ホワイト&マッカイ 21年 1970年代流通

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WHYTE & MACKAY 
21 Years old 
1970's 
43% 750ml (75cl 86proof) 
構成原酒:ダルモア、フェッターケアン、トミントール、など 
評価:★★★★★(5) 

(状態が良ければ★6評価)

香り:重みのある黒蜜のような甘い香り立ち、柔らかいスモーキーさ。カラメル、カステラ、ひねた古酒感、干しわら、土っぽい香り。注ぎたては経年によるインクを思わせるオフフレーバーがあるが、時間経過で弱まっていき、奥からモルティーな華やかさとオールドシェリーの甘いアロマも感じられる。

味:まろやかで粘性のある口当たり、レーズンやブラックチョコレートの甘さと柔らかい酸味が広がる。中間から後半はコルキーなオフフレーバー、カラメリゼを思わせる品の良い苦味、微かなスパイスと土っぽい内陸系のピートフレーバー。余韻はじんわりと染み込むように広がり、あまり長くは残らない。


このボトルは、ウイスキー仲間であり自転車仲間でもあるKさんから頂いたモノ。
昨年末ごろ、自分が80年代のホワイト&マッカイ21年の記事をUPしたところ、ちょうどKさんが同21年の70年代を飲まれており、比較用にと小瓶で頂きました。
ホワイト&マッカイ21年の70年代は80年代よりも流通量が多くなかったためか、市場で見かける頻度は少なめ。しかし稀に特級表記だけでなく、JAPANTAX付きのボトルを見ることもあります。
今回のボトルは台湾、あるいは香港流通と思われるものです。

両者を飲み比べてみると、1980年代のほうが色が濃く、香り、味共にシェリー感がダイレクトに感じられます。
対して1970年代のほうがスモーキーな、原酒のベースとなる部分由来のフレーバーが強く、ボディも厚みが感じられます。
少々保管状態による影響を受けているものの、奥には追いやられてしまったモルティーな華やかさが、スワリングと揮発で顔を出しており、本来の姿を見ることも出来ました。
どちらも良いブレンデッドで、滑らかで口の中によく馴染む乖離のない口当たりは共通項です。この辺は流石名門ブレンドのハイグレード。後はもう完全に好みの問題と、手元に来たボトルの状態次第ですね。

ホワイト&マッカイ社の1970年代は、同社にとって変革の時期の一つ。
別記事でも触れましたが、1972年にフェッターケアンとトミントールを買収しウイスキー事業は拡大路線。ドランカー…じゃなかった、ブレンダーのロバートパターソンが入社。現在知られるホワイト&マッカイの下地が作られたのはちょうどこの時期です。
その後同社は順調に拡張と買収を重ね、8蒸留所を傘下に置くグループ企業を構成するに至るわけですが、その薀蓄は近年のボトルを紹介する機会に取っておこうと思います。
気になる人はぐぐって調べてみてください。

マルスウイスキー 駒ヶ岳 ネイチャー オブ 信州 竜胆

カテゴリ:
KOAMGATAKE 
Nature of Shinshu RINDO 
MARS WHISKY 
Japanese Single Malt Whisky 
Limited 8200 bottles 
700ml 52% 
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:エッジの立った香り立ち、トーストしたパンの香ばしさに、乾いた草、スモーキーさ。加水すると華やかなアロマに麦芽風味、オーク香も微かに感じられる。

味:重みのある口当たり、樽感は淡いタイプでモルティーな味わいから微かに若さを感じる酸味、ピーティーなフレーバーが開く。
余韻は心地よいピーティーさと、ドライアップルやケーキシロップを思わせる、華やかな甘みがじわりと出てくる。少量加水するとバランスが良くなる。


20年以上熟成したモルト原酒と、2012年蒸留の3年モノの若いモルト原酒をバッティングしたシングルモルトウイスキー。
前者は1992年の休止前の信州蒸留所の原酒で、後者は再稼働後のものでしょう。 やはりNAであってもブレンドにおける長熟原酒の働きというのは偉大なもので、 ここ最近リリースされたマルスのシングルモルトウイスキーの中では、レベルの高い1本に仕上がっています。

マルスウイスキーの一時閉鎖は1992年、再稼働は2011年2月。現時点でそこから4年と10か月少々しか経っていません。閉鎖前のシングルカスクを除くと現在使える原酒は若いカスクのみ 。あとは某所から買い付けたとされる、数年前までリリースされていた駒ヶ岳10年用に使っていた原酒もあるんでしょうけど、どれだけ残っているかはわかりません。
リリースされるシングルモルトやブレンデッドには当然若い原酒の風味がついて回り、奥行きや味わいの幅も狭いため、 ブレンドしても苦しい仕上がりになります。どの蒸留所にしても、稼働直後は通る道ですよね。
それでも何とか飲みやすいを商品をと、 マルスではワインカスク等の濃いフレーバーで若さを塗りつぶす方針が主流になっています。低価格でそれなりに飲めるものを提供する工夫としては、評価できるのですが、それで良いかと問われると・・・。

話が逸れてしまいましたが、今回テイスティングした駒ヶ岳 竜胆は、若い原酒に熟成した原酒を加えることで、最近のマルスにはなかったバランスのとれた味わいに仕上がっています。
多少若さが垣間見れるものの、原酒の中にピーテッドタイプが使われているためか、しゃっきりとしたピートフレーバーがプラスの作用に変えている。少量加水での開きも悪くないです。 

ネイチャーオブ信州は長野の自然をテーマとしたシリーズで、この竜胆が1stリリース。
次のリリースに期待出来る1本だと思います。

グレンロセス 33年 1972年蒸留 2005年ボトリング オフィシャルボトル

カテゴリ:

GLENROTHES 
Aged 33 years 
Distilled 1972 
Bottled 2005 
43% 700ml 
暫定評価:★★★★★★★(7) 

香り:少し古酒っぽさを伴う華やかな香り立ち。メープルシロップ、リンゴのコンポート、白葡萄。果実感が充実して多層的なアロマ。

味:華やかで とろりとした粘性のある蜂蜜やオレンジママレードのような麦芽風味 。微かに青みがかった甘さが熟したメロンのようでもある。厚みと少しのヒネ感。鼻抜けは白葡萄ジュースのような華やかさ、 心地よくドライな余韻。


グレンロセスがISC2005で最高賞のトロフィーを獲得した、その時のテイスティングアイテムだったボトル。
最近グレンロセスキーモルトのブレンドを幾つか紹介したので、オフィシャルのほうも掲載してみます。
一言で旨いスペイサイドモルト、このシリーズの長熟や70年代蒸留は安定して旨いものが多く、80年代に入ってもそれなりにまとまったものが多い印象。そりゃ使ったブレンドも旨くなりますよ。
ボトラーズだと、あまり長熟過ぎるものはドライすぎたり個性が弱くなりすぎているモノもありますが、このボトルは流石オフィシャルだけあって、良い原酒選んでバッティングしてます。加水ですが複雑で飲みごたえもありますし、完成度の高い一杯です。

グレンロセスのオフィシャル自体はリリースが無かったわけではなく、80年代からトールボトルがあったものの、1990年代に入って一時期国内流通が途絶えていたという話。この丸瓶時代は確かこのボトルくらいから、日本にも入ってきたんじゃなかったかなと思います。
2000年代前半の日本のモルト市場って、ほんと良いモノがゆったりとした速度で流通していましたよね。

同銘柄はボトル形状はもとより蒸留年、ボトリング日時等が記入されたラベルが採用されており、当時のオフィシャルボトルとしては珍しい仕様になっています。
このボトルは現行品にも引き継がれていますが、最近の通常販売品からはビンテージと熟成年表記は消えてしまいましたね。ハイエンドクラスならあるようですが・・・ここでもみられるNA化に時代の流れを感じます。

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