ニッカウヰスキー 宮城峡蒸留所  売店販売品や試飲アイテム情報

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3月19日から21日までの3連休。実家に帰省するついで、ふらりと宮城峡蒸留所まで行ってきました。
父方の実家が仙台なので、なんだかんだ1年に1度は訪問している宮城峡。蒸留所の中が見たいというわけではなく、作並周辺の自然に心を癒されに行く(湧水で水割り作ったりとか)のがメインだったのですが、子供が産まれてからはそれも出来ず。
今回はウイスキー仲間からの頼まれものもあったので、空いた時間でふらっと訪問し、昨年のラインナップ整備以降大きく変わった、蒸留所の売店や新しい試飲コーナーを見てきました。

1.見学行程
次のシャトルバスまで時間があったので、2年ぶりのツアー見学に参加してみました。毎度思うんですが、宮城峡の工場見学って粗いんですよね(笑)。蒸留器の見せ方ひとつとっても、そもそも一般サイドが見学するように出来ていないというか、もっと良い見せ方あるだろーって。
この辺は創業者の精神が色濃く反映されていると言えるのかもしれません。
(今年1月からの新しいツアーはまだ受けていませんが、去年までの情報で考えればサントリーの見学行程のなんと洗練されていたことか。)

 見学行程の中で一つ大きな違いがあったのが、これまではキルン塔の中と、乾燥させたピートの現物を見せてくれていたのが、建物の外から説明するだけに変わった事。
まあ元々宮城峡ではモルティングをしていないので、ただのシンボル的な建物ではあるんですが。ピートの現物は中々見ること、触ることができないので、これはちょっと残念だなと感じました。

2.売店
売店で販売されていたウイスキーはこの1~2年間で大きく変化しており、以前は竹鶴12年など終売となった旧品の在庫があったりしましたが、先日見た限り世代交代は完了していました。

販売されていたウイスキーは、通常の店頭販売品に加え、昨年11月頃にNAとしてニューリリースされた蒸留所限定品
・モルティー&ソフト 55%
・フルーティー&リッチ 55%
・シェリー&スイート 55%
・シングルカフェグレーン ウッディ&メロウ 55%
昨年4月頃に発売された宮城峡2000’s。
後はフロムザバレルのラベル違いと言われている、樽出し51%ウイスキー。
カワセミの書かれた宮城峡オリジナルウイスキーぐらいという感じでした。
これらは後述するテイスティングコーナーで有料試飲ができる他、ノージングで香りを確認出来るコーナーも整備されています。


3.有料試飲コーナー
一時期、見学者数増の影響で休業していた有料試飲コーナー。昨年7月から営業を再開したということで、ラインナップが気になっていました。
造りは休業する前と変わらず、スタッフも2名体制。一応現在販売されているほぼすべてのオフィシャルラインナップに加えて、終売した宮城峡10年~15年、蒸留所限定品、鶴17年等は試飲可能で、宮城峡15年、竹鶴21年が一番人気のようです。
(無料試飲の宮城峡シングルカスク10年、試食のスナックモルトは無くなっていました。)



3月という時期の関係か、大学生と思しき若い方々が多く見学に来られているように感じました。他方で、昨年来たときは目立ちに目立った駐車場を埋め尽くすシャトルバスという景色は無く、蒸留所のスタッフに確認しても「一時期よりは落ち着いたよね」という反応。
マッサンに始まったジャパニーズウイスキーブームは、ウイスキー愛好家の絶対数を底上げして、ようやく落ち着きを取り戻しているようです。

イチローズモルト ユナイティングネイション 2ndリリース

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UNITING NATION’S
2nd Release
Pure Malt Whisky
Finished Pedro Ximenez Sherry Casks
700ml 50%

グラス:SK2
量:個人所有(頂き物)
場所:自宅
時期:不明
評価:★★★★★(5)


香り:カカオチョコを思わせるビターでウッディな香り立ち、ほのかに硫黄もある。奥にはセメダインのツンとした刺激に、リンゴ、コニャックのような酸味、多様なキャラクターを感じる。

味:メープルシロップの甘みにコニャックカスク系の酸味、そしてねっとりした甘みには硫黄も感じられる。紅茶の品の良い甘さと香り、砕いた麦芽、度数の割にあっさりとしている。余韻は甘くリッチだが、年生のある甘みが覆いかぶさって、やや面白みには欠ける構成。


ウイスキー仲間のKさんから頂いたボトル。
先日、アデルフィーがリリースしたバッテッドモルトウイスキー、グラヴァーを飲んでこのボトルを思い出し、押入れの中から引っ張り出してきました。 
2008年、日英友好150周年を記念して、なぜか当時のベンチャーウイスキーから2種類リリースされた記念ボトル。英国大使館が主催したUK-Japan2008の公認ウイスキーという位置づけになります。
セカンドリリースとなる今回のボトルは、ファーストリリース同様に日本とスコットランドのシングルモルトで作ったバッテッドモルトを、ペドロヒメネスシェリーカスクのフィニッシュしてリッチな味わいに仕上げてあります。

本ボトルの発売当時、ウイスキーの沼にハマり始めたばかりだった自分は、経験の浅さから使われている原酒の傾向等ほとんど理解できなかったわけですが、こうして改めて飲んでみると羽生蒸留所の原酒の影響がしっかり感じられます。コニャック樽原酒でしょうか、ペドロヒメネスの濃厚な甘さの裏から、独特な酸味も感じられます。
ブレンデッドタイプのウイスキーは、浅く広く誰でも飲める飲みやすさがあるとともに、知識と経験が積みあがってくると違う世界が見えてくるのもが面白い。ある程度飲みなれた人こそ、こういうタイプのウイスキーも嗜んではどうかな感じますね。

アイルサベイ NA 48.9% オフィシャルボトル

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AILSA BAY
Single malt scotch whisky
(No Aged)
PPPM 21
SPPM 11
700ml 48.9%

グラス:SK2、創吉テイスティング
量:100ml程度(シェア購入)
場所:自宅
時期:開封後2週間程度
評価:★★★★(4)

香り:ピーティーで若い酸味の混じる麦芽香、ハッカ、スワリングしていると淡い消毒臭、時間経過でシロップの甘みと根菜のアクやエグみを思わせる植物感が開いてくる。樽感は淡く、奥行きや複雑さはあまり感じない。

味:水っぽい飲み口からエッジの立った口当たり。じわじわと土っぽいピーティーさ、根菜、ニガリを思わせるえぐみと苦味に加え、ビスケットを思わせる甘みが感じられる。
余韻はピーティーで植物系の苦味が強くなっていく。香り同様、若さをピートで補っている印象で、熟成感は弱く酒質もプレーンであり複雑さもあまり感じれない。まだ若く、分離感のある味わいだ。


ウィリアムグラント社が、2007年に新設した第4蒸留所、アイルサベイ。そのファーストリリースです。
本蒸留所はグレンフィデックの兄弟蒸留所に当たり、その他にもバルヴェニー、そしてキニンヴィが有名です。
中でもキニンヴィは、原酒がほぼ100%ブレンド用であるため、飲めない蒸留所として知られているわけですが、グラント社はここにきてもう一つ、シングルモルトマニア注目の蒸留所を追加してきたわけです。
「どうせまた飲めない蒸留所だろ」とあまり意識もしていませんでしたが、どうやら昨今のブームを受けてシングルモルトも展開されていくようで、ウイスキー仲間との海外直接購入であっさり飲む機会に恵まれてしまいました。

アイルサベイ蒸留所は、ウィリアムグラント社がローランドに所有するグレーン工場、ガーヴァン蒸留所の敷地内に建設されており、位置づけ的にはローランドモルトに分類されます。また、ガーヴァン敷地内の建設場所はレディバーン蒸留所の跡地でもあり、閉鎖、グレーン蒸留所も含めると、アイルサベイはウィリアムグラント社の第6蒸留所であるとも言えます。
ローランドモルトとしては珍しくピーテッドタイプで仕込まれており、ピートレベルはブルイックラディ(ポートシャーロット)とほぼ同じ21PPM。もう一つの指標となるSPPM(Sweet Parts Per Million)は独自の表現方法で、甘味のレベルを意味するようです。
SPPMは比較対象がないため、現時点であまり意味はないですが、今後同社の製品に統一して使用されるなら面白い試みだと思います。


前置きが長くなってしまいましたが、今回のボトルは、そもそも最長で8年熟成というところ。味に奥行きがなく単調気味な構成となっています。
同蒸留所では、ニューメイクスピリッツを、一度ハドソンベイバーボンと呼ばれる25~100リットル程度の小さい樽に詰め、6~9ヶ月間熟成させて味を濃縮させ、その後ボトリングまでの期間をファーストフィルかセカンドフィルのバーボンバレルで熟成するという、一般的に行われている熟成方法とは逆の工夫もされているようです。しかし今回のボトルでは、メーカーコメントほどの樽感は感じられず、全体的に淡い仕上がりとなっているところ。土っぽいピーティーさと植物系のニュアンスの混じる根菜のような風味が主体で、若さはピートで中和されてなんとか飲めるかなというレベルの仕上がりです。他の蒸留所で例えるなら、近年の若いレダイグに似ている部分があるかなという印象も持ちました。

ハイボールにすると消毒液のようなアロマが強く立ってきます。飲み口はすっきり、その中に香ばしさも感じられ、やっぱりピーティーなモルトは炭酸との相性が良いんだなと思う反面、これじゃなくても良いように思うのは・・・。
今回はファーストリリースですし、旨さというより際立った個性を楽しむボトルだなと整理。面白い原酒がラインナップに加わったと思います。ブレンドの観点では原酒の幅が増えるのは良いことですし、今後のアイルサベイ並びにウィリアムグラント社の展開が楽しみです。

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