カテゴリ:

ISLE OF JURA
Pure Malt
Aged 21 Years
1980's? 
??% 750ml

【予想スペック】
蒸留年:1963年頃
ボトリング:1984年頃
度数:48%前後か

グラス:木村硝子 古酒
量:30ml以上
場所:個人宅(Whisky link イベント)
時期:開封直後、開封2週間後
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:黒砂糖やカラメル、すりつぶしたレーズンを思わせる甘い香り立ち、土っぽいアロマ、ほのかにウッディーなえぐみ。シェリーは古酒感のあるオールドシェリー。グラスの残り香は葡萄やドライベリーの果実香で非常に充実している。

味:甘酸っぱくリッチでやや粘性のある口当たり。香り同様にレーズンや黒砂糖を思わせるシェリー感、ほのかにカカオチョコ、続いてピリピリとしたスパイシーさが舌の上に感じられる。鼻抜けは濃く入れた紅茶を思わせる
余韻はダークフルーツケーキ、黒土っぽいピートフレーバーとウッディーなタンニン、油絵の具のようなクセも僅かに混じる。


Whisky linkイベントにて、Gさんの持ち込みボトル。
オフィシャルで、このラベルで、21年モノという時点であまりにも謎が多いボトルです。
誰も知らない、見たことも無いボトル。度数、蒸留年、リリース時期、一切が不明で、ネットにも書籍にも情報が見当たりません。ラムのような色の濃さに加え、年数表記の21年がシールで貼られていたというボトルの状況などから、飲む前はフェイク疑惑もありました。

中身はリッチなオールド系のシェリー感が主体で、普通に美味しいシェリー系モルト。少なくとも1960年代蒸留で20年熟成相当のモルトウイスキーが入っていることは間違いないと感じます。
シェリーの強さゆえ蒸留所の個性がわかりにくい、断言できない部分もあるのですが、味の後半から余韻でジュラを思わせる土っぽさ、乾煎りした麦芽のような風味があり、今のところこのボトルを飲んだ多くの飲み手(某テイスター含む)から「ジュラと思われる」認定がされています。

こういうボトルの謎を紐解く作業は、オールド好きの心を鷲掴みにする魅力があります。
まず、使われているボトルやラベルは、通称ジュラッパチと呼ばれるジュラ8年、1970年代に流通したオフィシャルボトルのメタルスクリュータイプ。実際シールを剥がせば8年表記が出てくるので、流通時期は1970年代~1980年代初頭と見て間違いなさそうです。
続いて中身をジュラ蒸留所の原酒と仮定すると、ジュラは1963年に再稼動するまで、50年以上閉鎖されていて、蒸留設備そのものも残骸状態だったという話。過去ストックからのボトリングはなく、1963-1984の21年が濃厚であるということになります。
ジュラに関しては一部酒屋等の情報で1958年再稼動の記載がありますが、公式に1963年再稼動とある以上、蒸留設備の再建が始まった年を誤記したとか、何かの間違いかなと。ただ、1984年ボトリングだとオフィシャルリリースがジュラ8年ではなく、ジュラ10年に切り替わっていると思うので、時間軸に違和感が無いわけではありません。
まあ例えばオフィシャルリリースが切り替わった後で、残っていたラベルを使ったとかも十分ありえる話です。向こうは本当におおらか(いい加減)なので(笑)。


ジュラ蒸留所にとって21年という年数は、記念すべき要素があるものです。
それは同蒸留所1810年の創業から21年後に名称をアイルオブジュラとした経緯があり、例えば再稼動から21年という節目を祝して最初の年の原酒をボトリングしたのではないか。
また、1963-1984というスペックであれば、1984年はジュラ島でほぼ執筆されたという小説「1984年」の年号そのものが到来する特別な年であり、仮説の裏づけには多少なるかなーと感じます。
蒸留所によっては、記念ついででこういう遊び心的なボトリングをすることがあるため、上述のような背景から、島民や関係者限定で配布した記念ウイスキーとか、可能性はあるんじゃないかなと思います。

貴重で素晴らしく面白いモルトウイスキーでした。このミステリアスさがオールドボトルの魅力ですね!

※シールを剥がしたところ、古いシールであったためか表側の塗装が剥げてしまいました。
ボトル単体写真を撮り損ねてしまったため、はがす前のラベルは写りこみを参照ください。