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TOMATIN
Duncan Taylor
Aged 38 Years
Distilled 1965
Bottled 2004
Cask No, 20944
51.5% 700ml
評価:★★★★★★(6)

香り:オーキーでドライな香り立ち。乾いた木のようにトゲトゲしており、アプリコットやパイナップルなどのドライフルーツ香、微かにシトラスやアロエのような青っぽさとケミカルなニュアンス。少量加水するとさらにフルーティーさ、甘栗の香ばしい甘み、バタークッキー、香りが開いてバランスが改善するが、ドライな要素は残る。

味:口に含んだあと一呼吸おいでスパイシーな刺激とドライなオークフレーバーが口の中に広がる。
ボディはミドル程度、香り同様の構成で、乾いた木材、シリアル、バニラ、洋梨、徐々に桃の缶詰。
フィニッシュはほのかにケミカルなニュアンスを伴い、華やかだが樽材由来の渋みを強く感じる。
少量加水すると桃感、ドライアップル、 麦芽、香りに対して味は少々ボディが加水に負ける印象。

ストレートと少量加水でしか飲んでいませんが、写真のように飲み口がすぼまっているタイプのグラスよりも、外に向けて広がっているチューリップグラスや、ワイングラスのように口径の大きなグラスで飲んだほうがフレーバーの広がりが良いと感じます。


先日のイベントの際に、ウイスキー仲間の一人が持ち込んだもの。
中途半端に残ったから持ってくか?と言われてありがたくいただきました。いつもありがとうございます!
まさにダンカンテイラーピアレスシリーズ、そのキャラクターを象徴するような味わいで、最近はこうした長期熟成のリリースがなくなりました。長期熟成由来とも言える樽感、鼻腔や口の中の水分を強烈に持っていくような渋み、ドライさ。美味しいのですが蒸留所の個性を味わってるというより樽材をしゃぶってる感覚が、あー長熟のカスクだなぁと感じる構成です。

トマーティン蒸留所といえば1976ビンテージがフルーティーで旨いと有名で、多くのリリースがあったことは今更解説する必要も無いところ。1970年代であの味なのだから、さぞかし1960年代は旨いだろうと飲んでみると、これが意外にフツーというかピンとこない。今回のボトルのように、確かに当時の原料由来か1960年代らしい複雑さはあるのですが、惹かれるような個性を感じません。 
一説では1974年にトマーティン蒸留所で行われた大規模改装(蒸留器を11基から23基に増設)で、稼動が安定し始めた1975~1977あたりで本領発揮となったのでは・・・とのこと。

スペック的には非常に興味をそそられるボトルで、多分飲み始めの頃の自分だったら歓喜していたに違いないのですが、今改めてこのボトルと向き合ってみると、様々な予測が頭の中で出来てしまい、結果ほぼ予想通りの味で経験の積み重ねを感じる。まさに「知る悲しみ」を感じる味わいでもありました。