オールドフォレスター ボンデッド 1980年代流通 50%

カテゴリ:
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OLD FORESTER
BONDED
Kentucky Straight Bourbon Whisky
Aged 4 years
1980's
1000ml 50%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR BRACK HEART
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:香り立ちは軽いセメダイン感や柑橘類の酸味から、メープルシロップやバニラ、メローなウッディネス。合わせてポップコーンなどの軽い穀物感、干草、香ばしさも伴う。

味:口当たりはややドライでパンチがあり、そこにメローで芯のある甘み。チェリーのシロップ漬けと薄めたカラメルソース、ウッディでビターなフィニッシュ。香りで感じられた穀物由来の香ばしさと華やかさが混じり合って鼻腔に抜ける。

15年オーバーの長熟のようなねっとりした味わいではないが、樽感は比較的しっかりついてメローでウッディな要素が主体的。そこにハイプルーフらしく酒質部分にはまだ力強さ、刺激が残っており、甘さの中にしっかりとパンチのある味わいでもある。ロックや少量加水で。

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ウイスキー関連企業の中でも、世界的に大きな勢力の一つであるブラウンフォーマン社が、1860年の創業当時にリリースしたバーボン銘柄がオールドフォレスターです。名前の由来はいくつか説があるようですが、有力なのは医者の名前説でしょうか。まあその辺はぐぐって頂くとして・・・。

当時同社は自前の蒸留所を持っておらず、他社から買い付けた原酒で製品を作っていたようです(他社に先駆けて瓶詰めでウイスキーを販売した、というブランドエピソードに該当する時代)。
その後紆余曲折を経て、禁酒法後に自社蒸留所としてブラウンフォーマン蒸留所をルイヴィルに建設。1980年代まで生産を継続した後、今度はアーリータイムズ蒸留所を買収・改築して原酒の生産をシフト。現在は2018年に新設・稼動したオールドフォレスター蒸留所で、将来に向けて蒸留を行っています。

このブラウンウォーマン蒸留所時代と、アーリータイムズ蒸留所時代の見分け方は、日本向け正規品の場合は特級時代であること。並行品や今回ようなボンデッドの場合は、ラベル下部や裏面ラベルに書かれたロットナンバーで判断します。つまり、「DSP KY 414」がブラウンフォーマン時代。「354」と書かれている場合は、アーリータイムズ時代となる整理です。

アーリータイムズの買収時期と、稼動後に原酒が仕上がるまでの期間等を考えると、原酒の切り替わりは1990年ごろだったと推測されます。
そのため該当するナンバーそのものが書かれていない日本正規品でも、特級時代で末期を除けば、蒸留はまずブラウンフォーマン時代だったと考えられます。
一方、1990年ごろに流通した現地向けのボンデッドを見ると、Distiller 354、Bottler 414という表記もあり、ボトリング設備は引き続き旧蒸留所のものが使われている形式だったようです。

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(バーボンには葉巻と肉料理!この日はバーボンに合わせて料理を注文したのではなく、料理に合わせてマスターがバーボンを開栓。程よく焼きあがった牛ヒレ肉に、オールドフォレスターをハーフロックの要領で1:1の濃いソーダ割り。この「ちょいソー」スタイルが抜群に合う)

オールドフォレスターはライ比率が18%と、ハイライ傾向のマッシュビルに加え、また発酵の時間も長いことから、クリアで華やか、フルーティーな酒質をハウススタイルとPRしています。
では上記414時代と354時代、マッシュビルが同じとしてどちらがそれを好ましい傾向に仕上げているかというと、自分は414時代を推します。
酒質だけでなく樽の違いも考えられるため、蒸留所の違いがもたらす要素が必ずしもとは言い難いですが、コクがあってメローかつ華やかな414時代と異なり、354時代のものは溶剤っぽい要素が強く、スパイシーでドライ。。。

該当する刺激はライらしさと言われればそうなのですが、比率の高さが良い方向に作用していないように思うのです。
オールドフォレスターは昨年から銘柄の名を冠する新しい蒸留所での生産を開始していますが、その原酒がリリースされるのは来年以降。果たしてどのような仕上がりになるのでしょうか。

(トリビア:オールドフォレスターは禁酒法時代でも薬品として販売を継続していたウイスキーの一つ。当時は上記のような許可証が、銘柄毎に発行されていたという。)

以下雑談。 
自分が酒屋めぐりをし始めたのが2009年頃。特級時代のシングルモルトは中々出土せず、むしろ1990年代~2000年ごろのオフィシャル・ボトラーズから選んでいくという感じでしたが、バーボンだけは色々と出土していた時代でした。
良く残ってたなという出会いの記憶と、悔やまれる多くの思い出がある中で、自分の実家近くの酒屋に少なくとも6本あったのが、このオールドフォレスターのボンデッド。ええ、勿論スルーしてしまいましたよ。
これは比較的軽症なほうですが、何で買わなかったかなぁ、という気持ちにさせてくれた今回のテイスティングでした。

VAT69 1980年代流通 特級表記 43%

カテゴリ:
VAT69
FINEST SCTOCH WHISKY
1980's
750ml 43%

グラス:国際規格テイスティング
場所:お酒の美術館 神田店
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★(5)

香り:ピリピリとしたスパイシーさ、ハッカやメンソール、干草っぽい乾いた植物感。カラメル系の甘みはあるが、あまり奥行きのないクリアなアロマ。

味:やや若さを感じるドライでスパイシーな口当たり。干草、バニラウェハース、ハッカ、ほのかなヒネ感とべっこう飴を思わせる甘み。
余韻はドライでほろ苦いピーティーさ、ヒリヒリとした刺激を伴う。

若くてプレーン、荒さの残る原酒の要素にグレーン感強め。淡いカラメルっぽさが古酒に通じるニュアンスとなっている。少量加水すると刺激が収まりマイルドな飲み口となり、特にフレーバーの幅は広がらないが余韻は長く続く。


100種類のブレンドの試作の中で69番目のヴァッティングレシピが採用されたことから、ヴァッティングNo,69を略してVAT69とする名称が採用された銘柄。。。というのは1882年のことであり、今となっては由来である原酒構成も大きく異なる時代のこと。
1980年前後の構成原酒はグレネスクやロッホナガー、また作り手であるWサンダーソン社は当時DCL傘下であったため、同社の内陸系ブレンド向け原酒の融通を受けていたものと思われます。

ロッホナガーがキーモルトとしてピックアップされることの多い銘柄ですが、今回紹介する1980年代流通になると、ロッホナガーではなく個性の穏やかなグレネスクがメインとする説があります。
加えて比較的若い原酒を使っているのか、あるいはローランドタイプのモルトもベースに使われているのか、飲み口に軽さとひりつくような鋭さが感じられるようにもなり、それ以前の流通品とは大きくキャラクターが異なる印象です。

(VAT69の各年代ラベル別。左から、1980年代後期から1990年代、1980年代、1970年代の流通品。この3種の中では1970年代流通が熟成感と共に最もロッホナガーを思わせる、独特のピーティーな味わいを楽しめる。1990年代はボディ軽く、グレーン感も強い。)

(1970年代よりもさらにロッホナガーを主体的に感じられるのが、右側の1960年代流通コルクキャップ。麦芽風味と柔らかいピーティーさがこの時代の魅力。なお、同様のニュアンスはジョンベッグのオールドボトルにも感じられる。)

この70年代と80年代の違いに仮説を一つ立てるとすれば、1980年にVAT69のデラックス版、上位グレードとなるVAT69リザーブがリリースされたことが関係していると推察。
1970年代までは熟成した原酒も、若い原酒も全て使って作られていたVAT69が、1980年代から原酒の使い方が整理されて上位と下位、リザーブとスタンダードに分けられたとしたら。。。70年代以前に比べて妙に若さが感じられるのも納得できます。

あるいは、この後1990年代、2000年代になるにつれ、VAT69はDCL、UD、そしてディアジオ内のブランド見直しでどんどん低価格ウイスキージャンルにシフトしていくことを考えると、この若さに通じる変化も1980年代から始まっていたと考えられるのです。

なお今回の時代のVAT69は、自分がオールドを探し始めた当時平塚や三浦半島方面の酒屋でだいぶモノが残っており、ありがちなサービス価格で買わせてもらったのを覚えています。
ホントは60年代〜70年代流通を見つけたかったのですが、結局実店舗では見つからなかったですね。オークションにはあんなに出品されてるのに、一体どこに眠っていたのやら。。。

ロイヤルマイル 40年 2015年リリース ブレンデッドモルト 47.1%

カテゴリ:
ROYAL MILE WHISKIES
Blended Malt Scotch Whisky
Three Cask Blend
40 Years old
Matured in Sherry Casks
700ml 47.1%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後2年程度
評価:★★★★★★(6ー7)

香り:濃厚で香ばしくビター、カカオチョコレートやアーモンド、松の樹皮、ウェアハウス。スワリングしているとラムレーズンのような甘酸っぱいアロマも感じられる。

味:リッチな口当たり。レーズンなどのダークフルーツの入ったチョコレートケーキ、カカオパウダー、かりんとう。コクのある甘酸っぱいシェリー感から、ビターなウッディネスへと変化する。
余韻はタンニンを感じつつ、スパイシーな刺激と微かにサルファリー。少しねっとりとした樽感が口内に残り、長く持続する。

開封直後はサルファリーな要素が若干感じられたが、時間経過で変化した模様。全体的にこなれて現在はビターで香ばしい程度であり、少量加水するとカカオ系の苦味が和らぎドライフルーツやお菓子を思わせる香味が主体になる。


今から3年半ほど前、イギリスのウイスキーショップであるロイヤルマイルがリリースしたブレンデッドモルトです。
構成原酒はマッカラン、グレンロセス、タムデュー。トップドレッシングとして高い評価を受けた蒸留所の組み合わせに加え、それらの40年オーバーの長期熟成原酒のバッティングでありながら、価格的にもそこまでではないという良心的なリリースでした。

そんなわけで、当時仲間内でロイヤルマイルから共同購入していたボトル。
期待とともにテイスティングすると、1970年代前半から中頃蒸留の原酒にファーストフィル相当と思しきシェリーカスク、何より上記蒸留所の組み合わせは現代の飲み手垂涎のスペックであったのですが、開封直後は思ったほどでもなかった・・・なんて声も仲間内ではあったのです。

シェリー感としては良質な時代のそれを感じさせるニュアンスが感じられる一方、比率的にはタムデューとロセスが多かったのか、あるいは原酒の一つが度数落ちだったのでしょうか。
酒質の軽さが部分的に感じられるところに、それを上塗りする強いアタックのちぐはぐさ、そしてウッディな苦味。単に複数の原酒を使うだけでは混ざりきらない、ブレンデッドモルトの難しさを感じるのです。

一方今回時間を置いたものを飲んでみると、そうした要素が開封後の経年変化でいい具合に馴染んできたという感じ。個人的には開封直後もそれはそれで見るところがあるという構成でしたが、コクのある甘みとドライフルーツの酸味、好みの樽感がメインに感じられて楽しんでテイスティングできました。
シングルモルト、シングルカスクで単一の個性を味わうのも良いですが、複数が混じり合ったボトルをじっくり馴染ませながら変化を楽しんでいくのも、ウイスキーの面白さですね。

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