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GLENROTHES
Kingsbury
Aged 11 Years
Distilled 2004
Bottled 2015
Cask type American Panchon Sherry
700ml 58%
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:濃厚な甘いアロマ、癖少なくこってりとリッチな黒蜜、チョコレート、微かにレーズンなどのドライフルーツ。時間とともにイグサ、乾いた木のえぐみ。

味:口当たりは乾いた草っぽさから濃厚な甘さ、チョコレートやプルーン、癖のないシェリー風味。徐々に焦げた木の風味もある。
余韻は黒蜜の甘さにカカオチョコレートの苦味、度数ゆえかべたつかない。舌先スパイシーでドライ。

キングスバリーからリリースされたグレンロセスのシェリーカスク。
このリリースはいくつか面白いなと思った点があり、メモを残しておこうと思った次第です。
まず、これまでシェリーバットというのは当たり前にあった中で、シェリーパンチョン樽というのは珍しい仕様。
酒屋情報では、この樽材はアメリカンホワイトオークだそうで、パンチョン樽そのものはサントリーが積極的に使っていますが、アメリカンホワイトオークのシェリーカスクで、バットではなくパンチョンにしているところ、キングスバリー側の狙いが気になります。

また樽を工夫しても、中に詰めていたシェリーの質が良くなければお話になりません。
キングスバリーと言えば関係が深いのはバルデスピノ。今回もバルデスピノ産のシェリーカスクということか、これが思いのほか悪くないんです。
酒質は最近のグレンロセスらしい草っぽさが感じられる中で、シェリーそのものは黒蜜のような濃厚さがあって安心して飲める印象。60年代蒸留のシェリーにある突き抜けた完成度はないものの、最近の一般的なシェリーカスクにみられる生っぽいウッディーさや、変なえぐみ、ゴムっぽさが少なく、濃い風味を抵抗なく味わえます。
樽材の違いが生っぽい木の風味の少なさに関係しているのでしょうか。

ここ最近、シェリー樽熟成のスコッチウイスキーを中心にマイナスフレーバーの少ないボトルが見られるようになってきたと感じます。
もちろん、評価の高いシェリー樽熟成ウイスキーにある妖艶な甘みや、豊富な果実感という点はまだまだですが、1980年代蒸留にあったような、シェリーの原液を直接混ぜたような味わいものに比べたら相当改善されたリリースが多いと感じます。
これがウイスキー、あるいはシェリー樽製造側にノウハウや工夫の結果だとしたら、これからどんどん良くなることも予想されるわけで。密かに10年先のシェリー樽熟成ウイスキーが楽しみだったりしています。