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 書いてる途中で力尽きてしまいましたので、宮城峡と余市を分けさせて頂きました。
まぁある程度書いてあったとは言え、12時過ぎに帰宅してトレーニングして1時半過ぎから記事を書くほうが社会人としてどうかしているわけです。

さて、これまで今飲んでおきたいウイスキーとして、入門向けというより、ある程度本格的に飲み始めた方々にオススメするスコッチモルトウイスキー銘柄をまとめてきました。
前編では特段指定ナシに5種類を。中編では終売の相次いだニッカウイスキーの余市を好まれている方々にオススメしたい銘柄3種類+αを。そして今回は宮城峡がターゲットです。

(前編)今飲んでおきたい、コアなウイスキーファンが薦めるモルトウイスキー銘柄
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1039104300.html
(中編)今飲んでおきたい、シングルモルト余市好きに薦めるモルトウイスキー銘柄
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1039415162.html

では、サクッと本編にいきましょう。
 
【宮城峡好きに薦める銘柄】
宮城峡蒸留所は一時期ローランドというキャッチフレーズがあてがわれていました。しかしローランド伝統の3回蒸留が行われているわけでもなく、実際はスペイサイドないしハイランド(時にアイランズ)寄りの個性を持っているように感じます。
スコットランドに比べて温暖な気候の関係か、樽は強く出ている印象がありますが、蒸留方法が広く普及しているスチーム加熱であることもあって、選択出来るボトルの幅は余市に比べてまだ広いと思います。
ベンリアック、グレンゴイン、クラガンモア、バルヴェニー、・・・華やかな麦芽風味をベースに考えれば、候補はかなりありました。
そこで今回は最も飲んでいる人が多いであろう、NAの2本と10年を中心に、オススメを選びます。
また注目の宮城峡シェリーカスクについてもオススメを選んで見ましたが、どのボトルと共通項があるかというより、現行スコッチでシェリー感が濃いのはどのボトル競争になってしまいました。それだけ宮城峡シェリーカスクのシェリー感は、現行品の中では突出して濃かったということでもあります。
まあ長いこと同じボトルを飲んでいると飽きますので、味覚の気分転換に使ってもらえたら幸いです。

なお、前提条件はこれまでと同様です。 
・2015年現在販売されている、スコッチのシングルモルト、オフィシャルボトル。 
・価格は1万円程度を上限。 

・グレンドロナック18年
価格:8000~10000円程度
比較対象:宮城峡シェリーカスク

オフィシャルで10000円程度という縛りで、濃厚なシェリー樽熟成のウイスキーというと、そもそも候補はだいぶ限られてしまいます。中でもオロロソ100%のドロナック18年か、シェリー100%の中にペドロヒメネスが入って甘口なドロナック21年が有力候補。その他では同じくシェリー100%のアベラワー・アブナックでしょうか。
が、しかしどちらも出始めの頃のロットに比べてずいぶんシェリー感はライトに、バランス型に振れてしまいました。今回記事を書くに当たり2015年のロットを飲みましたが、見違えるほど色が薄くなっていてびっくりしたところです。(出来は良かったですけど。)
グレンドロナックは開封直後より、暫く経ってから本領を発揮してくるタイプ。宮城峡シェリーカスクと同じ方向性のシェリーではありませんが、現行スコッチの代表的なシェリー樽熟成モルトとして今後の基準になりますし、気に入れば代替品としても使えると思います。これからのシーズンはシェリー系が旨い時期ですね。
 
 
・グレンキンチー ダブルマチュアード
価格:6000円程度
比較対象:宮城峡NA旧ボトル

宮城峡はローランドというよりハイランドあるいはスペイサイド(キリッ、と言っておきながらローランドです大変申し訳ございません(汗。
宮城峡NAの旧ボトルは若さのある味わいはさておき、麦芽風味とドライフルーツ系の酸味、微かにピートとスパイシーさもあり、グレンキンチーの特徴に近いかなと感じます。
であれば冒険の意味も兼ねて、今年飲んで中々レベル高いと感じたダブルマチュアードをオススメ。
アモンティリチャードシェリー樽での後熟を経て、麦芽風味にシェリーのフレーバーがプラス。比較対象として良い経験になるのではないかと思います。
 
・アラン12年 カスクストレングス
価格:5000〜6000円程度
比較対象:宮城峡NA新ボトル

アランのバーボンバレルタイプなら正直カスクストレングスである必要は無く、16年、17年等入手しやすいあたりでも良いと思います。9月1日に発売された宮城峡NA、通称"新宮城峡"は、オーク樽由来のフルーツ感が中間以降に出ており、そうした特徴がさらにわかりやすいモルトというと、現行品の筆頭はアランです。
他の蒸留所にもこうしたキャラクターのボトルは結構あり、中でもスキャパ16年なんかぴったりなんですが、終売が決まっているので除外。
アランは最近の人気からか価格が上がりつつあり、今飲んだ方が良いのかなと。麦芽風味から華やかなオーク香、乾いた木のウッディネス。新宮城峡に比べて若い風味も無く、アルコールがきつければ少量加水してもいい。わかりやすい味で楽しめると思います。


・グレンカダム15年 46%
価格:7000~8000円程度
比較対象:宮城峡10年

グレンカダムはバランタインの原酒ですが、どうにも知名度は低め。しかし現行品のグレンカダム15年46%は、クリーミーな麦芽風味にオーク系の華やかさがマッチした、レベルの高い1本です。 
宮城峡10年はフルーティーで煮たリンゴのようなコクのある甘さと麦芽風味。近い系統にあるグレンカダム15年はすんなりと入っていけそうです。
バランタインは多くのドリンカーが飲む銘柄ですし、経験値しておいて損はないかなと。
林檎を思わせるフルーティーなモルトと言えば本命はグレンリベットなのですが、 ここはちょっと冒険してみましょう。


今回、記載の無かった宮城峡12年、15年についてはざっくりと。
12年はハイランドパーク18年との共通点があるということを、以前記事中に記載しておりました。
ただハイランドパーク18年は・・・今なんか凄く値上がりしてしまって、軽く1万円を越えています。
これじゃあオススメできないと。なので適度なシェリー感とオーク系のフルーティーさ、そしてスモーキーさのあるボトルを現在捜索中です。ベンリアック20年なんか良いかと思ったんですが、どうもロット差激しいようでオススメできるだけの経験値が稼げていません。これはそのうち。
また、15年はシェリー&スモーキーとして、例えばハイランドパーク・ダークオリジンズなんて良いかもしれません。ダークオリジンズのシェリーは硫黄香が無いので宮城峡15年とはシェリーの方向性が違いますが、今年リリースの中ではシェリーの入りから後半のスモーキーさが強く、純粋に良くできてるオフィシャルボトルです。

以下、蛇足駄文。
酒、料理、あるいはその他嗜好品についてスキルアップを目指すとき、共通する大切なことは、少しでも良いモノをより多く経験することだと思います。そうすることでしか見えない世界があり、作る事が出来ない基準があります。
同じボトルだけ飲んでいても、得られる経験値には限界があります。ジョニ黒100本飲んでもジョニ青の事はわかりません。ましてシーバスリーガルのことなんて絶対わからない。つーか飽きる(笑)。
酸いも甘いも、良いも悪いも経験して、初めて手元にあるウイスキーの良い部分を認識できるようになってくる。劣化したウイスキーを飲んで初めて、ボトルの中にあるオフフレーバーがわかってくる。百聞は一飲にしかずということですね。
 
ウイスキーの飲み手にはプロもアマも無いと思いますが、2者の違いがあるとすれば、それは「どれだけ多くの経験をしてきたか」という事なのだと思います。その点私の経験値はまだまだのレベルであり、修行を兼ねてブログなぞやっているワケです。
また今回はボトルを中心にまとめましたが、グラス選びや環境的な要素も大切です。その辺は追って機会があればまとめていきます。