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今回はテイスティングに関する雑談。
自分の課題としている、テイスティング用語の統一(あるいはルール作り)について、少しまとめてみます。
コアな飲み手の方やテイスティングスクールを受講されている方からすれば、何を今更という話かもしれません。

テイスティングは自由にやればいい、表現も個人個々で自分がわかりやすいようにやるのが一番。
この考え方は間違いではないのですが、テイスティングにはもう一歩踏み込んだやり方があります。
ウイスキーは地域や蒸留所、ボトル毎の個性を楽しむ酒と言えますが、何百杯とウイスキーを飲んで、様々な香味の違いに意識を向けていくと、逆にウイスキーにおける共通点が見えてきます。
例えば同じ種類の樽で熟成されたウイスキーは、蒸留所が異なっても同じようなフレーバーを感じることがあるし、逆に同じ蒸留所でも樽材の違いや年代の違いで全く異なるフレーバーが感じられるケースもあります。
ピートにしてもアイラのピートを使っているのか、それとも内陸の植物を主体としたピートを使っているのか等で、ピートフレーバーにも違いと共通点があることがわかってきます。

ボトルを単体で見て、思うままに表現していくことをテイスティングの入門編とすれば、様々な要素を分析して統計立てて考えるのは応用編。これは蒸留所由来のもの、これは樽由来のものと、その中で共通する部分は共通する用語を使って表現していくことで、テイスティングにおけるブレ幅が少なくなり、後々読み直した際に得られるフィードバックも増すのではないかと感じています。
実際、ウイスキー業界、製造現場でも共通用語が存在しており、それに基づいたやり取りがされています。
Whisky_wheel

こうした共通の表現を定めたものの一つが、フレーバーホイールです。
フレーバーホイールは様々なパターンが存在していますが、人の味覚は十人十色と言われるように、必ずしもどこかの団体が提唱しているものを使わなければならないわけではありません。
特に味覚嗅覚は育った環境によって異なることが多く、日本人には日本人の、突き詰めれば自分や仲間内での共通用語があってもおかしいことではありません。
自由にテイスティングをして表現の幅を広げた後で、テイスティングのルール、要素を自分の中で整理していくことが、精度を高めていくことに繋がるのではないかと考えています。

自分が共通用語作りの一環として行っているのが、使用頻度の高い要素と比較しながらのテイスティングです。
例えばドライフルーツ。レーズン、プルーン、アプリコット、アップル、イチジク、マンゴスチン、パッションフルーツ・・・多種多様にあるわけですが、香りの記憶と味のイメージがごっちゃになってしまっていることがあり、以下の写真のように実際に比べながらテイスティングをすることで、フレーバーの整理をしています。
レーズンはシェリー樽のウイスキーに見られることが多い要素の代表、枝付きの瑞々しいタイプと酸味の強いタイプとで分けて整理しても良いかもしれません。
アプリコットは香りの穏やかな甘酸っぱさと、口に含んだ時の風味がだいぶ違います。香りについては、バーボン樽やリフィルシェリーの長熟モノ等に見られる事が多い要素だと感じます。
イチジクやパッションフルーツも同様に、香りはウイスキーに共通する部分を感じますが、味は使えるシーンがかなり限られてきそう。
このように記憶と比較せず、リアルにその場にあるもので結びつけているわけですから、正しい記憶が整理されていきます。

他方で、テイスティングにおいてすべてを統一する必要があるかというと、そんなことはありません。
その瞬間、刹那的に思いついた表現はボトルの本質を捉えている事が多いだけでなく、テイスティングをコメントを彩る要素としても重要だと感じます。
しかしそれはあくまでその瞬間の表現でしかなく、それだけでコメントを構成すると後から読んだ時に良くわからない、似たボトルや同じボトルを後日飲んだ時にまったく違うコメントをしてしまうなんてこともあります。
なので、主軸となる部分は自分なりの共通用語で構成し、それに加えてその時その時の感想で彩っていく、いわば料理のようなものですね。基本の味付けは「さしすせそ」で変わらず、隠し味や盛り付け、アレンジはその日の気分次第。
直感で感じたことと、自分の中でルール化したことの組み合わせで、うまく表現をまとめていきたいなと、もっぱら今後も自分の課題です。


追伸:先週後半からまた風邪を引いてしまったようで、木曜、金曜は仕事も休めず地獄を見ました。
30過ぎてから風邪に連続で掛かることが多くなって、特に鼻に来るようになったのは年齢による体の変化を感じているところです。
味覚嗅覚にもダメージがあるようなので、暫くは自宅テイスティングでのコメントUPが出来ず過去ストック中心になります。
インフルエンザも流行っているようですし、読者の皆様もご自愛ください。