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GLEN DEVERON
Highland Single Malt
Aged 30 Years
Royal Burgh Collection
700ml 40%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:50ml
場所:自宅(サンプル@モルトヤマ)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6-7)

香り:甘く華やかな熟成香。少しグラッシーで、ミントタブレットを思わせる爽やかさ。アプリコット、熟した洋梨、合わせて60年代のトロピカルフルーツを思わせるニュアンス。徐々にウッディーな樽材のアロマも強くなってくる。グラスの残り香はウェアハウスを彷彿とさせる。

味:少し水っぽい口当たりから、フルーティーな樽感。林檎のカラメル煮、アプリコットジャム、カカオチョコレート、香り同様にトロピカルなニュアンスが麦芽風味と共に現れ、鼻腔に抜けていく。ややボディは軽いが充実した熟成感だ。
余韻はドライでウッディ、濃く入れた紅茶のタンニンの渋み、フルーティーで長く続く。

マクダフらしい、ほのかにミントを伴う充実したフルーティーさがポイントとなる1本。多彩な香味と強い熟成感は、30年以上の長期熟成原酒だからこそと感じられる構成。
加水しても少量程度であれば大きく崩れることはない。麦芽風味が開くだけでなく、余韻のウッディーさとバランスがとれてくる。

ウイスキー仲間の"富山の白豹(個人的に命名)"ことモルトヤマの下野くんからサンプル交換で頂いた1杯。昨年末に頂いて、ずいぶん寝かせてしまいました(汗)。
マクダフの30年は一度BAR飲みして「こりゃ中々良いぞ」と感じていたボトル、加水ボトルだけに家飲みでじっくり飲む機会を貰えて有難いです。

度数は40%ですが、ボトラーズのシングルカスクにあるような香味の軽い度数落ちではなく、複数樽、複数原酒ゆえの香味の多彩さ、そして麦芽風味が柔らかいボディの厚みに繋がっている印象。やや過熟気味でウッディでドライながら、30mlを抵抗なく飲み干せるバランス。緩く蓄積していく飲みごたえが、オフィシャル加水ボトルの良さとも言えます。

加えて、このボトルの強みは何と言っても現行品で手軽に味わうことが難しくなりつつある、1960〜70年代蒸留のモルトに感じるフルーティーなニュアンスが、2万円弱、ギリギリ1万円代の価格で手に入る事にもあります。
構成原酒としては、メインは1980年代前半あたりだと思いますが、同時期までのボトラーズリリースのマクダフで見てみると、同様にフルーティーなリリースが多く、酒質や熟成環境からこうした原酒が出来やすいのかなと推測しています。

なお、同蒸留所から近年リリースされる短熟やオフィシャルの10年代は、ドライでライト、素直な酒質。ハイランドモルトでありながら、系統としてはスペイサイドモルトに通じるキャラクターが見られます。
蒸留所の立地は海にほど近い、河口のほとり。塩気があるとか島的なニュアンスは見られませんが、河川敷で低い気温、程よい湿度から、近い環境となっているのでしょうか。
樽次第でフルーティーさの際立つものもあり、あとはベースとなる酒質次第。今後の成長に期待出来る蒸留所だと思っています。
(モルトヤマが昨年リリースしたプライベートボトルの第一弾、マクダフ2006-2016 バーボン樽熟成 50%。やや単調気味ですが、華やかで樽由来のフルーティーさがわかりやすい1本。)