこその楽しみでもあります。

ニューポットは決して美味しくはないもので、将来の姿に思いを馳せて楽しむものです。(プラス地元の酒であれば、それだけで感慨深いものも。)
10年後、20年後にリリースされているであろう製品から、2017年の今を振り返った時、どのような個性が育っているのか。
願わくばその時代まで、日本のウイスキー産業が成長を続けていることを祈って、今回の記事の結びとします。