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Mystery about SCAPA distillery

スキャパはバランタインの主要原酒(7つの柱)の一つであり、
スコットランド最北地域オークニー諸島にある蒸留所の一つ。
そのほとんどはブレンドに使われるため、シングルモルトとしてのリリースは少ないものの、
バーボン樽やナチュラルカスクで熟成された原酒は華やかでオイリー、
ほのかにスモーキーで中々レベルの高いものです。

今日の話題はこのスキャパ蒸留所からリリースされている、
オフィシャルボトルの16年についてです。



スキャパは公式には、1994年から10年ほど創業を休止していることになっています
今は2015年、年度で考えて2014としてもマイナス16は1998年で、休止期間真っ只中。
休止前の1994年に蒸留された原酒は酒齢20年になっているはずですが、オフィシャルは未だ16年表記です。
(熟成年数をさば読みして上増しするのはNGですが、若く表記するのは問題ないので、仮に20年熟成であっても何ら問題は無いのですが。)


考えられる可能性は以下4点。

①実は2010年頃に詰められたボトルの在庫がまだ残っている。
②休止期間中も少量ずつ毎年生産されていて、その原酒が混ざっているため。
③中身は20年物、あるいは17年以上になっているけど、めんどくさくてラベルを変えていない。
④スキャパと称して他の蒸留所の原酒が詰まっている。
(日本じゃないので④は無いでしょうが・・・。)

この疑問について昨日、一昨日、FB及びTLで色々意見を頂きました。
結論として答えはわからないままでしたが、②に関する情報もいくつかありましたので、整理してみます。

Malt whisky year bookによると、スキャパ蒸留所の1994年からの道のりは
1994年  操業停止
1997年~ 毎年数ヶ月間の間、ハイランドパークの職人を使って少量生産を開始。
2000年  閉鎖危機到来
2004年  アライド社が200万ポンドで改装、11月から再稼働。

となっているそうです。
休止中も稼働していたので、②による少量生産分の原酒を使って出荷も可能だったことになります
ただ、少量生産した原酒がシングルモルト用として生産されていたかは不明です。
スキャパは上述のとおりバランタインのキーモルト。
最近こそシングルモルトの需要が増えていますが、世界の市場は9割がブレンデットウイスキーです。
バランタインなんて2秒に1本売れているという統計もあります。
年々増えているスコッチウイスキーの需要に応えるためにも、製造した原酒をビックネームであるバランタイン用としない理由はちょっと考えられません。

そんなわけで真相ははっきりしませんでしたが。
可能性としては、①が無くなり次第②か③というところでしょうか。
②については上述のとおり原酒を使えたかはわかりませんが、
②にしろ③にしろ、当時より長熟原酒の割合が増えているということになります。
加えて、どのケースでも10年間まともな製造がされていないのは事実ですから、
現行ボトルがいつまで販売されるかというと、そう長くは無いというのは確かなところでしょう。

(Facebookより写真引用:スキャパ蒸留所外観。撮影・製作:Ishihara Tatsuya氏)


過去には14年を16年に切り替えたこともあります。公式情報では2009年11月モデルチェンジ。
これは休止期間を差し引くと、原酒の酒齢的に辻褄が合います。
今後はラベルチェンジで再稼働後の原酒を使った、若年化した表記のボトル(10年や12年)が出てくるのではと予想します。

現行オフィシャル16年40%は、バーボンカスクのフルーツ感のある良く出来たウイスキーですが、
加水とチルフィルターの影響でかなり香味が削られているように感じます。
それは先日テイスティングコメントを紹介した、スキャパのカスクストレングスエディションと比較すると明かに・・・。

例えば次回のリリースは、アラン蒸留所のような10年、12年の50%Overや、
サントリー系で増えている48%のノンチルフィルターなど、ちょっと濃いめのモノを期待したいです!


(追伸:FB、TLでコメント・情報頂きました皆様、ありがとうございました!)