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ブレンダーの技を感じるボトルは何かと聞かれたら、スコッチではオールドのバランタインを、ジャパニーズでは現行品の響17年以上のラインナップを迷わず答えます。
響が素晴らしいブレンデッドウイスキーであることに、異論の余地はありません。そしてこれほどのブレンドを量産できるとか、サントリーの原酒保有量とブレンダー陣は化物か?
今日は180mlボトルを貰ったので、ストレートにロックにガブ飲みします(笑)。

SUNTORY WHISKY
HIBIKI
17 Years Old
43% 

構成原酒:山崎、白州、知多
評価:★★★★★★★(7)

香り:華やかな香り立ち、オーク、バニラ、甘栗、煮た林檎、そしてミズナラ香、微かなスモーキーさ。
ほんの少し水をたらすと見事に香りが開く。熟成感のある華やかなオーク系のアロマがさらに強くなり、麦芽系のフレーバーも感じられる、多層的なアロマ。

味:スムーズな口当たりから開く華やかなウッディネス。香り同様多層的な香味で、麦芽、蜂蜜、熟した洋梨、オーク材、甘栗、徐々にスモーキーなフレーバーが鼻に抜け、ピートも感じられる。余韻は染み込むような心地よいウッディネス、口の中が樽香やピートなどの華やかでほろ苦い香味でコーティングされ、長く残る。

初期の開発コンセプトがブラームスの交響曲というだけあって、オーケストラというにふさわしいブレンデット。
様々な原酒、樽香、個性が渾然とまとまって、ひとつの形を作っている。その中に感じられるミズナラのアクセントがサントリーらしさ。また最後にピートが出てくるのも個人的に好み。
飲み方はストレートで飲んだ後は少量加水で。オーク香など幾つかのフレーバーに広がりが出る。また響17年や21年(30年は試して無いから知らんw)はロックが旨く、氷で崩れず長く持続する味わいは評価すべきポイント。


正直、響はこれまで不遇な扱いを受けてきたように思います。
これだけ完成度の高いウイスキーは、少なくとも同価格帯の現行品ブレンデットスコッチでは対抗馬が見当たりません。受賞基準が若干怪しいWWAでの成績も、響は疑う余地なしです。

そのウイスキーが店頭価格8000円、オークションなら5000円そこそこ、夏や冬のギフトの時期はそれはもう出品が多く・・・。上位グレードの21年も1万ちょっとで買えました。
それがドラマにブームによって日の目を見た、そうしたら原酒が足りなくなって大幅値上げとなってしまった。でもまだ終売にならず、ラインナップにあることがサントリーの凄さと言えます。12000円の希望小売価格も、ウイスキー全体の相場で見れば決して高くない。もちろん定価で店頭に並べばですが…。

1989年の発売以来、現在の17年に当たる響はマイナーチェンジを繰り返してきましたが、決して味そのものが落ちることはなく、むしろ完成度を高めてきたと言えます。
今初期品と17年を飲み比べると、初期のほうが濃厚ではありますが、奥行き、バランス、完成度という点では現行品に評価すべき点があると感じます。
これは当時は使える原酒の幅、グレーンの熟成も発展途上だったためでしょう。日本のブレンデッドウイスキーの歴史はグレーン製造と共に始まったと考えているのですが…長くなるのでこれはまた後日。

入り口広く奥が深い。万人に共通する味であり、経験を詰んだ飲み手はさらに奥まで踏み込んでいける。良いウイスキーです。
そういえば、一度評価の高いBARが作る響17年の水割りを飲んでみたいですね。
何度か飲んできましたが、この店がオススメというのがありましたら、ぜひ教えてください。