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TOMATIN
Highland Single Malt 
Age 25 Years
Matured In North American Oak Casks
700ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml程度
場所:自宅持ち寄り会@Tさん
時期:開封後1週間以内
評価:★★★★★★(6)

香り:華やかでリッチなフルーティーさと、すぐに機械油を思わせる特徴的なケミカルフレーバーを伴う香り立ち。オーク由来のバニラやバタークッキーの香ばしい甘さ、パイナップルキャンディー、風邪薬シロップ。香りは徐々にドライになっていく。

味:お菓子のフルーツキャンディーや熟したオレンジのような甘みを伴うまろやかな口当たりから、すぐにドライに変化。ボディは軽く、奥に乾いた牧草を思わせるウッディネスが余韻にかけて存在感を増してくる。余韻は華やかでドライ、ウッディーで強いタンニンを感じる。

ラベルに書かれた"Matured In North American Oak Casks"はバーボン樽とシェリー樽のバッティングの意味か。香りはフルーティーでふくよかだが、味はややドライで軽い。かなりの長期熟成が使われていると考えられる。加水すると特に味が水に負ける印象があり、ストレートで時間をかけて香りを開かせ、楽しみたい。
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最近大幅なボトルデザインチェンジをした、トマーティンの旧ボトル。
このボトルの最大の特徴は、何と言ってもトマーティンの当たり年といわれた、1976年蒸留を思わせるフルーツフレーバーがしっかりあるところにあります。
ただ、流通時期をざっくり2010年として計算しても、25年原酒の蒸留時期は1980年代半ばとなり、この時期は酒質の系統が中性的になってきていて、これほどのケミカルフレーバーは感じられません。
とすると、最も若い原酒として25年は使われつつも、ブレンドには1970年代蒸留の原酒(35~40年)が相当量使われているのではないか・・・というのが個人的な印象です。

それを裏付けるように、香りはフルーティーでややケミカル、バタークッキーのような甘みもあって充実していますが、味はややドライ気味で特にボディが軽く、余韻にかけては強くタンニン。長期熟成のウイスキーに見られる傾向が感じられます。
43%加水であることも、この構成となる要素の一つなのでしょう。トマーティンはそこまでボディの強い酒質ではないので、長期熟成原酒を使ったことで出てしまう渋みやウッディネスを加水で整えた結果、こうした仕上がりになったのだと思います。
これらは自分の推察で実際のところどうなのかはわかりませんが、これだけの原酒を使っているとすれば、同時にメーカー側の気合も伝わってくるようです。

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(1972年蒸留のトマーティン30年。この頃になると特徴的なケミカル系フレーバーは無く、柔らかい口当たりで個性はそれほど強く無い内陸系モルトという印象。1960年代も同様。)

また、最近はリリース高騰と原酒枯渇により、貴重になってしまった1970年代中ごろのトマーティンの味が感じられるという意味でこのボトルもまた貴重な1本であるように感じます。
こうした背景からネット市場では既に在庫がないボトルですが、トマーティンを扱う国分は個人経営の酒屋やスーパーマーケットなどにも商品を卸していましたので、ひょっとすると当時価格で店頭に残っているモノもあるのではないかと思いますので、見かけたら懐と相談ですね(笑)