アードベッグ 10年 1970年代流通 オフィシャル

カテゴリ:
ARDBEG
Guaranteed 10 years old
1970's
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml程度
場所:個人宅(KuMC)
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:淡い薬品香と合わせて魚介系のダシっぽさを感じるアロマ、じわじわと広がるピートスモークや牧草のニュアンス、麦芽香。時間経過でカステラのような甘みも感じられる。

味:スムーズでややとろみのある口当たり。香ばしい麦芽風味と焦げた木材、黒土系統のピートに加え舌の上には塩気とコクが感じられる。
余韻は柔らかいスモーキーフレーバーが広がり、染み込むように長く続く。

全体的に香味の角に丸みがあり、麦系のフレーバーにアイラ要素というしみじみうまいモルトウイスキー。これぞ地の酒という味わいを堪能できる。


1970年代、ハイラムウォーカー系列だった時代のアードベッグ。同銘柄と言えば濃い緑色のグリーントールボトルが一般的ですが、この時代はクリアボトルで外箱には麦の穂というデザイン。味わいのみならず見た目の雰囲気もずいぶん異なっています。

今のアードベッグはエステリーでクリア、ヨード系のニュアンスがより強調されたスタイルですが、この当時のアードベッグは麦系のフレーバーがしっかりとあり、ピートフレーバーもどこか優しく染み込むような系統。俺が俺がと主張しない、しみじみとした旨さがあります。

このアードベッグを飲んで感じるのが、当然な話とも言えますが同時期のバランタインにあるピートフレーバーです。
バランタインと言えばアードベッグを含む魔法の7柱が有名ですが、現在のバランタインはオーナー企業の違いなどから、当時とは構成原酒が異なり、キーモルトはグレントファース、スキャパ、ミルトンダフ、グレンバーギーとなっています。(そこに隠し味的に様々な原酒を使っているとのこと。)
比較的手に入るところでは1970年代初頭あたりに流通したクリアボトルのファイネストなど、余韻に広がる要素との共通点が感じられるように思います。

かつてバランタインを大きく支援した、ハイラムウォーカー社が提供した原酒の一角。今の煙とヨードにまみれるスタイルも嫌いじゃないですが、ブレンドされて生きるようなこのしみじみ感は知っておいて損なく。
今回持ち寄り会の中でテイスティングさせて頂きましたが、非常にいい体験をすることが出来ました。

グレングラント 12年 ノンチルフィルタード 48% 免税向け

カテゴリ:
GLENGRANT 
Aged 12 years
Non Chill-Filtered
Travel Exclusive
1000ml 48%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:ツンとした刺激を伴う華やかなオーク香。乾いたウッディなアロマが主体だが、洋梨、バニラウェハースなどの甘みもある。

味:ドライでオーキー、軽やかな刺激を伴う口当たり。乾いた木材に若干の溶剤っぽさ、淡くドライパイナップル、バニラの甘み。
余韻はウッディでドライ、無糖シリアルのほろ苦さと香ばしさを伴う長い余韻。

バーボン樽を思わせるオークフレーバーが主体。ストレートではウッディーな刺激が強く感じられるが、加水すると柑橘系の爽やかさ、林檎、麦芽風味も開いてバランスが良くなる。
ハイボールでは適度なコクを残しつつ、爽やかな木のアロマが鼻腔に抜けていく、夏向けの1本。


昨年末にリニューアルしたグレングラント12年。国内に展開されている通常販売品は40%加水品でしたが、免税店向けで展開されたリリースは48%のノンチルフィルタードで、ウイスキー好きがグッとくるスペック。加えて価格もリッターボトルで7000〜8000円程と、700ml換算で通常品と大差なく、手を出しやすい設定なのも魅力的です。

だったら高度数でノンチル仕様の12年の方が買いじゃないか(アサヒビールは40%だけ正規輸入して何やってるんだ)と思うのですが、ストレートでそのまま飲む分には果実味はどちらも同じくらい。逆にバランスは40%加水品の方が整っており、飲み進めやすい印象を受けました。
今回テイスティングしたノンチル品は樽由来の要素は強いのですが、その分木材由来のえぐみや苦味も強く、まだ調整の余地が残されている印象。ターゲットをどこに置くかで考えて作られてるんだなと、それぞれのボトルに見るところがあったのは興味深かったですね。
(40%加水、国内正規品のグレングラント12年。華やかでフルーティー、バランスの良い仕上がり。)

以上のように、近年リリースの中では整ってよくできたボトルですが、辛口なことを書くとグレンリベットにしてもグレングラントにしても、あるいはロングモーンにしても近年のスペイサイドモルトに感じるのが酒質の軽さ。ライトでスパイシー、チクチクとしたエッジの鋭い刺激は3回蒸留のモルトのようでもあります。
そこに今回のようなバーボン樽主体のオークフレーバーが出てくると、樽の味が主体になってしまうのが傾向として感じます。

では昔からこういうキャラクターだったかというと、けっしてそんなことはなく。昔はもっと野暮ったく、ピートの効いた個性の感じられるスタイルでした。
時代とともに変わっていくハウススタイル、いい部分も物足りない部分もあります。洗練されたキャラクターが今後どの方向に向かうのか、今の時代を楽しみつつ、先に起こりうる変化も楽しみにしたいと思います。

ポールラッシュ生誕120周年記念 シングルモルトウイスキー 58% 清里 萌木の村

カテゴリ:
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SUNTORY WHISKY
HAKUSHU
Paul Rush 120th Anniversary of Birth
Cask type Bourbon Barrel
700ml 58%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:20ml程度
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:ややドライでスモーキー。アーモンドや胡桃を思わせるナッティーさ、奥には古い家具、土っぽさ。スワリングすると蜂蜜の甘み、エステリーでアプリコットや煮た林檎を思わせる華やかさが開く。時間経過で古樽のニュアンスが馴染んで、熟成庫の中にいるようなアロマに。

味:ジンジンとした刺激を伴うスパイシーでウッディー、軽くえぐみを伴う口当たり。アプリコットジャムやドライオレンジ、甘酸っぱいオーキーなフレーバーから麦芽風味も開いてくる。
しっかりとしたボディ、余韻はドライ、スパイシーでハイトーン。微かなピートを伴い長く続く。

複雑で多層的なウイスキー。日本的な樽感と熟成を内包したバランスの良さに加え、少量加水するとピートフレーバーが開き、余韻にかけての甘酸っぱいモルティーさと相まってなんとも自分好みの味わいに進化する。
歴代の清里限定ウイスキー(フィールドバレエ25th、26th、27th)のどれとも見劣りしないだけでなく、香味の強さはそれ以上の出来栄え。


清里ウイスキーフェスティバル2017に合わせ、主催である「萌木の村」が制作したウイスキー。生産本数は120本。かつて清里地方の開拓のみならず、日本の戦後の復興において大きな影響と功績のあった、ポールラッシュ氏の生誕120周年を記念したシングルモルトウイスキーでもあります。

原酒の選定に当たっては、山梨の地ゆかりのモルトウイスキーを複数樽バッティングし、カスクストレングスでボトリング。樽構成はバーボンバレルのみで、ポール氏の開拓者精神にちなんでか、樽に制限をかけた中で目指す味わいを実現するチャレンジでもあったのだそうです。
飲んでみるとジャパニーズらしさの中に単一樽とは思えない複雑さと多層感があり、果実味の中にヘビーピート原酒由来と思われるスモーキーフレーバーが潜む。最初は複数樽どころか複数蒸留所かと思ったほどで、スペックを聞いて驚かされました。
熟成年数は明らかにされていないものの、体感で20年前後の原酒を中心とした構成に、30年クラスの古酒も使われたのではないかという樽感も感じられます。
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このポールラッシュ生誕120周年記念シングルモルトウイスキーは一般販売はしておらず、基本的には同萌木の村のホテルBARでの提供となるそうですが、本日から開催される清里ウイスキーフェスティバル2017においては提供ボトルの一つとなっています。
萌木の村は昨年起きた火災によって、主たる設備の一つであったレストランが消失する悲しい出来事がありました。
しかし、多くの愛好家からの支援や、同施設を経営される舩木氏のポール氏のごとく不屈のフロンティアスピリットによって、再建まであと少しというところまで来ています。

この週末の山梨の天候は晴れ。数日前まで雨予報だったのが、週末が近づくにつれて見る見る回復してきました。いまや予報上は絶好のイベント日和です。
イベントに参加される方は、是非記念ウイスキーもテイスティングしてみてください。

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