グランツ 21年 1980年代流通 43% ロイヤルドルトン陶器ボトル

カテゴリ:
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GRANT'S
Aged 21 years
Royal Doulton Stone jag
"Castle Grant"
1980's
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封直後
評価:★★★★★★(6)

香り:カラメルソースやチョコレートを思わせる艶やかな甘さ、ダークフルーツとスパイシーなウッディネス。微かに油絵の具のようなアクセント、奥からモルティーなアロマも開いてくる。

味:まろやかだがややウッディでほろ苦い口当たり。キャラメリゼ、オールドシェリー、ほのかにレーズンの酸味。奥には麦芽風味も潜んでいる。
余韻はドライでビター。落ち着きのある甘酸っぱさとともにタンニンが広がって長く続く。

グランツらしい素直な原酒構成に、オールドタイプのカラメルっぽいシェリー感が主体となっている、リッチな味わいのブレンデッド。古きよき時代を思わせる構成の一つ。樽感の奥には多彩な香味があり、テイスティンググラスでストレートをじっくりと味わいたい。

今回のボトルはグレンフィデックやバルヴェニーでおなじみ、ウィリアム・グランツ社のブレンデッドラインナップにおける長期熟成品。それを世界最大の陶磁器メーカーであるドルトン社製の陶器ボトルにボトリングしたものです。

流通時期は、国内WEBには「1992年にIWSで金賞を受賞したグランツの21年が使われている」という情報が広まっており、一見すると1990年代のようにも読めますが、ボトム部分にRoyal doulton tableware ltd 1981の表記。この1981は、同社のその他の陶磁器製品で流通時期によって異なる年数表記があり、ボトルの製造年と考えられます。
広く見て、1981年に製造されたものが1990年代にかけて販売されたというところでしょうか。

この仮説から流通時期を1981年流通と仮定すると、原酒構成は1950年代後半から1960年。この時期はグレンフィディックにパフュームも出ていませんし、バルヴェニーもいい時期です。



その香味はこってりとしたオールドタイプのシェリー感。ブレンデッドですが、リッチな味わいに飲み慣れた人でなければそれと気づけないのではないかと思うほどです。
飲んでいて連想したのが、ほぼ同時期に流通したと思われるバルヴェニー・クラシック(上記写真)。グランツ21年の方が熟成年数が長いのか、ウッディネスが強く感じられる一方で香味も多彩。カラメルソースでコーティングしたようなシェリー感はかなり近いものがあり、同じ原酒を使っているであろう結びつきが感じられます。

当時はブレンデッド全盛時代だったこともあって、バルヴェニーよりグランツ21年の方が流通量は多く価格も安価。こういうボトルは代替品として扱いやすいのでありがたいですね(笑)。

グレンギリー 15年 1990年代流通 43%

カテゴリ:
GLEN GARIOCH
Aged 15 years
1990's
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:はちみつ梅やレモンのような柔らかい酸味を感じる香り立ち。続いて乾いた麦芽、干しわらの軽やかな香ばしさとオーク系の華やかなアロマが感じられる。

味:とろみのある蜜の甘みと干し草、麦芽風味。最初はオイリーで少し油のようなクセがあるが、徐々にドライでオーキーなフルーティーさ、余韻にかけて淡いピートフレーバーが染み込むように優しく残る。

華やかでらしさがあるグレンギリー。オフィシャルらしくバランスも整っているが、加水すると水っぽさが強くなりバランスが崩れてしまう。ストレートで。


グレンギリー蒸留所において、1980年代は魔の時代です。
それを好む人にとっては天国ですが、大多数の飲み手にとっては受け入れがたい、パフューム香の一つに分類されるソーピーなあの味わいが出てしまった時期。当時はボウモアも同じ病にかかっていましたが、どちらも所有者がモリソンボウモア社の時代でした。

パフューム香の原因は、蒸留設備の汚れ、熱交換器による過冷却、糖化の際の菌による仕業、発酵時の泡の発生を抑える薬剤、熟成時の害虫駆除剤散布、蒸留所マネージャーの趣味、ボトリング後の熱変化・・・など、確度の高そうなものから噂レベルまで、様々な要因をこれまで耳にしてきました。
確たるものは分かっていないとされているものの、グレンギリーもボウモアも、1990年代にはパフュームから脱却し、かつてに通じる味わいを取り戻した訳で、メーカー側は何が原因かある程度突き止めているのではないかと考えています。(ソースが定かではないですが、モリソンボウモアの場合は熱交換器が問題だったという説が有力ですね。)
今回のボトルは、熟成年数を差し引くと魔の時代にかかろうかという時期の流通品。後の世代である"鹿のイラスト"がはっきりと書かれた15年はしっかりソーピーです。
恐る恐る口に含むと・・・これがセーフ。蒸留時期は恐らく1970年代後半頃で、麦芽風味とスモーキーさ、そしてほのかにオイリーなクセのある好ましいグレンギリーの味わいが、華やかなオークフレーバーと合わせて広がります。

近年のグレンギリーは1997年からノンピート仕様主体に切り替わっており、こうした古き良き時代のグレンギリーは絶滅危惧種になりつつあります。
加えて、上述のパフューム時代から脱却した後のグレンギリー12年(ダンピーボトル)が、日本への正規輸入終了のみならず、本国でも生産終了という話も聞こえてきました。
ノンエイジのグレンギリーも悪くないのですが、ちょっと熟成感が足りない気がするんですよね。。。それほど高騰しているボトルでもないですし、ギリー好きな方は探してみても良いかもしれません。

カリラ 35年 1982-2017 ケイデンヘッド175周年記念 55.1%

カテゴリ:
CAOLILA
CADENHEAD'S
175th Anniversary 
Aged 35 years 
Distilled 1982
Bottled 2017
Cask type Bourbon Hogshead
700ml 55.1%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅持ち寄り会
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:ドライマンゴーやオレンジの綺麗な酸味、乾いた麦芽、魚介系の出汁感を伴うピートスモーク。はじめはツンとした刺激を伴ってドライだが、スワリングしていると蜂蜜のような甘みも開いてくる

味:口当たりは柔らかく薄めたハチミツ、オレンジやアプリコットを思わせる甘みと酸味、香り同様にダシっぽいニュアンス。合わせて灰のようなピートフレーバーが広がり、存在感を増していく。
余韻は心地よくドライで、華やかなウッディネスとスモーキーさが混ざり合う。

樽感と酒質、アイラらしいピートやダシ感とフルーティーさのバランスが良く、実に整っている1本。しっかりと磨き上げられている。
少量加水すると甘みが引き立ち飲みやすくはなるが、失う要素の方が多く感じる。飲み口は度数を感じさせない柔らかさであり、ストレートで楽しみたい。


懐かしいだけでなく確実に進化している、一言でそんなカリラです。
自分がウイスキーに本格的にハマり始めた頃、1980年代前半で25〜30年熟成のカリラのリリースは特段珍しくなく、かなりの本数がリリースされていました。
70年代のクリアな味わいに比べ、80年代前半のカリラはいい意味で雑味があり、ピートフレーバーと酸味を伴うモルティーな香味が特徴。これがカリラのキャラクターか、という認識があったのですが、気がつけば周囲は80年代、90年代をすっ飛ばして2000年代の短熟ばかり。それらは幻の如く消え去ってしまいました。

あの頃もっと買っておけば。。。なんて先に立たない後悔を心に持つ飲み手は自分だけではないはずです。
他方で、当時のカリラはリリースが多かったこともあって、BARを巡れば出会えないわけではないですし、飲もうと思えばまだ飲めるボトルでもあります。
しかしはたしてそれらが30年以上の熟成を経ていたらどんなカリラに仕上がっていたか、知る術はありません。
そんな中、ボトラーズのケイデンヘッドから創業175周年を記念したラインナップの一つとして、久々に1980年代前半蒸留のカリラがリリースされました。

ケイデンヘッド社のリリースは、酒質を楽しませるような樽使いと言いますか、他のボトラーズ(GMやDTなど)と比べてあまり樽感の主張しないボトルが中心だった印象があります。
だからこそか、今回のカリラも樽感が過度に主張せず、程よい果実味が付与されてバランスが取れている。熟成によって失ったものは確かにありますが、失ったというより過剰なものを削ぎ落とし、時間をかけて磨き上げたという感じで、双方のらしさを備えつつ端正で美しい仕上がりなのです。

冒頭触れたように、自分にとっては懐かしさを覚えつつも、その仕上がり具合にさらなる進化と魅力を感じる1杯。これは今の時代にあって気合いを感じるリリースですね。度数も55%と保たれており、さらなる変化も期待できます。
今回のテイスティングは開封直後でしたので、1ヶ月後、2ヶ月後と様子を見たいボトルでもありました。
マッスルKさん、男気溢れる抜栓、感謝です!

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