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ジャパニーズウイスキーの大きな転換点である8月末でありながら、ジャパニーズではなくグレンモーレンジです(笑)。
正直9月1日前後の話は、現時点で書けることはこれまでの更新で書きまとめたつもりですので、後は9月に入ったら怒涛の新商品テイスティングラッシュといきたいと思います。
ついては最近中途半端なオールド系の投稿が多いですから、たまには最近のスコッチ系リリースを・・・ということで、週末に参加した持ち寄りイベントでちょうど良いボトルを頂きましたので、記事に起こします。
 
GLENMORANGIE
DORNOCH
Limited Edition
43% 700ml

 暫定評価:★★★★★★(6)
 
香り:若さのあるフレッシュな麦芽風味から、オレンジピールやドライアプリコット、削った木のアロマを思わせるオーク香。微かにナッツのニュアンス、そしてスモーキーフレーバーが開いてくる。
 
味:序盤は麦芽風味主体で、レモンピールのほろ苦さやりんごの甘み、アーモンドの香ばしさが感じられるが、すぐに強いピートフレーバー開いてくる。ピートは強いが内陸系でヨードや潮気の要素はあまり感じられない。フィニッシュはピーティーで麦芽風味。鼻抜けは甘いオーク香とスモーキーさ、余韻はビターでピートが染みこむように残る。
 

北ハイランドの海辺に位置するグレンモーレンジ蒸留所。蒸留所の前に広がる湾の名前がドーノッホ(グーグルマップ表記ではドーノック)です。
今回のグレンモーレンジは、このドーノッホ湾をイメージして免税限定でリリースされた商品で、一部平行品として日本に入ったものの、既に多くの店舗で完売状態です。

海=アイラ=ピートという連想ゲームなのか、モーレンジとしては異色のピーテッド原酒で構成されており、加水でまとめられているにも関わらず、なかなか飲み応えのある構成です。最初飲んだ時はドーノッホ湾のストーリーなど一切知らず、「ヨードを抜いたカリラのような」とツイッターに呟いているあたり、開発イメージどおりのウイスキーが出来ているのかもしれません。
口開けで飲ませていただきましたが、最初はニューポットとまではいかないものの、嫌味の少ない若いフレッシュな風味があり、そこからどんどんピートフレーバーが開いてきます。

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ドーノッホ側からの景色。中央がドーノッホ湾。白い煙突がグレンモーレンジ蒸留所、左側にはセラーも。
引用:
http://blog.ggog.com/blog/2013/07/could-royal-dornoch-host-the-open-championship/

ピート原酒を使ったモーレンジとしては、最近では1900年ごろのレシピを再現したというフィナルタがありました。ちょうど5年位前のリリースでしたでしょうか。フィナルタは穏やかというか、隠し味程度のピートフレーバーでしたが、このドーノッホはメインといっても良いくらいのピート香。
また、原酒としてはそのピーテッド原酒(公式にはライトピート原酒)を、モーレンジの王道ともいえるバーボン樽、オロロソシェリー樽で熟成させ、さらにアモンティリャードシェリー樽でフィニッシュしたものもあわせ、3種類の原酒をバッティングしてありますがバランスは悪くないです。
クラシックモルトシリーズのディスティラリーズエディションしかり、こうした複数の要素を上手くまとめてくるディアジオの樽の使い方やブレンド技術は、流石だなと感じます。

モーレンジはラフロイグと並んで近年安定していると感じる蒸留所。このリリースも一飲の価値アリです。
多少ばらつきがあるように感じるかもしれませんが、口開けからこなれてくるでしょうし、この飲み応えから考えて10年くらい瓶熟させて飲んでも面白いかもしれません。
Uさん、タイムリーなボトルをありがとうございます!