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なんと書き出したら良いか・・・久々に筆が止まりました。
考えてみるとこれだけウイスキーを飲んでいながら、 ボトラーズではなくオフィシャルマッカランの1960年代蒸留を 飲むのは久しぶりです。
先日のオードに続き、貴重な機会に恵まれました。

私は今のマッカランが偽物だとか、 そういうことは決して言うつもりはありません。
今のマッカランもまたマッカランで、 マッカランとして作られているワケですから。
ただ、懐古厨と言われようが良いものは良い、やはりこの時代のマッカランは特別です。 染みこむ旨さのあるマッカランをじっくりと堪能しました。

MACALLAN
Years 18 OLD
Distilled in 1967
GIOVINETTI & FIGLI MILANO
43% 750ml

評価:★★★★★★★★(8)

香り:果実感とカラメルの合わさった甘くふくよかな香り立ち。適度なコクのあるシェリー感はえぐみがなく、ベリーや葡萄を思わせるアロマがスムーズに。陶酔感すら感じる。

味:スムーズでまろやかな口当たり、チェリー、プラム、徐々にタンニンが舌に染みこんでくる。 タンニン由来の心地よい苦味は、シェリーの甘さと合わさってクリームブリュレのよう。
フィニッシュはビターだが最後までひっかかりはない。 高貴なウッディネスで長く続く。

スムーズな飲み口から何の抵抗もなく飲めてしまうが、薄いわけではなく満足感はしっかりと残る。


一括りに語ることは出来ませんが、マッカランの素晴らしさは、そのスムーズな口当たり、引っかかりのない滑らかな飲み口から柔らかく包まれるような甘くビターな余韻。そして上品でありながら「飲んだ」という実感が残るというところにあると感じます。
今回のマッカラン18年1967蒸留はまさにそれで、完成度の高さに思わず唸らされました。ここがロールスロイスと呼ばれる所以ですね。
ともすればマッカランの酒質はソフトでデリケートなように思えてきますが、ボトラーズなどから時折リリースされる若い原酒を飲むと、なかなかどうして、パワフルでボディのしっかりした、時にアルコール感もかなり強いケースがあるやんちゃ坊主です。これがシェリー樽での熟成や加水によってじっくりと丸みを帯びた結果、シェリーの重さを受け止めて破綻しないボディと、まろやかな飲み口が両立するのだと思います。
言ってしまえば長期熟成向けの酒質であり、12年では若い。18年はほしい印象です。
(ただ、そのパワフルさを味わう10年カスクストレングスも嫌いじゃありません。)

しかし、こうした傾向は現行品では一部上位クラスを除いて感じづらくなったとも思います。
世界的に需要が増えた結果、大量生産の必要性に反して確保が難しい良質なシェリー樽。
麦芽も変わり、最近のマッカランからは拡大路線ゆえの生産側の苦労を感じます。
じゃあほどほどでやめときゃええやんって、そりゃその通りなんですけど(笑)。


さて、今回は何とも罰当たりな事に、このマッカランを手酌で飲ませてもらっただけでなく、会の締めにはシガーとも合わせて堪能しました。
バリバリに味の堅いシガーはどっしりしたウイスキーで合わせるくらいしかありませんが、愛好家中の愛好家がしっかり熟成させた一級品。柔らかい吸い口がマッカランとも充分マッチします。
ここのところクソ忙しくて精神的にかなりキていたので、葉巻でも吸いながらのんびりしたいなと思っていたところに渡りに船。素晴らしい時間を過ごすことが出来ました。