清里フィールドバレエ 28th イチローズモルト ブレンデッドウイスキー 48%

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KIYOSATO FIELD BALLET
28th Anniversary
Ichiro's Malt & Garin Japanese Blended
700ml 48%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後1週間以内
評価:★★★★★★★(7)

香り:熟成感を感じる重みのある香り立ち。キャラメルやチョコチップクッキー、ナッツ、杏ジャムの酸味、ハーブの爽やかさ・・・まるで熟成庫の中にいるような多層的なアロマ。時間経過でウッディネス、ハーブを思わせるニュアンスが強くなっていく。

味:とろりとコクのある口当たり、黒砂糖、キャラメリゼしたアーモンドや胡桃の甘みとほろ苦さを感じた後、ドライアプリコット、熟成梅酒、落ち着いた甘酸っぱさからじわじわとタンニンが広がっていく。樽感は強いが決してしつこくない。
余韻は柔らかくドライ、酸味を伴うウッディネスとほのかなえぐみ。滑らかに伸びていく。

クラフトウイスキーとして完成度の高いブレンデッド。熟成感は体感30年ほどだが、それを越える古酒、傾向の違う原酒が使われてバランスが取られている印象もある。羽生らしさと重厚感のある香味、余韻にかけてのまとまり、柔らかさに注目したい。
加水すると飲み口はさらに柔らかく、樽感もおだやかになってポジティブな変化が見られる一方、甘みや果実味が多少犠牲になる。チェイサー片手にストレートで楽しみたい。
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清里、萌木の村で毎年夏に開催されているバレエの野外公演、清里フィールドバレエ。今まさに28年目の公演が行われている最中であり、今年もその公演を記念したウイスキーがリリースされました。

記念ウイスキーのリリースは3年前の25周年から始まり、今作のブレンダーは26周年、27周年に引き続きイチローズモルトの肥土伊知郎氏。
閉鎖蒸留所である羽生蒸留所のモルト原酒と川崎蒸留所のグレーンを使ったブレンデッドウイスキーで、どちらも原酒のストックが非常に少なくなり、もうリリースできないのではないか。。。という話も囁かれる中。貴重な原酒を使ったリリースを継続しているのは、イチローズモルトと萌木の村との結びつきの強さを感じます。

今回のリリース、純粋にブレンデッドとして26周年、27周年以上によく出来ている1本だと思います。
これまでのイチローズモルトによる2作、26周年は長期熟成グレーンのバニラ系のニュアンスが強く、27周年はモルト、樽が強く出て荒々しさも残る構成。
そして今年の28周年は、長期熟成モルトとグレーンがバランス良く調和、これまでと傾向が異なり濃厚でコクがありながら、ともすればしつこくなりがちな味わいが余韻にかけて穏やかにまとまる。
観劇が終幕することへの一抹の寂しさと、後に残るウッディネスがじんじんと興奮の名残のごとく感じられるのです。

勿論、同じ★7評価の中でもこれ以上に綺麗で華やかで、そしてスムーズなブレンデッドウイスキーが他に無いわけではありません。ネガティブな要素も少なからずあります。
ただ、今回のボトルはクラフトやジャパニーズの「らしさ」を備えつつ、多層的な香味として高いレベルでまとまっている点が素直に良さとして感じられるのです。
ウイスキーは時間と環境が育てるものだということを再認識した1杯でした。

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この2017年、萌木の村からはこれで3本もの記念ウイスキーがリリースされたことになりました。
ポールラッシュ生誕120周年のシングルモルトとメーカーズマークがそれぞれ4月と7月に。そしてこのフィールドバレエが8月に。タイミングもあるとは言え凄いペースです。
オーナーであり企画人でもある舩木氏は「清里の奇跡」と表現していましたが、願うだけで奇跡は起きないわけで、きっと様々な苦労や調整があったのだと思います。

清里フィールドバレエ記念ボトルは、サントリーが手掛けた25周年ボトルの、美しく華やかな味わいに始まったストーリーが、中間から後半は様々な動きと伏線が絡まる重々しい内容となり、今年のそれは起承転結で言うフィニッシュ、フィナーレとしてぴったりな内容でした。
順を追うならこの後はカーテンコール・・・。来年はどういったリリースが行われるのか、今から楽しみです。

グレンドロナック 22年 1993-2016 54.4% #1455 ウィスクイー向け

カテゴリ:
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GLENDRONACH
EXCLUSIVERY BOTTLED FOR WHISKY-E,LTD JAPAN
Aged 22 years
Distilled 1993
Bottled 2016
Cask type Oloroso Sherry Punchon #1455
700ml 54.4%

グラス:サントリーテスティング
量:30ml
時期:不明
場所:BAR飲み@LIVET
暫定評価:★★★★★★(6)

香り: 華やかさと淡いシェリー感のある香り立ち。キャラメリゼ、オレンジママレード、ほのかにドライアプリコットを思わせる酸味。時間経過で麦芽を思わせるアロマも感じられる。

味: 少し硬さを感じる口当たり。ブラウンシュガー、オレンジやリンゴのカラメル煮、そして麦芽風味、バニラの甘み。ボディにしっかりとした厚みがあり、樽由来の香味から麦感が広がるよう。
余韻はドライで染み込むようなタンニン、ウッディネス。スパイスを思わせる香味、ほろ苦さが序盤の甘みと共に残る。

シェリー系のニュアンスだけでなく、麦芽風味やアメリカンホワイトオーク由来のフレーバーなど、バランス型の1本。ともすれば濃厚シェリーに振れがちなドロナックにあって、酒質由来のフレーバーまで楽しめる中々無いタイプともいえる。熟成感も程よく。加水するとまろやかな口当たりに麦感が強く出てこれもGOOD。


ここ数年リリースの多い1990年代のグレンドロナック。ドロナックは1996年から2002年まで蒸留を休止しているので、1990年代ビンテージは貴重になりつつあります。
その樽構成は、2002年の再稼動後はバーボン樽などもありますが、この90年代はほぼシェリー系のリリースで、それでいてシェリーはシェリーでも、アメリカンホワイトオークだけでなくスパニッシュオーク樽もあれば、オロロソではないPX、リフィルのような淡いタイプ・・・まあとにかく様々なリリースが行われています。
ただまあ、総じてシェリー感の濃いものが多いですね。

一部では1993はグレンドロナックの当たり年なんていう評価もあるくらいですが、樽次第で当たりもあればそうでもないものもあるため、個人的には玉石混合の時期だなと。
その93ドロナックの中にあって、今回の1本はテイスティングの通りバランス型のシェリー感に加え、酒質由来の風味が刺々しくなく丸みを帯び、嫌味少なくバランス良くまとまっている。
どシェリーこそドロナック的なイメージがありますが、そのシェリー感を支える酒質の部分に良さが見出せるこのボトルから得られる経験は、その他のドロナックリリースを飲む上でも良い経験になると感じました。

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さて、グレンドロナックつながりで、合わせてご紹介。
1993前後のビンテージは、直近ではWHISKY HOOPから1993と1994、それぞれキャラクターの異なるボトルが会員向けに同時にリリースされ、愛好家から注目を集めています。

22年のオロロソシェリーパンチョン#320はリフィルアメリカンオークシェリーという感じの樽感。
香りのシェリー感は淡く、ツンとスパイシーでハーブの香気と酸味が混じる爽やかなウッディネス、ポップコーンやビスケットの香ばしさ。味わいはとろりとしたブラウンシュガーの甘み、余韻はウッディーでドライなフィニッシュ。
今回のウィスクイー向けと同じくパンチョン樽で淡いシェリー感ですが、アタックはこちらの方が強く感じます。(っていうかパンチョンで736本ってどういうことやねんw)

そして23年のオロロソシェリーバット#826は・・・アメリカンホワイトオーク、それも結構な古樽という印象。
古酒感のある落ち着いたシェリー感で、とろりとリッチな甘みのある香り立ち。味わいはダークフルーツケーキのようで甘みの中にシロップ漬けのドライフルーツ、そして余韻にしたがって熟したフルーツ、ブランデーのような香味がドライな舌触りとあわせて広がっていきます。 

キャラクターの異なるこの2本、どちらを好むかは飲み手次第とは言え、わかりやすく美味しいのは23年。近年この手香味を持ったシェリー系ってリリース少ないですし、個人的には頭一つ抜けた完成度と感じます。

先に書いたように、グレンドロナックの1990年代はリリースが集中しているだけにいつ迄リリースされるかわかりません。
樽次第で玉石混合なのは否めませんが、言い換えれば先に書いたようにさまざまなキャラクターが魅力でもあり、 こうした飲み比べが出来るのも今だからこそですね。

笹の川酒造 963 ブレンデッドウイスキー 黒ラベル 46%

カテゴリ:
963
MALT & GRAIN
FINE BLENDED WHISKY
SASANOKAWA SHUZO
700ml 46%

グラス: 木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後3ヶ月程度
評価:★★★★★(4-5)

香り:透明感のある香り立ち。乳酸系の酸味、塩素、シトラスの爽やかさと焦げたようなスモーキーさ。徐々にローストナッツを思わせる香ばしさもある。

味:ドライな口当たりとあわせてとろりとしたオイリーな甘みのある粘性、ピリピリとしたスパイスの刺激、酸味を伴う麦芽風味にスモーキーフレーバーがしっかりと広がる。
余韻はドライでピーティーでスモーキー、根菜を思わせる苦味、焦げたようなピートの香味がしっかりと長く続く。

ピーティーでモルティーなブレンデッドウイスキー。原酒の若さ故やや単調な味わいではあるが、その分ピートレフレーバーという個性が際立っている。ドライな飲み口に反してボディもそこそこあり、ストレート以外にロック、そしてハイボール、あるいは最近流行りのシビハイなど用途は多い。


今年3月頃、笹の川酒造と福島県南酒造がリリースしたブレンデッドウイスキーの新商品。開封直後から味わい的に夏向きだなと、ブログ掲載時期をずらしたところ、気が付いたら8月に入ってしまっていました。
いやぁ、月日が経つのは早い。。。 最近特に早い。。。(笑)

この963シリーズは輸入原酒も含めて幅広く原酒を使って作る、福島県南酒販のプライベートブランドの一つです。
昨年は963の8年や21年が50%オーバーの仕様でリリースされ、特に21年が某ウイスキー雑誌で高評価されるなど注目も集めました。
今回テイスティングしている963の第二弾となるNA(黒ラベル、赤ラベル)シリーズは、46%加水で価格を抑えるために比較的若い原酒を使用。赤はハイランドタイプ、黒はアイラ系のスモーキーな構成、どこかで聞いたような住み分けですが、程価格帯の無個性なウイスキーから脱却し、モルトの尖った個性を付与する方向性でブレンドされています。

黒ラベルについては若いは若いのですが、嫌味に感じるほどの未熟香はなく、クリアでドライ、余計な要素が少ない分ピートフレーバーが際立ってブレンドの個性を楽しめる味わい。また、モルト比率も多めなのでしょう、結構しっかりモルティーで、例えば若いカリラやアードモアに共通する香味も感じられます。


(笹の川酒造・安積蒸留所でカリラというと思い出すのが貯蔵庫に転がっていたカリラの古樽。中身は既にカリラではないウイスキーカスクだが、こうした樽があるのは同社が長くウイスキーづくりに関わってきた証でもある。)

ウイスキーづくりはサントリーやディアジオのように多種多様な原酒を持てる場合を除き、特にクラフトの場合は作れる商品の方向性に限りがあり、しかも大体どの会社も同じところに収束する印象があります。
すると1本あたりのコストは大手の方が安く済むので、どうしてもクラフト系のブランドは割高になってしまいます。これはどの業界も同じような状況ですね。
ではクラフトは何を武器に大手と戦うか、一つは同じ市場で戦わない、大手が出さないような味、個性的な商品を作っていくのが一案。
そしてもう一つは、地域に根ざした活動で、ご当地アイドル的に一定の市場を確保する方法。

この963の黒、赤は個性という点で面白いウイスキーを作ってきたと思います。バランスよりも尖った味わい、しかしどちらのタイプもスコッチ・ジャパニーズ全体で珍しくないので、昨年試作品を見せてもらった日本酒酵母のウイスキーや現地のワインやリキュールなど何か使えないかと感じるところ。
後は963の(福島県郡山市を中心とした郵便番号から命名)このブランドがいかに現地でファンを獲得するか。現地の百貨店などではテイスティングイベントも行われているようですし、昨年募集されたカスク共同オーナーも素晴らしい企画でした。手間がかかるだけでなくトライ&エラーも続くと思いますが、今後も引き続き面白いウイスキーを作っていって欲しいです。

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