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GMの記事をUPした流れで、GMでございます。
このボトルはさかのぼること・・・2ヶ月ほど前の7月半ば。ウイスキー仲間のSさんから「これ開いてるんだけど、飲む?ボトルごと送るよ」としてお声をかけていただいたものです。
Sさんには度々こうした機会を頂いており、感謝しかありません。
すぐにテイスティングしようかと思ったんですが、ちょうど夏真っ盛りで連日の30度越えに、秋まで待ちたいなと。飲むまで少し時間をいただきました。決して忘れていたわけではありませんが、UPまで時間がかかりましたこと、申し訳ありません。

が、しかしこれは秋の訪れを待った甲斐がありました。
厚みと複雑さのある芳醇な香味が、休日のひと時を大変豊かな時間にしてくれました。


GORDON&MACPHAIL
MORTLACH
Years 39 old
Distilled 1969
Bottled 2009
Cask 1st fill Sherry Hogshead #7672
Exclusive bottling for Japan import system
700ml 51.9%

評価:★★★★★★★★(8)

香り:適度なウッディネスを伴う艶のあるシェリー香。微かなハーブのニュアンスがシェリー樽由来の甘さを引き締めている。メイプルシロップ、葡萄、ドライアプリコット、栗の渋皮煮、鼻腔を刺激するスパイシーなキック、奥から徐々に麦芽の白い部分を思わせる香りが開いてくる。複雑で充実している。

味:口当たりは厚みがあってパワフル、黄桃のシロップ漬け、ダークフルーツケーキ、オレンジピールチョコなどを思わせる甘さとほのかな酸味、そして分厚い麦芽風味。ボディはミドル程度でシェリー感はバランスが良く、後半にかけてピリピリとスパイス。カラメルと熟した桃のような甘い香りが鼻に抜けてくる。
フィニッシュはスパイシーで、ナッツの風味と微かにオークのニュアンスを伴う、芳醇な長い余韻。


香りで思わず顔がほころび、口に含んでその厚みのある味わいに感嘆の声を漏らす。
この手のリリースでは、シェリー感に圧殺されがちなモートラックらしい麦芽系の風味が、文字通りシェリーと競演している。完成度の高いシングルモルトです。
ファーストフィルのシェリーホグスヘッドでありながら、それほどシェリー感が強くないこと、これが全体的なバランスの良さ、風味の多彩さに繋がっているように思います。

GMがリリースする長熟で高品質なボトル、2000年頃にシリーズとして確率したケルティックコレクション。
これが乱発したのは2009~2010年ごろだったでしょうか。ロングモーン、リベット、ストラスアイラ、クライヌリッシュそしてモートラック・・・(え、トファース?)、ものすごい大量の1960~70年代蒸留モルトが市場に流れ込んできました。
このボトルもそのひとつで、当時某八重洲地下の酒屋で・・・試飲できました。みんな旨いと認めていましたが、それも割りと長い期間売れ残っていたように思います。高いよねって。3万円したかしないかくらいだったと思うんですが。
当時はこうしたリリースも多かったので、慣れてしまっていたんだと思います、恐ろしいことに。

そこからわずか5年後の今、ケルティックコレクションは絶滅、マイナー蒸留所1980年代のGMCCが2万越えになろうという状況に、頭の整理が追いつきません。まさに何が起こっているのかわからないと思うがおr・・・(ry

・・・話がそれましたが、今あらためてこのボトルを飲むと、旨いウイスキーであることはもちろん、当時の自分には無かった経験の差で、モートラックのキャラクターなど新しく見える世界があり、非常に勉強になりました。
重ね重ね、素晴らしいシェリー樽熟成のシングルモルトでした。