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ここ最近、ブームの影響もあってウイスキー関連の書籍が随分増えました。アマゾンで「ウイスキー」と検索したところ、ムックや雑誌を除いた新書、単行本だけで300件以上。もっともウイスキーに関係ない書籍も引っかかっているため、「参考書」と言えるものかつ、比較的近年のモノに絞るとだいぶ数は少なくなりますが、それでも50冊程度は該当書籍がある状況です。
ワインに比べれば圧倒的少数ですが、自分が「ウイスキーを知りたい」と手を伸ばした2009年頃に比べ、日に日に増えている事は言うまでもなく。店頭に並ぶ数が少なかった当時ですら、何を買うか悩んだわけですから、今からウイスキーを勉強しようとしている方の心中は察するに余りあるほどです。
 
というわけで、今回はそうした方向けに、この辺買っておけば長く使えるんじゃないか、と思う本を用途別に紹介していきます。
ネット上が多くの情報であふれている昨今は、ちょっと調べれば断片的な情報は多数見つかりますが、それらを繋ぎ合せるには、専門書籍によってまとめられた知識の後押しが必要です。
残念ながらウイスキー分野において1冊ですべての用途をカバーする書籍はないため、目的に応じて2冊、3冊と購入していくのが一番かなと感じます。また、本ブログはスコッチ・ジャパニーズタイプのウイスキーがメインであるため、選定もその色を強くしています。
 
 
1.蒸留所や銘柄を知りたい
・やっぱり偉大。「シングルモルトウイスキー大全」「ブレンデッドウイスキー大全」
・ビジュアル豊富、初心者向けで長く使える。「男のスコッチウイスキー講座」
・ボトル毎のレビューが豊富で見ごたえあり。「世界ウイスキー大図鑑」
 
ウイスキーに興味を持ち、どんな蒸留所があるのか、その素性を知りたい、と思う人は多いはず。そうした時にまず第一候補となる書籍が、土屋守著の大全シリーズ。ブレンドのほうは興味があればですが、ウイスキーの道を歩く上で、シングルモルト大全(初版1996年、第3版2009年発行)は、1冊あって損はないと感じます。

もちろん書かれている内容は全てではなく、割愛されてしまった歴史などもあります。
しかしこの本が発売されるまで、包括的に蒸留所の情報をまとめた書籍は日本に無く、同書による日本のウイスキー業界への貢献は計り知れません。
初版が発売されたころはスマホで調べるなんてことも出来ない時代、蒸留所を訪問するにも所在地を調べることが最大のネックで、この書籍片手に蒸留所めぐりをした関係者も多いとか。現在の第三版は2009年発売で、そろそろリニューアルが待たれるところです。
ちなみにブレンデッドウイスキー大全は、リニューアルされたばかりで情報も新しい。しかし旧版の方が本数は多く掲載内容も多少異なるため、興味がある方は新旧揃えても面白いと思います。

こうして長らくウイスキー愛好家にとって不動の地位にあった大全シリーズですが、ついに表れた対抗馬が和智秀樹著「男のスコッチウイスキー講座(2014年11月発売)」です。
蒸留所の写真が豊富で、ボトルの紹介もグラフ形式でわかりやすい。掲載数は100蒸留所と上述の大全より多少少ないものの、長く楽しめる一冊に仕上がっています。
また、自分はまだ読めていないため上記には掲載していませんが、同書籍とセットとなる「スコッチウイスキー 迷宮への招待(2015年11月発売)」では、銘柄を中心とした紹介がされており、ドリンカー目線でわかりやすいと評判。サンプルを見る限り中々良さそうで、次に買う本はこの1冊の予定です。
 

これら4冊は大きさも厚みもあるため、正直携帯性はあまりよくないのですが、さらに厚みと大きさがあって完全に自宅用となるのが「世界ウイスキー大図鑑」です。
元々2009年に初版が販売されたWorld Whiskyの翻訳版で、日本国内では2013年に発売されました。
約700ものボトルレビューと主要な蒸留所紹介がされているのが特徴で、今飲んでるボトルや次に飲む銘柄のアタリをつける、"蒸留所や銘柄を知りたい"という目的にあっては、非常に読み応えのある内容になっています。(味が落ちた銘柄などがバッサリ書かれているのも面白い。)
 
少々ネックなのがボトルの紹介が中心となっているため、終売してしまったものも見られるなど、徐々に本としての賞味期限が迫ってきているということ。
まあこれは大図鑑に限らず、紹介した本全てに言えることでもあります。
その点をカバー出来るのが定期的に発売されている、ウイスキーワールドやウイスキーマガジンなどの情報誌。コアなところだと一年に一度発行されている「Malt Whisky Year book」なんてのもありますね。(英語オンリーですがw)
 
次回は製法関連の情報を知りたい方、マニアックな知識を求める方へおすすめの書籍。
長くなりましたので後編に続きます。