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昨日は1日お休みを頂きました。
なんせ徹夜含む怒涛の1週間、直後の休日。
ふらふらで帰ってきてベットに倒れこんだ夫を、いつものように朝7時に叩き起こしてくれる妻には感謝しかありません(笑)。
そして土曜日は子供と遊ぶ日。嫌々期に入ったわが子のお世話で、とてもブログが書ける状況じゃありませんでした。

明けて日曜日、今日は本当に1ヶ月ぶりくらいにフリーな休日で、体の中の淀んだ空気を吐き出すためにチャリでも乗ろうか考えていたものの、そこには迫り来る雨雲と情け容赦の無い天気予報。本当に世の中は無常である。
あれこれ考えても仕方ないので今日は朝から飲むことにします。

SUNTORY WHISKY
HIBIKI
43% 750ml
1989-1990's
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評価:★★★★★★(6)

香り:熟成庫の空気を思わせる品の良いウッディネス。ミルクチョコレートのような濃い甘さ、微かなハーブ香と梅の酸味。コルク臭。加水すると序盤の濃さを構成するフレーバーが解け、よりはっきりとした熟成庫の薫り、蜂蜜の甘さ、レーズン、紅茶、より多彩なアロマを引き出せる。

味:しっかりとしたコクのある口当たり。お菓子のカラメリゼを思わせるビターな甘さ、微かにレーズン、干し柿、徐々に口の中に心地よい苦味が増していく。フィニッシュはビターでウッディーで長い。華やかな木香が鼻に抜けていく。


現在ジャパニーズハーモニーとして販売されている響とは違う、1989年に販売開始された初期の響。
ノンエイジですが17年相当の原酒が使われており、熟成感は現行品のジャパニーズハーモニーとは比べ物になりません。ノンエイジ同士で比較するのではなく、比較対象は現行品の17年となるボトルです。
響シリーズの共通点だと思っている、加水によって開いていくアロマは当時でも健在で、ストレートだけでなく様々な飲み方を試してほしいボトルでもあります。

ノージングすると山崎蒸留所の熟成庫で感じたような、品のいい湿った木々の香りが立ち上ります。
全体のバランスという点では、現行品17年のほうが高いレベルにあると感じますが、熟成感はこの旧ボトルのほうに軍配。かつては今ほど日本のウイスキーが評価されておらず、このボトルも中古市場では1本送料込み3000円で買えた時代が長くありました。
自分も2~3本飲みましたが、マッサンが始まる前にもっと買っておけば良かったと。突き抜けたボトルではありませんが、それこそデイリーに飲めるなら最高だと思います。


響発売当時、日本のウイスキー業界は現在同様に大変革期にありました。
1989年の級別制度の廃止を含む酒税法大改定により、新しい制度の枠の中でウイスキーを開発する必要があっただけでなく。おりからのウイスキー離れにさらに拍車がかかっていた状況を、打開する製品が各社の課題。そんな冬の時代が訪れようとしていた日本市場に、サントリーが創業90周年を記念して送り出したのが響です。
ウイスキー仲間の分析の引用になりますが、当時発売されたのがまさに写真のこのボトル。コンセプトはサントリーの技術の粋を結集したウイスキーで、インペリアルなど当時のフラグシップモデルを切り替える、文字通り新時代を担う1本でした。
当時のマスターブレンダーである佐治敬三氏を筆頭としたブレンダーチームの相当な苦労、気合が伝わってくるようです。
(幾重にも重なる甘く華やかな香味は、ブラームスの交響曲、第一番第四楽章の旋律をイメージしながら組み立てたというストーリーも残っています。)


サントリーの知多工場(グレーン)は1972年操業、白州蒸留所は1973年操業。響初期ロットを語る上ではこの2蒸留所についても無視できません。
17年相当の原酒は初期ロットにあたり、貴重であるだけでなく、ブレンドに当たって幅が出しづらい状況でした。そのため、ノンエイジとしてブレンドに幅を出そうとしたのでしょう。また、香味からは山崎の原酒が多く使われていることを推察させる、ミズナラ系の香りがしっかりと感じられます。
この当時は現在の白州蒸留所である白州東蒸留所(1981年~)が操業していないこともポイントです。稼動していた白州西蒸留所はステンレス発酵層にスチーム加熱、現在の白州とは異なる蒸留行程であり、現行品の響とはベースとなる原酒も根本から異なっています。

変革期に生まれ、日本だけでなく世界で評価されるウイスキー、響。
響ノンエイジから始まったストーリーは、その後17年、21年、30年と繋がっていきます。
日本のウイスキーは今まさに新たな変革期にあるわけですが、その中でかつての響に続く次の世代を担うブランドが誕生することも楽しみにしています。


※旧響だけでなくサントリー系のオールドボトル(ローヤルなど)は、キャップに使われたコルクの質か、はたまた洋酒は横置きという誤った知識が暗に広まっていたためか、コルク臭の付いたものが結構な割合で存在します。購入の際はそのリスクも踏まえ、購入(トライ)してください。