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GLEN FARCLAS 
THE FAMILY CASKS 
Release 3 
Distilled 1979 
Bottled 2008 
Cask Plain hogshead #2216
One of 171 bottles
700ml 50.6%
評価:★★★★★★★★★(9)
 
香り:天津甘栗のような香ばしい甘さと艶のあるオーク香、熟したパイナップルや黄桃の缶詰を思わせる甘酸っぱさもある。非常に充実しており、グラスの残り香もまた強くフルーツ香を主張する。
 
味:口に含むと甘酸っぱいオーク風味と果実の皮の苦味、そして中間からはドライマンゴーやアプリコットを思わせるトロピカルフレーバーが広がり、フルーティーで華やかな香りが鼻に抜けていく。
フィニッシュは上質なほろ苦さ、過熟感はなく、舌の上には黄桃やマスカットキャンディーの甘みが長く残る。

はっきり言って、その辺の1960年代蒸留よりも断然旨いボトルです。
旨いというよりも完成度が高いというべきでしょうか。島系のピーティーなモルトでは1979年蒸留でも旨いボトルはありますが、ハイランドのフルーティータイプでこのレベルは他に経験がありません。
プレーンホグスヘッドは、シェリーカスクを何度も使い古して樽感がプレーンになった上の使用らしいですが、上質なオークフレーバーはもとより、どうやったらこんな香味が1970年代後半で出せるのか。
オークフレーバーから繋がっていくドライマンゴーや黄桃を思わせるフルーティーな味わいは、1杯2杯と杯を重ねても無理がなく(だからおかわりしたくなる)、陶酔感すら感じる素晴らしいモルトウイスキーです。


「お前が旨いって言ったから買ったんだぞ」
その一言で、先日、約5年ぶりにテイスティングの機会を頂きました。Gさん、いつもありがとうございます。
過去に自分が旨いと感じたボトルに出会うことは、別に何も珍しいことではないのですが、ブログで絶賛していたボトルに改めて出会うと、今の自分の経験値で飲んだらどういう印象を得られるのか楽しみであるとともに、本当に美味しいボトルだったのか、当時の自分の舌が甘かっただけじゃないかと不安にもなります。
 
遡ること5年前、横浜の都筑阪急で行われていたウイスキーイベント。
1本7万円、量り売り100mlでも1万円と、当時の相場ではとんでもない値段ながら、グラスに注いだその香りで衝動買い(小瓶の方ですが)。当時10段階評価で9点をつけていました。
その後、1979でプレーンホグスヘッドのファミリーカスクはいくつかリリースされたものの、飲んだ限りこのボトルとは味も系統も異なる印象。ボトルを目の前にして不安のほうが強くなってしまいました。

同席していたウイスキー仲間は
「馬鹿野郎、くりりんさんが旨いって言ったんだから不味いワケないだろ!(笑)」
「俺はくりりんさんを信じるよ!(笑)」
と煽る煽る。
(くっそwww後で覚えてろよwwww)
と心の声を押し殺し、恐る恐るテイスティングすると・・・。あぁ、やっぱり旨い。
口開けですら余韻にかけて開いていくフルーティーさが素晴らしく、その後数週間後に再度飲ませてもらった時は、さらに余韻でフレーバーが開いていました。
 
グラスはリーデルブルゴーニュソムリエの大ぶりなタイプだと、余韻が開きやすい代わりにドライなオークフレーバーが出やすく、個人的にはリーデルコニャックやSK2等の標準的な形状で飲むほうが、全体的なまとまりが良くて好みです。
評価は★8以上確定で、ここまでのポテンシャルを示されたら過去のものを曲げるわけにはいきませんね。思いで補正も多少入っていますが、★9とさせていただきます。