カテゴリ:
GLENFIDDICH
21 Years Old
Gran Reserve
Rum Cask Finish
40% 700ml
評価:★★★★★★(6)
 
香り:華やかで軽やかな香り立ち。オーキーな乾いたウッディーさ、胡桃、洋梨、ドライアップル、あくまで軽やかで心地よい。時間と共に微かなスモーキーさも感じる。
 
味:スムーズでライトな口当たり、序盤はオークフレーバーに蜂蜜、青りんご、奥には麦芽風味。口当たりはライトだが後半にかけてフレーバーが広がってくる。
フィニッシュはややドライで、微かなピートフレーバーにオーク、オレンジピールやドライフルーツ、多層的なフルーティーさを伴って細く長く続く。
 

昨日1月26日に、サントリーから日本国内向け正規品として発売されたうちの1本。
ただ実際は2013年頃から免税店向けとして流通していただけでなく、日本国内にも昨年サントリーが発売を発表した時点で既に並行品として入ってきており、少々今さら感のあるボトルでもあります。この点に対する蛇足は後述するとして、まずはボトルの総括を。
 
グレンフィディックは12年を飲んでいただければわかるように、酒質の強いタイプではなく、穏やかで華やかな、まさにスペイサイドというウイスキーです。
そのため、シェリー系の原酒は個性が吹っ飛んでしまう傾向にあり、同傾向でマッチしやすいバーボン樽系の原酒でも長期熟成となれば樽要素が強く出て、いずれにしても酒質由来の要素は裏方に回る印象があります。
今回の21年はシェリー樽原酒とバーボン樽原酒をバッティングした後、ラム樽で4か月間のフィニッシュを兼ねたマリッジ。飲み口柔らかく、華やかな風味は例えるなら日本酒の大吟醸というイメージ。シェリーではなくバーボン系の特徴を感じる味わいで、らしさは裏方に回っていますが、癖の少ないフルーティーさに底支えとなる麦芽風味、そしてオフィシャルバッティングらしい多層的な味の広がりは、グレンフィディックの正常進化系として納得できる構成です。大多数の人が飲んで飲みやすく、美味しいと感じる味だと思います。
最近、現行品からオールドまで、グレンフィディックを飲む機会が多いのですが、1970年代以降のこの蒸留所の安定感は目を見張るものがありますね。
 
なお、飲み方としてはストレート向きで、ロック、ハイボール共に可もなく不可もなく。ロックだととにかく飲みやすく、悪くはないですが自分のようにハイプルーフに慣れた飲み手には水のようです。ハイボールだとオークフレーバーだけが残って、少々腰砕け気味逆に感じました。
 
 
以下は後回しにした蛇足的なこと。
今に限った話ではないかもしれませんが、消費者側から見ていると、正規品に対して並行品が流通をリードする場面が多く見られます。ことこの1年に限ってもノブクリーク、スキャパ、アードモアなど、正規品の発売が1年遅れはザラ。ラフロイグなんて市場に多様なボトルが流通していますが、今や半数以上が並行品です。
これは並行業者の努力が、我々のようなもう一歩踏み込みたいファンに、さらなる選択肢を与えてくれているわけですが。在庫が安定しづらい並行品に対して、一定量を長期に渡って供給出来る正規品が後追いで補完する、Win-Winの関係とも言えます。
しかし国によっては、~~向けというオリジナルボトルの発売があるなど、正規側がリードしているケースもあります。製造元との調整やら色々あってそう単純な話ではないんでしょうけれど、サントリーさんにはもう少しがんばって欲しいと、いち愛好家として願っています。