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TAMDHU
HART BROTHERS
Aged 33 Years
Distilled 1969
Bottled 2003
Cask type Hogshead
700ml 40.5%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後3年程度
評価:★★★★★★(6)

香り:華やかでオーキーな軽い香り立ち。乾いた牧草、バニラ、バナナケーキの甘み、ほのかにパイナップルを思わせるフルーティーさ。時間経過で林檎や土っぽい香りも開いてくる。

味:ドライでナッティ、ほろ苦い乾いたウッディネスから軽い刺激を伴う口当たり。すぐにバニラの甘みと麦芽風味、洋梨。ボディはライトで樽感主体の構成。
余韻はスパイシーで華やか、オーキーなフルーティーさと麦芽風味を伴い長く続く。

所謂樽しゃぶり系ウイスキーで、ホグスヘッド系のフレーバーが主体的なボトルだが、中間以降の麦芽風味にタムデューらしさを感じる。少量の加水で香りは麦芽香主体に、味はドライさが和らぐものの、全体的にプラスとは言いがたい。
タムデューは2010年に一時閉鎖され、2013年に再稼働。古くは1972年及び1975年にそれぞれ改修工事がされており、今回のボトルはその前の蒸留。原酒にどんな違いがもたらされたのかは。。。


度数落ちの典型例とも言えるフレーバー構成。当時のハートブラザーズはこの手のリリースが多い印象があります。
ハートブラザーズは1990年代頃は43%や46%の加水ボトルを主体にリリースしていましたが、ラベルが変わってからはカスクストレングスで度数落ちリリースがメイン。元々加水で出すので度数はあまり関係なく樽買いしていたものの、カスクストレングスの需要が増えたのでそのままリリースするようになった(結果、低度数が多かったが、最近は高度数化)、という流れでしょうか。あくまで推測に過ぎませんが、最近見なくなってしまったリリースの傾向です。

このブログでも度々触れていますが、ウイスキーの熟成は足し算と引き算の積み重ねです。
(某メーカーが「何も足さない、何も引かない」というキャッチコピーを使っていましたが、それでは一体何を作っているんだと。)
足し算は樽由来の香味、あるいは熟成させる場所の空気を介したその土地の何か。引き算はウイスキーを構成する成分。熟成が進めば樽由来の香味の足し算と共に、樽の呼吸を解してアルコールや雑味といった要素が引かれていくのですが、実は引き算される要素もまた、ウイスキーの香味の厚みや複雑さ、言い換えれば個性を担っているところもあり、必要以上に引き算が続くとこの度数落ちのボトルのようにボディが軽く、樽の香味だけが残っていくような構成になる。つまり、過熟です。

ピークがどこにくるかは熟成させる原酒の酒質に加え、樽の種類、さらには熟成環境(気温や湿度)が大きく異なり、一概には判りませんが、流石にホグスヘッドで度数が40%ギリギリまで落ちる40年はやりすぎ。
とはいえ、テイスティングにも書いたように、樽感主体の味わいの中に、1960年代のモルトに感じられる土っぽさ、麦の味わいが残っており、最後の輝きを楽しむことは出来ます。
また、度数が低いので開封後足の速いモルトかと思いきや、あまりへたることなく、樽感もまだまだパリッとしている。最近ようやく麦芽系の甘い風味が感じやすくなったのは収穫でした。

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以下雑談。
さる3月25日は私の誕生日。今年で33歳となりました。
せっかくなので生まれ年、1984年蒸留の何かを開けるかとも思いましたが、ちょうど良いモノが無かったので33年熟成のウイスキーを飲むことにしたわけです。
こういうとき、1980年代のロストビンテージ生まれはなかなか苦労しますね。

家族での誕生パーティーメニューは、我が家の最重要事項である息子の一声で"餃子"に。ハンバーグとかステーキじゃなくて、餃子なのか・・・(笑)。これにケーキですから、テーブルの上にちょっとした異世界が広がっています。
土曜の日中外出する妻に代わり、自分で自分の誕生日を祝うメニューを作る妻子持ち会社員(33)。
そんな疲れも吹き飛ぶ息子と妻が歌う誕生日ソング。後片付け含め、昨晩は完璧にやりきりました。