カテゴリ:

BALLANTINE’S
FINEST BLENDED WHISKY
(No Aged)
1960-1970’s Japan Tax
86proof 1quart

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後1週間強
評価:★★★★★★(6) (!)

香り:ブラウンシュガーや淡いカラメルを思わせる色の付いた甘い香り立ち。ヒネ系のフレーバーから徐々にこなれたピート、ハーブ、甘酸っぱいドライフルーツを思わせるアロマもある。

味:サルタナレーズンやオレンジピールを思わせる果実味に乾いた麦芽、モルティーな風味から熟したメロンのようなとろりとした甘み、厚みのある味わい。
余韻にかけては鼻抜けにスモーキーさを感じつつ、軽いスパイスにみたらし、燻した藁とオールドピートの香ばしくほろ苦いフレーバーが、じわじわと染み込み長く続く。


今回のボトルは、1960年代後期から1970年代初頭に流通していたと推測される1本。ラベル等はアメリカ向けなのにJapan Taxに特級表記付き、日本市場で販売された特殊な素性の個体でもあります。
今や低価格帯ウイスキーの代表格となってしまった感のあるファイネストですが、昔はジョニ赤などと同様に厚みのある味わいと強い個性を持っていました。
特に1960年代以前のクオリティは特筆モノ。フラグシップとなるバランタイン30年や17年の同時期流通品がそれぞれ素晴らしいブレンデッドであるのは当然ですが、当時のファイネストにはファイネストにしかない良さがあったと感じています。

その特徴は何と言っても存在感のあるスモーキーさに加え、サルタナレーズンやオレンジピールなどを思わせる甘酸っぱさを伴うモルティーさ。
バランタインはファイネストと12年で原酒構成が異なり、12年が上位グレードとして当時重宝されたハイランドモルトの比率を上げたのに対し、ファイネストは様々な原酒をアードベッグの比率を高めてまとめたという話を聞いたことがあります。
確かにこのボトル、良い意味での複雑さに加え、余韻にかけて存在感のあるピーティーさが魅力的なんです。

ハイボールとの相性も良く、青赤ラベルのバランタインファイネストは普段飲みで3~4本開けていると思います。
今回のボトルはウイスキー仲間からトレードで譲ってもらった際、ラベル状態的にどうかなーと思いましたが、多少ヒネているもの1週間程度で開いてきて、想定しているフレーバーの範囲に入ってきてくれました。
グラスの中の変化を見る限り、今後はさらに開いて、抜群の状態になっていくことでしょう。

IMG_1293

バランタインの年代ごとの見分け方で有名な話に、1960年代以前は赤白紋章、1970年代(1978年まで)は青赤紋章。それ以降は青黄紋章という色の推移がありますが、これは全てのグレードで統一して管理されていたのではなく、各グレード毎に若干の誤差があって変更されていたようです。
例えば先日紹介したバランタイン12年には赤白紋章がなく、1960年代流通から青赤紋章のようです。バランタイン17年や30年等の流通本数が限られていたものは比較的上記の整理で行われたようですが、ファイネストのように最も生産量が多かったボトルは、ラベル以外にボトルの色、キャップ形状等が1960年代後期から1970年代初頭にかけて頻繁に変更されていたようです。
 
今回のボトル形状(クリアボトルにプラキャップ)がファイネストの青赤紋章の中で一番古く、このほか赤青紋章&JAPAN TAX付き(1960年代後半から1974年までの流通)の範囲に、クリアボトルにメタルスクリューキャップ、ブラウンボトルにメタルスクリューキャップという、合計3種類の流通があります。
考えられる時系列は記載の順で、1978年以降は上の写真左側に写る青黄紋章に変わる、そんな流れかなと思います。

味の違いはというと、テイスティングに書いたモルティーさ、スモーキーさは近年に近づくほど薄くなって中庸な構成へと変化していくように感じます。
以下のボトルは1974〜1978年流通のファイネストですが、類似の傾向は残っているものの、大量生産というか、万人向けを目指したような印象も。
興味がある方は、是非今回紹介したファイネストを飲んでみてほしいです。流通量はそう多くないですが、赤白紋章時代よりは入手しやすく状態も安定しています。