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超有名デパート「ハロッズ」のプライベートブランド・スコッチウイスキーです。
といってもハロッズは製造設備のない百貨店ですので、ホワイト&マッカイ社が生産を請け負っていた模様。
通常のホワイト&マッカイとはブレンド比率は替えているとのことですが、流石一流店はしっかりした製造元で作って貰っています。どこぞの怪しい零細企業のブレンドではないようです。

HARRODS
DeLuxe blended
Scotch Whisky
1970’s
4/5QUART 86Proof
(43% 760ml)

構成原酒:ダルモア、フェッターケアン、トミントールなど
評価:★★★★★★(6)
 
香り:乾燥した麦芽香、穀物の香ばしさと微かなスモーキーさ。徐々にカスタードや洋梨のような甘いフレーバーが出てくる。シナモンを思わせるスパイスのアロマも。全体的にはプレーンな印象。
 
味:コクのある滑らかな口当たり、蜂蜜、洋梨、香り同様の乾燥した麦芽風味。 後半にかけて現れるほろ苦さ、ハイランド系ピートフレーバー。
余韻はビターで麦芽や少し柑橘系の風味が残る。少量加水するとよりスムーズさが増すが、ボディは負けていない。

樽でもカラメルでもない、プレーンなウイスキー。それでいてコクとボディがあり現行品のようなただ薄くライトなだけとは異なる。ハイボールにしても柔らかいオールド香にソフトな飲み口で、後味がしっかり残る。
古き良き時代のスコッチの基本となるような1本。
 

ハロッズのプライベートブランドは、今回のデラックス表記白ラベルの他に、12年、21年などいくつかリリースされています。
原酒については、ホワイト&マッカイのそれと同じと仮定すれば、同社は1960年代にマッケンジーからダルモアを取得し、その後1972年にフェッターケアン、トミントールを買収して増産路線をとっていたまさのその時代の流通。これらの原酒がキーモルトになっているものと思われます。

ホワイト&マッカイといえばダブルマリッジ製法。原酒をバッティングした後でシェリー樽でマリッジし、その後グレーンを混ぜてまたシェリー樽で2度目のマリッジをする。
2度の熟成の割に樽っぽさが少ないのは、シェリー樽といっても使い古しで、影響が僅かしかない樽なのでしょう。

輸入は天下のソニー様。そういえば同時期流通のホワイト&マッカイ・スコッチウイスキーもソニートレーディングが輸入していますね。
先日のフェイマスグラウスは松下でしたが、家電メーカーは海外輸出した後で軽くなった船をそのまま出航できないため、バラスト代わりにウイスキーのみならず色々な製品を買い付けて輸入していたのだそうです。
なお1970年は「ザ・ドランカー」・・・いやいや「ザ・ノーズ」ことリチャード・パターソン氏がホワイト&マッカイにスタッフとして加わった時期でもあります。
当時まだ若かった同氏が、ブレンドを決めるような業務には係わっていないはずですが、とりあえず今夜は彼に習って、このハロッズも1杯目は投げ捨てることにしましょうか(笑)。