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先日書いたように夏場に入ってブレンデットウイスキーが妙に安く・・・調子に乗って何本かポチった結果、かなり在庫が増えてしまいましたw
比較的手ごろな価格で手に入るオールドブレンデットですが、オールドボトルである以上状態の良し悪しはついてまわります。化学的に検証したわけではないものの、これまでの経験から、光や温度以外の劣化条件として、キャップの素材が大きな問題を持っているように思います。中には10本中7~8本はアウトというレベルで、劣化しやすいキャップを持つボトルも。
その代表格がシーバスリーガルです。当たれば中々旨い銘柄なのですが、これがハズレの多いこと。キャップの裏にある樹脂系の素材が悪さをしているとみています。
 
虎穴に入らずんば・・・もいいですが、どうせなら似た系統で確実な方を取りたい。
今回紹介するハンドレットパイパーズは、シーバスリーガルの普及品として開発された経緯からかあまり人気はありません。
しかし飲んでみるとなかなかどうして、シーバス系の華やかさと適度なコク、それでいてあっさりした飲み口を両立したような、これからのシーズンにピッタリなウイスキーです。
 
Seagram's
100 PIPERS
Deluxe scotch whisky
760ml 43%
1970's
評価:★★★★★★(6)
 
香り:かすかなヒネ香を伴うコクのある甘い香り。蜂蜜にうっすらとカラメル、醤油飴、麦芽香、グレーン系の穀物感もある。 あまり複雑さはなく、嫌味も無い、素朴。

味:スムーズな口当たりだがコクはしっかりと感じる。バニラウェハースを噛み砕いたような甘さと香ばしさ、ナッツ、微かなシェリーのニュアンスに、ピリピリと口の中を刺激するスパイス。フィニッシュは麦芽風味と染みこむようなオールドピート。程よい苦味を伴う。


ハンドレッドパイパーズは、シーグラム社初の一般普及品市場をターゲットに1965年に開発、販売されました。
それまではシーバスリーガルにロイヤルサルートと、高級品をメインに据えていたシーグラム社の大方針転換とも言えるボトル。その開発には数多くの原酒だけでなく、嘘かホントか1000万ドルという巨額のマーケティング費用が投入されたという話も、書籍の中で本銘柄を彩っています。
キーモルトはシーバスリーガル同様に、ストラスアイラ、グレンキース、そしてグレンリベットやロングモーン、グレングラントなどで、飲んでみるとスムーズな口当たりに程よいコク、そしてフィニッシュには当時のスペイサイドらしいオールドピートが染みこむように残ります。
同時期のシーバスリーガルと比較すると、さらに幅広く原酒が使われてる印象も受けます。

また、当時のグレーンの質も特筆モノです。
当時のモルト原酒が存在感を発揮しているだけでなく、それ以上にグレーンも良い味だしてます。ただ最近グレーンとは異なり、コクがあるというんでしょうか、香味でも「この蜂蜜っぽい甘さはグレーンだろうな」という穀物系の香味が混じり、奥行きや複雑さは落ちるものの、全体のバランスを高めてくれています。


(先週末の昼酒、染みるような旨さでした(笑))

同ボトルとしては、先日、大阪のローズバンクさんで1960~70年代初期流通をハイボールで頂いています。
今回の1970年代後期ボトルも同系統。あっさりしていますが飲み飽きない適度なコクがあり、日中に引き続き暑い夜でしたので、これがまたゴクゴクっと美味しくいただけました。