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ICHIRO'S MALT CHICHIBU
Exclusively Bottled for
FIFTY TWO SEATS OF HAPPINESS
Cask in 2010
Bottled 2016
Cask type PX Hogshead #2628
700ml 59.4%

グラス:創吉テイスティング
量:ハーフショット
場所:BAR飲み(Ambrosia)
時期:開封後1週間以内
暫定評価:★★★★★(5-6)

香り:ツンとしたアルコール感。やや青さのある強い香り立ちから、黒砂糖、サトウキビ、ほのかにイチジク煮。
徐々に甘さに乾燥させた黒豆のような香ばしさとウッディーなニュアンスも感じられる。

味:粘性を感じるハイトーンで刺激の強い口当たり。ペドロヒメネスのリッチな甘さ、黒蜜、プルーン、ほのかにドライオレンジ、濃さはあるが奥行きはあまりない。
余韻はスパイシーで舌がサラサラとする、若干の青い植物感と樽材の渋み。意外とあっさりしている。


イチローズモルトが、観光列車「西部旅するレストラン 52席の至福」向けにボトリングしたプライベートボトル。PXシェリーホグスヘッドで6年間の熟成、318本のボトリングです。
西武線を走る52席の至福は、2016年の4月から新宿・池袋ー秩父間で運行を開始した観光列車。売りはもちろん車窓から見る景色とともに味わう、厳選されたコース料理。そのコース料理に合わせて注文できるドリンクの一つとして、イチローズモルト・52席の至福が準備されています。

ラベルを見るとトランプを思わせる4種類の柄に52という数字から、てっきり新しいカードシリーズでも発売したのかと思ってしまいましたが、このロゴマークは同列車のコンセプトを現したもので、それは以下PRサイトにて紹介されています。

52席の至福
「西武鉄道52席の至福」PRサイトはこちら

さて、ボトル概要の紹介はこれくらいにして、気になる中身のコメントを。
実はこのウイスキーはブラインドテイスティングで飲みました。
ブラインドと言っても、3種類のシェリー系ボトルの中にこのボトルが入っている選択式。残りの2本はBAR Show向けのアランとドロナック。ドロナックは同じPX系の樽で熟成されたものでしたし、秩父の濃厚なシェリーカスクは初めてだったので少々身構えて挑みましたが、ベースとなる酒質の違いは明白で、ノージングで1発でした。

今回のボトルは度数なりのアタックや荒さもありますので、この列車に乗られる普段ウイスキーを飲みなれないような方々は、ロックにするか、加水するような飲み方をしないと厳しいかもしれません。
構成はPX樽での熟成らしく、濃厚なシェリー感で完全に食後酒系。硫黄感はなく甘みをメインに感じます。
しかしねっとりと重い味わいではなく、トーンの高い香味にハーブや植物系のニュアンスも混じっており、樽感としてはピークに近いところまで出ていますが、バランスという点では荒さが残っているように感じられます。
この辺は6年という短熟の宿命で致し方ないところ。ただ元が素直な酒質であるだけに、シェリー樽との組み合わせは樽やバッティング次第で良いとこいきそうな気もします。


以下余談。
今回のボトル。ラベルの蒸留年表記がDistilled ではなくCask inで、麦芽品種の表記こそあれどシングルモルト表記もジャパニーズウイスキー表記も無い。この中身は本当に秩父で蒸留されたモルトなのかと、ウイスキー仲間経由で確認してもらいました。
答えは正真正銘秩父での蒸留で、ラベル表記はデザインの関係とのこと。
イチローズモルトのCask in表記については、元々秩父はボトリング能力の問題から蒸留から樽に入れるまで若干ロスが発生するケースがあり、DistilledではなくCask in表記を使っていたそうです。(月末に蒸留し、ボトリング行程で月をまたぐと、表記上は蒸留月から1ヶ月の誤差が生じる。)
気にするほどでもない事でしたが、一つなるほどと思えた話でした。