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※再掲のお知らせ※
売り切れていた樽オーナー募集が再開されたとのことで、10月14日に更新した本記事の記載を変更、再掲します。
同クラウドファンディングの募集期間は残り21日、現時点で1750万円を集め、目標金額2500万円まであと30%というところまで来ています。
ここまできたら、達成に向けてラストスパートで頑張って欲しいですね!

ー以下、紹介記事ー

先日、富山県は若鶴酒造のウイスキー事業として、三郎丸1960の紹介をさせていただきました。
発売されたオフィシャルボトルとしては日本最長熟成となる55年原酒に、ウイスキーファンなら少なからず興味をもたれたのではないかと思います。
そしてその三郎丸蒸留所が、蒸留所の改修事業の一環としてクラウドファンディングで資金の募集を開始しています。
(クラウドファンディングって何?って方は、説明すると長くなるのでぐぐってくだせぇ。)

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北陸唯一の蒸留所を改修し、ウイスキー好きが集まる見学施設へ(11/30まで)
https://readyfor.jp/projects/saburomaru

若鶴酒造のウイスキー蒸留設備は、築90年以上という建屋で行われており、ウイスキー量産はもちろん、大人数の見学受け入れも難しい状況にあります。
蒸留行程にはポットスチルが1基しかなく、全行程をほぼ手作業で行うという、近代ウイスキーのルーツである密造時代を彷彿とさせるような製造行程で極少量のみ生産されています。
その全行程はクラウドファンディングのサイトに掲載されていますが、通常の大手蒸留所では自動化されているところは全て手作業、麦芽の計量やミルへの投入風景、麦芽カスの掃除、一つしかない蒸留器を使っての2回蒸留など、ウイスキー作りの大変さが伝わってくるようです。
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詳細はこちらから:https://readyfor.jp/projects/saburomaru/announcements/43738

今回のクラウドファンディングは、蒸留所の改修、並びに設備の新設等にかかる費用の一部を募るもので、目標額は2500万円(改修にかかる総額は6500万円)という大規模な募集となっています。

仮にファンディングが成立しない場合でも、同社はウイスキー事業から撤退することはなく、手元に準備できている資金をベースに、可能な範囲で蒸留所の修繕を行う計画とのことです。しかしあくまで老朽化した蒸留所全体の建て直しがメインとなり、見学設備の充実や、蒸留器の新規購入などはしばらく困難になりそうとのこと。

私はこれまで富山の地とは縁も所縁もありませんでしたが、友人であるモルトヤマのイケメンが富山から世界にウイスキーを広めようと活動していることや、プロジェクトリーダーの稲垣さんが同世代とあって、他人事とは思えないんですよね。
そんなわけで今回の企画、私はお小遣いで可能な範囲で参加しますが、地元富山や北陸地方の皆様をはじめ、日本のウイスキー愛好家による支援で、地元で愛されるウイスキーだけでなく、それを世界に発信する流れが出来ればと思います。

クラウドファンディングリスト
(若鶴酒造クラウドファンディングのリターンラインナップ)

さて、ファンディングに参加することで得られるのが上記のリターン。中でも、最も目を引くのは150万円コースの樽買いでしょう。
購入出来るのは新設される銅製蒸留器で生産されるニューポットで、樽はバーボンバレル、容量は200リットル程度。
熟成は5年間無料で、その後は延長費用を収めることで追加の熟成が可能となります。
ボトリング費用は150万円の中に含まれており、ラベルも自由にデザインできるそうです。
また、通常はカスクストレングスですが、オプションとして40%以上であれば加水調整して度数を下げたボトリングをすることも受け付けるそうです。

このリターンは10月末まで売り切れの状態でしたが、試験蒸留の結果、良好な成果が得られたとのことで、5樽分の追加販売が決定しました。
ご参考:来年増産に目処、樽オーナーの募集を再開します。

とはいえ、若鶴酒造(三郎丸蒸留所)のシングルモルトは過去少量しかリリースされておらず、ブレンデッドも地ウイスキー規格と言える構成。蒸留所の実力もわからない中で、樽買いというのは困難な決断と言えます。
そこで今回は、若鶴酒造で作られているウイスキーの仕様と、その味わいについていくつかのサンプルから紹介させていただきます。

熟成庫

若鶴酒造のシングルモルトは
麦芽:スコットランド産
ピート:50PPM
酵母:エール酵母
樽詰め:63-65%
使用樽:バーボン樽、古樽中心
という、日本のクラフトウイスキーには珍しい全てピーテッドタイプで生産されています。正確な時期は不明ですが、操業当初からピーテッド麦芽を使用していたという話もあります。

現在、ピート麦芽はノーマルなものよりコストがかかるようですが、蒸留所の伝統に加え、富山のウイスキーとしてキャラクターを確立させるためにも、こだわっていきたいポイントなのだとか。
ピートの強さを表すフェノール値50PPMは、アードベッグ(55PPM)とほぼ同等。ただし仕込みで使われているのが内陸系のピートのようで、ヨードや磯臭さに繋がる香味はなく、ハイランドのほろ苦くスモーキーなタイプです。

また、同蒸留所では熟成中の樽の保管を温度管理された倉庫で行っており、熟成が穏やかに、長期的に続く傾向があります。
これまでテイスティングした熟成20年以上の原酒はスコットランド的な樽感となっていて、面白い仕上がりだと感じました。
今後の保管方法は検討事項とのことですが、ストックされている原酒にそうしたものがあるというのは、原酒が限られるクラフト系の蒸留所にとってアドバンテージに繋がります。
それでは前置きが長くなりましたが、原酒のテイスティングに移ります。


・ニューポット 2016年蒸留 仕込み第一号。
まるでおせんべいや餅を焼いたような香ばしさ。発酵した植物のような酸味と微かに温泉卵を思わせる香り。
口当たりはとろみがあるが舌を刺激するスパイシーさ、香ばしい麦芽風味、ゴムのようなニュアンスも。余韻は最初からのスパイシーさの名残を残し、焦げた麦芽のほろ苦さが染み込むように残る。

・22年熟成 1994年蒸留 サンプルA バーボンバレル 57%
蜂蜜の甘さと薬草のような香り、ウッディーな木のアロマと微かにゴム臭。
とろりとしているがスパイシーな口当たり、麦芽の香ばしさ、シリアル、薬のシロップのような甘み。徐々に土っぽくほろ苦いピートフレーバー。

・22年熟成 1994年蒸留 サンプルB バーボンバレル 57%
バーボンオークの華やかなアロマ、洋梨やバニラの甘みとハーブのニュアンス。少し溶剤っぽさ。
スムーズでじわじわとスパイスの刺激と香味が広がる。モルトスナック、バーボンオークの甘みからほろ苦いピートフレーバー、薬草のシロップ。

・22年熟成 1994年蒸留 サンプルC バーボンバレル 57%
梅のような酸味と乾いた木を思わせるアロマ。徐々にマシュマロ、薬っぽいニュアンス。
とろりとした口当たり、ドライアップル、イチゴ味の薬のシロップの甘さ。 余韻でじわりとピート。少し舌を刺激する要素はあるが、度数から考えればまろやか。 

・26年熟成 1990年蒸留 バーボンバレル 59%
きれいなバーボンオーク、地ウイスキーを思わせる酸味、ハーブ、スモーキー。個性と樽感のバランスの良い香味で、最も期待できる。

原酒の傾向は内陸系のピートに加え、薬草や薬っぽい個性。某S社が作るような、綺麗に旨いウイスキーではないです。
特にニューポットは蒸留器の関係もあってか、かなり個性的というか灰汁の強い味わい。しかしこれが20年を越える熟成を経た原酒となると、樽次第で中々面白い仕上がりとなっています。 

また、銅製の新しいスチルが導入されればニューポットの質も相当改善されるであろう点に加え。つい先日、イチローズモルトの肥土伊知郎氏が訪問され、技術指導をされたところ、それ以降の原酒はネガティブな要素に改善が見られました。つまり、まだまだ伸びしろはあるということだと感じます。

しかしそうは言ってもなおのこと、実際に飲んでみないと。。。というのは至極まっとうな意見。
若鶴酒造は今年11月20日に開催されるウイスキーフェスにブース出展されるそうです。
20日というとファンディング締め切りまで1週間強で、樽買いを含めた支援の決定には最後の確認的なスケジュール感にはなってしまいますが、そうした目的の有無に関わらず、是非ブースで富山発のウイスキーを体験してみてください。

ご参考:https://readyfor.jp/projects/saburomaru/announcements/43685