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今回はニッカの余市、宮城峡を好まれている方にオススメなスコッチモルトウイスキーを紹介していきます。
(前編、コアなウイスキーファンが薦める モルトウイスキー銘柄はこちら。 )

「10年を愛飲していたけれど、終売になってしまったので近い味のウイスキーは無いか。」
「新製品を飲んでいるがシングルモルトに興味が出て来た、オススメはなにか。」
こうした質問に、自分だったらどう回答するかという内容になります。
BARや酒屋ではよくある質問のひとつですね。

今回のチョイスは代替品というよりは、似ている要素や違いを探す、ちょっとした冒険を兼ねた方向で選定しています。
ニッカのモルトはかなり個性的なので、前提条件の中ではそういう選定しか出来なかったというのもありますが…。それ以上に、似てる要素を探して比較することは、感じ取れるフレーバーの枠やウイスキーの世界観を広げることに繋がります。様々なフレーバーを経験して、またスタート地点のボトルに帰ってくると、今までとは違ったフレーバーが感じられることに気が付くはずです。

よって下記のチョイスは同じような樽構成とか、スモーキーさが強烈とか、私が感じた範囲での一部のフレーバーで切り抜いているため、トータルで見ると全然味が似てない、という感想もあると思います。(その場合は、ここに掲載したウイスキーもまた一定レベル以上にあるモノですので、割り切って楽しんで頂ければと思います。)
むしろこの銘柄のほうが似てる!共通点あるぜ!という意見がありましたら、後日トライしてきますので、コメント頂けますと幸いです。


 【余市好きに薦める銘柄】
余市蒸留所は、アイラモルトとハイランドモルトの中間的な特性を持っています。
その点で、アイランズに分類されるハイランドパーク、タリスカー、ジュラは上記条件に合致する蒸留所であると感じますし、その個性はシングルモルトを飲み進めて行く上で避けては通れないものであることからも、オススメしたいものです。
また、原酒によってはアイラ的特性を強く持つものもあり、ブナハーブンを除くピーティーなアイラ7蒸留所の中では、ラガヴーリンが近い要素を持つように感じます。
一方、余市蒸留所の酒質は麦芽風味が厚くトースティーであり、この点は蒸留方式によるところか代替が効きにくい要素です。その点、下記オススメは余市に比べて飲みやすいと感じるかもしれません。

なお、ボトル選定にあたっての前提条件は前回と同様です。
・2015年現在販売されている、スコッチのシングルモルト、オフィシャルボトル。
・価格は1万円程度を上限。 
 

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・タリスカー18年 45.8%
 比較対象:余市全般
価格:9000~10000円程度

雑感にも書きましたが、余市ヘビリーピーテッドは飲んでいてタリスカー25年、 あるいはその長熟モノとの共通点を感じました。ピーティーさといよりは、序盤の微かなベリー感を伴うフルーツ、麦芽風味の部分です。その他、余市のスモーキーさはタリスカーに似ているなと感じたことが何度かあります。
オススメは25年といきたいところですが、25年は一時期1万5000円前後だったものの、今や2万オーバーで・・・。しかしこのタリスカー18年もまた、らしさがあり高いレベルでまとまった1本であることは、飲み手の皆様には今更何をレベルの話かと思います。
値上げ値上げでこのランクの銘柄が続々と1万を越えているなか、まだ現状を維持してくれている。しかしいつ値上げしてもおかしくない、まさに今飲んでおくべきボトルです。
(このほか、ダークストームや、ディスティラリーエディションも良く出来ています。この2本は余市12年との比較が面白いかも…

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・ジュラ16年 40%
比較対象銘柄:余市10年、余市NA
価格:5000円程度

余市の若いグレードは、麦芽風味がしっかりあり、そこからピートに繋がっていく構成。
特に余市10年はトースティーで豊かな麦芽風味が魅力、硫黄は若干ありましたが、変な若さも無くて良い味わいでした。
このジュラ16年もまた、麦芽風味から穏やかなピートに繋がる構成。やや荒さと酸味を感じる部分はありますが、余市の若いグレードに近いフレーバーの流れだなと感じています。
ちなみに新余市はピーティーな個性が強化された分、麦芽感が奥に回って中間の広がりは控えめであることからも、新から入った方は特に抵抗なく飲めるのではないかと思います。

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・ラガヴーリン ダブルマチュアード 43%
比較対象:余市15年
価格:10000~12000円程度
当ブログのレビュー:http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1023943127.html

説明不要なアイラの巨人。そのマスターディスティラー監修で、毎年限定でリリースされるボトルがダブルマチュアードシリーズです。日本にも並行、正規輸入がされており、結構な数のボトルが今も市場にあります。
アイラの中で最もヘビーでパワフルといわれるラガヴーリンですが、このダブルマチュアードはペドロヒメネスシェリー樽での後熟に加え、43%加水で甘口かつ複雑さを備えた仕上がり。
せめてこれが46%だったら…という願望はさておき、ヨードや海藻を思わせる海の要素に、レーズンなどのダークフルーツを感じさせるシェリーの奥から湧き出るピーティーさ、噛み応えのある余韻。飲みやすいながらその風味はまだまだ個性に満ちています。
このボトルは、同じくシェリーのニュアンスがあってスモーキーな、余市15年と比較すると面白そうです。
なお、今回のチョイスはラガヴーリン16年とで悩みました。16年はシェリー樽をほとんど使っていないということもあってダブルマチュアードにしていますが、パンチを求めるならラガ16年でもいいかもしれません。


さて、本来はここで宮城峡の特集を書いて終わるところですが・・・。すいません、力尽きました。
ちょうどイベントの立ち上げなど色々やっていたところ、仕事のほうでも思った以上に時間をとられてしまい。

とりあえず区切りもいいので、今回はここで筆を置きます。次回は宮城峡についてまとめていきます。

宮城峡編はこちらから。