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MACPHAIL'S 2000
Gordon & Macphail
Malt Soctch Whisky
"A vatting of rare single malt whiskies the combined ages total 2000 years"
2000ml 40%

グラス:テイスティンググラス名称不明
量:30ml以上
場所:個人宅
時期:開封後1年程度
評価:★★★★★★★(7)

香り:モルティーで華やかな香り立ち。微かなミント、アルマニャックの古酒を思わせるまろやかな酸味とウッディネス、アプリコット、リンゴのカラメル煮、奥には腐葉土を思わせるアロマがあり、長い熟成を感じる。

味:まろやかな口当たりからドライで強い熟成感。カラメルソース、ナッツ、リンゴのカラメル煮、リッチな甘さと古酒系のヒネ。ボディの線は少々細めだが、中間から後半にかけてはウッディー、コクのある甘味を伴い長く続くフィニッシュ。


GMが2000年の到来を記念して発売したミレニアム・リミテッドリリースなブレンデッドモルトウイスキー。
容量2000mlに2000本限定と、2000年とかけた要素が特徴ですが、その中でも飛び抜けているのが、ジャグの重さまで2000gという拘りよう・・・ではなくて、ブレンドに使用された構成原酒の熟成年数の合計値。ボトルや説明紙にも書かれているように、最長60年を含む様々なモルト古酒が使用され、熟成年数の足し算が2000になるように調整されているという、ワケがわからないレシピで構成されているのです。

当時は多くの長期熟成原酒を、ボトラーズが安価でリリースしていた時代。加えて、原酒保有量が群を抜いているGMだからこそ出来たブレンドであると言えます。
ただ、あまりに現実離れした発想に、初めて素性を聞いたときは正直理解が追いつきませんでした(笑)
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このボトル、日本において比較的流通の多かったGMのリリースでありながら、 ほとんど情報が無く、話題にもなっていないのも特徴。自分が知っている限り、紹介しているのは盛岡スコッチハウス著のスコッチオデッセイくらいですが、2000年記念ボトルという簡易的な紹介しかされていません。

その中身については、海外の愛好家が検証を行っているようで、度数や出荷量などから逆算し、ほぼ1950年代から1960年代蒸留の原酒ではないかとのこと。実際に飲んでみると、その検証結果を裏付けるように40年クラスの熟成を思わせる甘味、オールドシェリーと強いウッディネスを感じます。
また、熟成の長さからか中間はやや線が細い感じで樽感主体、所謂GM味のカラメル風味。アイラ系の要素はほぼ感じず、スモーキーさも控え目であるあたりから、原酒構成はハイランドやスペイサイドが中心でしょうか。
GMの原酒保有の傾向で考えれば、マッカラン、ストラスアイラ、モートラック、リンクウッド、グレングラントあたりを連想します。特にGMからマクファイルとしてリリースされていたボトルに共通する香味を感じました。

ウイスキーは2000年熟成とかムリだけど、足し算ならイケる。どうだ、これぞ1000年に一度を祝うに相応しいだろう、というGMの心意気を感じるようです。
「さすがGM!!俺たちに出来ないことを平然とやってのけるッ! そこに痺れる!憧れr(ry」


さて、今回テイスティングしたボトルはウイスキー仲間のK兄さんが結婚された際、その場で開栓した振る舞いボトル。その残りを先日再度テイスティングさせてもらったわけですが・・・。実は我が家にも1本あります。
先に書いたように日本ではあまり有名では無いボトルであるためか、思わぬところに比較的良心的な価格で転がっていたのです。

このボトルは11月27日に開催するオールドブレンデッドテイスティング会、そこでのスペシャルアイテムとして提供しようと考えており、近日開封予定です。
最近は随分遠い存在になってしまったGMの長期熟成モルト原酒。ちょっと前はこのレベルでも結構気楽に飲めたんです。
我々が生きているうちに再度リリースされることはない、千年に一度にして究極の悪ノリ企画。参加される方はこちらも併せてお楽しみください。