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最近信濃屋さんが取り扱いを始めた、スペインはヘレスのボデガ、バロンのシェリー酒です。
実はマッカランに樽を卸しているメーカーの一つだったりするのですが、あまり知られておらず・・・っていうか日本ではそもそもシェリー酒自体があまり馴染みがないですね。 

シリーズとしては辛口でさっぱりと飲める食前酒向きのマンサニージャや、辛口でコクのあるオロロソ、甘みと複雑さがある食後酒向きのクリーム、さらに甘口でレーズンや黒蜜を思わせるまさに飲むデザート、ペドロヒメネス等がラインナップされています。
ペドロヒメネスだけは3000円を越える価格ですが、そのほかは1500円前後と非常にリーズナブル。想定されるシーンに合わせて2種類くらいストックし、ガンガン飲んでしまいたいお酒です。


BODEGAS BARON 
MOSCATEL
MICAELA
750ml 17.5%

今回紹介するのはバロンの中で、ペドロヒメネスの次に甘口タイプとなるモスカテル。
バロン モスカテル ミカエラ。熟成年数は5年程度とされています。
香りは干し葡萄を思わせる果実香、葡萄の皮、黒く湿ったウッディネス。熟成が若いためか若干アルコール感も感じます。
味の入りは極甘口で、香り同様レーズンや黒蜜の甘さがあるのですが、合わせて若い白葡萄のような酸味も備わっていて、これは冷やすと強めに出ます。
広がった甘さをぎゅっと引き締め、余韻はシロップ入りの紅茶、ほのかなタンニン。甘さがどんどん収束していき、飲み口からすれば意外なほどすっきりとした余韻に繋がるのです。 

この甘さだけではない酸味、渋みなどは、甘さが最後までドカンと続くペドロヒメネスと異なり、いかにもモスカテルらしさと言える造りです。
ストレートで飲む場合はキンキンに冷やすより、20度くらいのちょい冷えが自分は好みですね。

そして夏場は毎年お世話になってます、シェリーのハイボール。
甘口で定番となっていたのは高コスパペドロヒメネスの代表格、エルカンダドでしたが、ペドロヒメネスらしさ全開で甘さが強いので、ストレートは厳しく、ハイボールにしてもレモンを絞る必要がありました。このバロン・モスカテル・ミカエラは、元々酸味系のフレーバーも備わっていて、余韻は甘みがそれほど強くないためそのままでも楽しめます。
ちょっと余韻がべったりするのが気になりますが、それはそれとしてクラッカーでも挟めばOKです。


ウイスキーを飲み始めて、シェリー系の甘口モルトが好みだなと自覚し始めた甘党ウイスキー飲みの皆様は、片足くらいシェリーに突っ込んでも面白いんじゃないかなと思うところ。
なんせ樽は共通する要素なのですから、知識としてあって困るものじゃありません。(むしろウイスキーだけでは見えないものも見えてくるかも・・・)
ちなみに、オロロソはウイスキーにあるような甘さはあまり感じられないので、甘いタイプが好きな方には以下のクリーム、モスカテル、ペドロヒメネスがオススメです。

オロロソシェリー樽のウイスキーに甘みや独特の風味が混じるのは、高度数の原酒を熟成させることで、染みこんだシェリーのみならず、樽材そのものが溶け出るからだと思います。シェリー酒だけで味を作れないのは、熟成における難しさです。
なお、甘口との対比でさっぱりしたシェリーも・・・と言う場合は、バロンでそろえるならオススメはもちろんマンサニージャ。「いただきます」から「ご馳走様」まで、あなたの食事をサポートしてくれますよ!