カテゴリ:
BOWMORE
Duncan Taylor
Special Peerless
Aged 43 Years
Distilled 1966
Bottled 2009
44.9% 700ml

グラス:木村硝子 古酒
量:30ml以上
場所:個人宅(Whiskylinkイベント)
時期:開封後3年程度。
評価:★★★★★★★★★(9)

香り:非常に華やかで陶酔感のある香り立ち。パッションフルーツやパイナップル。マンゴーやトロピカルフレーバーと形容される、フェロモンを思わせる熟した果実のフレーバー。オーキーなウッディネスやグレープフルーツの綿を思わせるほろ苦さ、土っぽいピートフレーバーも感じる。

味:ねっとりとした口当たりから土っぽさと心地よい香ばしさを感じる麦芽風味、オーキーな華やかさとパッションフルーツやマンゴーを思わせるフルーティーさが一気に開いてくる。
中間は程よいボディ感に、こなれたピートフレーバー。余韻は序盤から引き続き発散するトロピカルフレーバー、果実の皮のようなほろ苦いウッディネスと合わさって長く続く。


今回で飲み切り、無事に天へと還っていったモンスターボトル。 最後の一滴まで本当に素晴らしいボトルでした。
2010年のモルトナイト第一回を皮切りに、これまでのWhisky linkイベントで度々お世話になり、まさにピアレスフレーバーを体現したような"あざといまでのトロピカルフレーバー"で、自分を筆頭に多くの飲み手がアイラの女王にメロメロにされてきたわけです。
その別れを惜しむべく、最後の1杯を、こうしてノートに書き留めておこうと思います。 

このボトルを一言で表現するなら、先にも記載した「トロピカルフレーバー」です。
元々ダンカンテイラーはこうしたフルーティーなフレーバーを出しやすい、バーボンオークやリフィルホグス系の樽を中心につかってきたということもあって(※粉はないと考えます)、1960年代蒸留のボウモアに備わっているフェロモン系のフルーティーさがより一層強調されているように感じます。
ハイプルーフ仕様であっても、いくつかの原酒をバッティングしているオフィシャルとは異なる、シングルカスクだからこその「ど直球」なフレーバー。これまで飲んできたピアレスボウモアは総じてこのベクトルですが、このスペシャルピアレスのボウモアは特に凄かったです。

ボトルの構成として酒質はそれほど重くは無く、フルーティーさを邪魔しない程度に支えているという感じで、さらに麦芽風味とピート、土っぽいニュアンスがフルーティーさをより一層魅力的なモノにしています。
おそらくこれらのフレーバーが無ければ、ここまで引き込まれるフレーバーにはならなかったでしょう。

魅惑の1960年代ボウモア。いくつかの蒸留所では再現するための取り組みも行われているようで、その成果が出ることを心待ちにしている反面。この掛け替えのない個性を知ってしまうと、出来ることならボウモアでこそ取り戻して欲しいと感じてしまうのです。