WWA2016発表 カヴァラン2年連続 響は2期ぶりの戴冠

カテゴリ:
ワールドウイスキーアワード2016 のウィナー15本が発表されました。
2015年は9部門だった表彰対象が、今年から15部門となっており、多くのボトルが表彰対象となっています。
最近一部の部門で予定調和や懐疑的な受賞が続いていたものの、特に今回はシングルモルト、ブレンデッドモルト、ブレンデッドウイスキーの主要なアワードに(2014年ほどの)大きな驚きはなかったように思います。

といっても、ベストブレンデッド・リミテッドリリースのグレンアルバをはじめ、バーボン、カナディアン、コーンウイスキー部門など知らないボトルも多く違和感も何もないのですが。ウィナー以外の審査対象となった全ボトルまで見ると、こんなリリースも出ていたのかと益々興味をひかれます。


フレーバーウイスキー部門は知っているボトルで、個人的に2015年度における最も"おぞましいウイスキー"の一つ、ノブクリーク・スモークドメープルが受賞していて、思わず吹き出してしまいました。
ブレンデッドモルト部門で受賞したリファレンスシリーズⅢ.2は、この前作であるⅢを飲んだことがあり、飛びぬけて素晴らしい印象はありませんでしたがまとまりの良いブレンデッドモルトで、受賞したとあればこちらも飲んでみたいですね。


シングルモルト部門のプルトニーは、過去飲んできたプルトニーの1989年ビンテージは、前後のビンテージ含めバリンチもボトラーズも良いリリースが多いですし、素直に期待できそうです。
近年大躍進中のカヴァランは今年から新設されたシングルカスク部門で受賞。この蒸留所は経営的な面でも品質的な面でも正直凄いと思いますが、スコッチウイスキーと相対的な比較でというのが飲み手としては複雑な心境です。アモンティリャードシェリーは辛口のシェリーですが、この樽で熟成させたウイスキーは経験が無いので、どのような風味になっているのか気になります。



我らがジャパニーズウイスキーでは、国際コンペの常連とも言える響21年が2013年以来2期ぶりとなる受賞。また、グレーン部門では富士山麓シングルグレーン25年がグレーン部門でキリンの初戴冠を勝ち取っています。( キリンのドリンクスでは既に該当ボトルが売り切れているとか。)
このうち、日本に入ってくるのはいくつあるのか、そして自分が飲めるのはいくつあるのかわかりませんが、こういうコンテストで受賞した銘柄となると、飲んでみたくなるのが飲み手の性ってものですね。


【WWA2016 受賞銘柄一覧】
・World's Best Blended Limited Release Whisky
Glen Alba 22 Years Old Blended "Scotch"

・World's Best Blended Malt Whisky
Reference Series III.2 "Scotch"

・World's Best Blended Whisky
Suntory Hibiki 21 Years Old "Japanese"

・World's Best Bourbon Whiskey
Abraham Bowman Pioneer Spirit "American"

・World's Best Canadian Blended Whiskey
Gooderham & Worts "Canadian"

・World's Best Corn Whisky
Balcones True Blue 100 Proof "American"

・World's Best Flavoured Whisky
Knob Creek Smoked Maple Whiskey "American"

・World's Best Grain Whisky
The Fuji-Gotemba Distillery Single Grain 25 Years Old Small Batch "Japanese"

・World's Best Rye Whisky
Pikesville Rye "American"

・World's Best Single Barrel Bourbon Whiskey
Smooth Ambler Old Scout "American"

・World's Best Single Cask Single Malt Whisky
Kavalan Solist Amontillado Sherry Single Cask Strength "Taiwanese"

・World's Best Single Malt Whisky
Old Pulteney Vintage 1989 "Scotch - Highlands"

・World's Best Single Pot Still
Green Spot Château Léoville Barton "Irish"

・World's Best Wheat Whisky
Bernheim Original Straight Wheat Whiskey "American"

参照:http://www.worldwhiskiesawards.com/2016/

余談ですが、今回は蚊帳の外となってしまったのがニッカウヰスキー。
竹鶴も、フロムザバレルも、今回は出番じゃなかったという事なんでしょう。昨年販売したピーテッドやシェリーが入ってくるかと思いましたが、メーカーからのノミネートもなかったようで。
他方でこのWWAの裏で、ウイスキーメーカー、製造者などを中心に表彰するアイコンズオブウイスキー2016において、ワールドベストディスティラリーマネージャーを、ニッカウヰスキーの西川工場長が受賞されていました。
同賞ではこれまでも日本の蒸留所や製造関係者が表彰されており、製品のみならず、それに係る現場サイドが評価されるのは、どういう形であれ喜ばしい事だと思います。

グレングラント 30年 1972-2000 BBR 46%

カテゴリ:

GLEN GRANT
BERRYS’ OWN SELECTION
Years 30 Old
Distilled 1972 or 1973
Bottled 2003
Cask type Sherry #8239
46% 700ml

グラス:シュピゲラウ グランドテイスティング
量:30ml程度
場所:個人宅
時期:開封後半年程度
暫定評価:★★★★★★★★(8)

香り:酸味と果実味のあるリッチなシェリー香。ベリーや枝付きレーズン、ほのかに黄桃を含む色濃いフルーティーさ、柔らかいタンニン、若干のラッカー香が経年を感じさせる。 

味:スムーズでリッチな口当たり。シェリーの濃さとフルーティーな香味はカラメルソース、リンゴのカラメル煮、レーズンチョコレート。徐々に黒葡萄を皮ごと食べたような苦味が口の中に染み込んでいく。
余韻はドライで渋みとほのかな土っぽさに、オールドシェリーの濃厚な甘みが長く残る。 

BBRは1960年代、や1970年代初頭を中心に、さすがワイン商と思わせるシェリーカスクをリリースすることが多いのですが、このグラントもベリー感の漂う素晴らしいシェリー感で、余韻がただ渋くドライなだけで終わらない、甘美な甘味の戻りを感じる、実に充実の1杯でした。これですよ、こういうシェリー感が欲しいんですよ。

蒸留時期は記載が無いので不明ですが、逆算して1972か1973であることは言うまでもなく。グレングラントと言えば一時期当たり年として1972が多くリリースされましたが、これは72だから良いわけでもなく、グラントは全体的にこのあたりのビンテージまで安定して旨いんですよね。
バーボン樽でもシェリー樽でも輝く、本当に素晴らしい蒸留所です。


余談。
最近持寄り会の際に、ボトルをグラスの中で少量ずつバッティングして即興ブレンドを作ることが多いのですが、今回は自分が持ち込んだリンクウッド1973に、ベンリアック1975、そしてこのグレングラント30年を加えた3種バッティングが素晴らしい味わいで感動してしまいました。

先日記事にしたロングモーン1964バージョンも作ったのですが、グラントのほうがシェリー感のフルーティーさが良い方向に作用しており、完成度は上。
なんとも贅沢な遊びですが、これもまた持ち寄り会の楽しみ方ってことで。。。いやー良い夜でした。

ラフロイグ カーディス 2015  200周年記念 51.5%

カテゴリ:
LAPHROAIG 
CAIRDEAS 
200th Anniversary Edition 
For the Friends of Laphroaig 
51.5% 700ml 

グラス:サントリーテイスティング
量:30ml程度
場所:個人宅
時期:開封後2か月程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ナッティーなピートフレーバーと乾いた麦芽香、グレープフルーツピール、ヨード、微かにハーブ。
塩気、柑橘は淡くあっさりとしているが、スモーキーさと麦芽のアロマは多層的。

味:香り同様の構成。度数ほどのアルコール感はないが、フレーバーそのものはフレッシュでピーティー、若干の草っぽさを伴う麦芽風味。 グレープフルーツピール、淡い樽感、徐々に塩味のスープのコクやヨードを思わせる消毒臭と灰っぽいスモーキーさが鼻に抜けていく。
余韻はほのかなアーシーさを伴うピート、麦芽の旨みが舌に染み込むように残る。


ラフロイグが毎年リリースしている限定ボトル、ゲール語で友情を意味するカーディスの2015年リリースです。
200周年記念の合わせ技もあり、抽選販売だったとか、取り合いだったとか、まあいろんな話を聞くボトルで、気になっていたのですが、飲みに行く先で中々めぐり合わせが無く、先日ようやくテイスティングとなりました。(K兄さん、ありがとうございます。)

メーカーサイトでは
The 2015 bottling is produced from of our finest floor malting’s malt, distilled using only the smaller stills and fully matured in our famous No1 warehouse, right by the sea.
として、最良のフロアモルティングモルトで製造されている事。昔と同じサイズの小さいポットスチルで蒸留していること、ラフロイグで最も古い1番熟成庫で熟成させていること、すなわち200年前のラフロイグの製造方法を踏襲しているという解釈なのだとか。気合入ってますねえ。

度数ほどのアルコール感を感じない飲み口に、フルーツ感はあっさりと淡い感じで、ピーティーさと合わせて麦芽風味にしっかりと根付いているようなイメージ。良いご飯を食べた後に旨みが口の中に残るような感覚で、灰っぽいスモーキーさと合わせて余韻にかけて存在感を出しています。
フルーティーさが強かった15年や21年の200周年記念ボトルとは違う構成で、派手さがないが味わい深い、質実剛健というか、なんだか真面目な印象を受ける味わいでした。
こういうボトルは、日を置いて飲むとまた違うキャラクターを見せてくれそうです。


そういえば、ラフロイグ カーディス2016の情報も出てきているのでこちらにも転載します。
アイラフェス2016で公開されるカーディス2016は、バーボン樽熟成からのマディラワイン樽フィニッシュだそうです。
ラフロイグのフルーティーでスモーキーな酒質と、マディラの甘さがどう作用するのか、楽しみですね。 

このページのトップヘ

見出し画像
×