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ニッカの新時代を担う、ニューリリースのシングルモルト余市・宮城峡のサンプルを入手することが出来ました。現在販売中の、NA、10年、12年、15年、20年を一斉に終売とし、新たにブレンドするNAに一本化する。 過去に例を見ないようなハルマゲドンクラスのラインナップ大幅変更、その出来栄えが気になる方も多いと思います。
今回は余計な前置きは不要でしょう。早速テイスティングに移ります。

NIKKA WHISKY
SINGLE MALT YOICHI
50ml 45%
"On Sale September 1, 2015."

暫定評価:★★★★★(5)
(ベースとなる評価は現行NA同様★4ですが、スモーキーな個性とロックでの変化で★1を加点。)

香り:香ばしい麦芽香と酸味を伴うアロマ。若さを少々感じる香りで、ツンとしたニューポッティーさもある。冷えた状態は甘みの少ない白葡萄のようだが、徐々にドライな木香、お菓子のラムネ。灰や土っぽいピート香が強くなる。
グラスの残り香は柔らかい新樽香、余市らしさを感じる香りでもある。

味:口当たりは粘性のある甘酸っぱい麦芽風味、麦パン、レモンピール、ピート。フルボディーで存在感があるが、香り同様に若いフレーバーがあり、少し粉っぽい舌触りにスパイシーでピリピリとした刺激がある。鼻抜けは燻したピートのスモーキーさ。後半に蜜のようなフレーバーが感じられるがすぐに消えてしまう。フィニッシュは樽香とピーティー、舌に感じる塩気と乾燥した麦芽風味。


現在販売している余市NA(43%)や余市10年と比べると、かなりピーティーさ、スモーキーさが強調されています。ピーティーな原酒を使うことで、ドラマなどで広まった「スモーキーフレーバー」をプッシュする狙いがあるのでしょうか。
なんかますます島系、ジュラっぽくなった気がしなくも無いんですが。旧ボトルほどではないですが麦芽風味もあり、グラスの残り香を嗅いでいると蒸留所に行ったときの景色が頭をよぎる。"個性を研ぎ澄まし、一新"とするキャッチコピーも、納得のシングルモルトたる構成です。

ただし、ノンエイジ化したことである程度覚悟していたとはいえ、一口飲んで感じた若さには、やっぱりなぁという思いが隠せません。正直、現行の余市NA(43%)と同じくらいに若さを感じる部分があります。
原酒の構成としては8~16年の原酒をメインに使用していると聞きました。比率までは聞けてませんが、味から察するに8年クラスが多めなのでしょうか。
まぁこの手の若いフレーバーはリフィル系の樽だと残りやすいので、一概には言えない部分もあります。口開け早々のテイスティングですので、開封後ある程度こなれるとも思います。


オススメの飲み方ですが、ストレートで個性を感じた後は、ロック、ハイボールがオススメです。
先日発売されたブラックニッカ・ディープはロックのほうが旨かったので、ためしにロックで飲んでみたところ、ある一定温度を下回ると若さを連想させる香味が引っ込み、良い具合にスモーキーさ、ピーティーさが感じられます。ダシっぽさも少々あって、これはなかなか良い。
ハイボールは少しえぐみがでるので好みが分かれるかもしれませんが、立ち上るスモーキーさはこの時期すっきりと飲める感じです。 


9月1日までいよいよ後1ヶ月です。発売後、ユーザーからの意見は賛否が分かれることでしょう。
特に熟成感という点では同価格帯の10年と比べて味が若い、雑味が強く感じられるとか、そういう意見が結構出るんじゃないかなと思います。
なのでまずは50ml、180mlで色々試してみて、イケるようなら700mlを買うような感じで良いかなと。
他社同価格帯との比較では個性が際立ってますし、余市好きにとって愛すべきウイスキーになる要素はあると思います。