ウィスク・イーがベンリアック社の3ブランド販売終了を発表

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グレンドロナック、ベンリアック、グレングラッサ。
ウィスク・イーが、日本国内への正規輸入を行なっていたベンリアック社の3蒸留所のラインナップ各種ですが、2017年12月を持って取り扱いを終了することが通知されました。

上記3蒸留所はベンリアック社傘下のブランドで、ウィスク・イーが代理店契約を締結して日本国内への正規輸入を行なっていました。 聞くところでは、社長同士が仲が良く、だいぶ優遇してもらっていた模様。 
ところが昨年、そのベンリアック社をアメリカのブラウンフォーマンが買収。ウィスク・イーとの契約が白紙化されるのではないか、という噂も出ていました。

実際、今年のウイスキーライブでウィスク・イー社のブースはキルホーマンのみ。そうなんだろうなーと思っていた中で、いよいよくるものが来たか、という感じです。
当然ですが、今回の取り扱い終了に伴う対象は上記3銘柄の正規ラインナップ全て。ウィスク・イーのWEBページには10月5日時点でまだラインナップ情報がありますが、結構な数が該当します。
※ウイスク・イー取り扱い蒸留所一覧

さて、ブラウンフォーマンとはアサヒビールが2012年に代理店契約を結んでいるため、今後はアサヒビールを通じてグレンドロナック、ベンリアック、グレングラッサの正規輸入が継続される可能性はあります。
もっとも正規品以外に並行輸入も一定数あるブランドなので、取り扱い終了=直ちに絶滅、終売という訳ではありません。
他方、現在ウィスク・イー経由で販売されているラインナップが、そのまま丸っとタイムロスなく販売継続されるとは考えにくく、一時的に並行品のみの市場流通となって、品薄、値上げ、あるいは他社の話ですがラフロイグ10年カスクストレングスのように国内終売扱いになる可能性は考えられます。

例えば濃厚シェリー系として人気がある、グレンドロナック18年や21年はその筆頭です。
元々同リリースはグレンドロナック蒸留所の休止期間の関係から原酒的に無理をしたリリースが行われており、いつ終売になってもおかしくない銘柄。実際苦労してロットを確保していたようですが、そのウィスク・イーさんの手を離れると・・・。
アサヒビールさんを信用しない訳じゃないですが、自前の銘柄と輸入品、果たしてどちらがを優先するかはこれまでの流れを見ているといささか不安になってしまいます。

まあ流石にベンリアックの10〜12年クラス、グレンドロナック12年シェリーのような人気のあるスタンダードは輸入再開されると思いますが、双方のリミテッドリリースは今以上に並行品任せになってしまうかも。BARや飲食関係の皆様におかれては、売れ筋は押さえておいてもいいかもしれません。
年末年始にかけての商品展開、市場の状況はアンテナを立てて様子を見ていきたいと思います。

最後に。ウィスク・イーの皆様。
これまで関連する多くのリリースや様々なイベント等でお世話になりました!
特に1960〜70年代のフルーティーベンリアックや、1971〜72のベリー感炸裂グレンドロナック等、多くの名作が日本市場に展開されたのはウィスク・イーの働きが大きかったと思いますし、我々世代の飲み手は、そこからファンとなった方々も多くいます。
今後はスプリングバンクやアランなど、他の蒸留所での展開を楽しみにしております。

ニッカウイスキー 余市 モスカテルウッドフィニッシュ 2017 46%

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NIKKA WHISKY
YOICHI
Moscatel Wood Finish
Bottled in 2017
700ml 46%

グラス:リーデルヴィノテクスピリッツ
量:30ml
場所:BAR飲み@ナデューラ
時期:開封後1週間程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:やや若くフレッシュな酸味と共に、香ばしい麦芽香とスモーキーさ。ライムやレモンピールの柑橘香、上乗せするようなねっとりとしたサルタナレーズン、オレンジママレードを思わせる甘いアロマ。

味:コクがあってねっとりとした口当たり。オレンジママレード、ブラウンシュガー、甘みは徐々に砂糖漬けレモンピールのように酸味のある傾向に変化する。
中間からウッディなタンニン、焦げたトースト、土っぽさを伴うピートがしっかりと開く。
余韻はほろ苦くドライでややハイトーン。ヒリヒリとした刺激にピートフレーバーが長く続く。

多少ちぐはぐなところはあるが、余市らしくボディに厚みがあり、モスカテル樽の樽感を受け止めている。また原酒の若さはピートがネガティブな部分をマスクして、力技でバランスをとっているイメージ。
加水も悪くない、樽感が馴染んでストレートとは違う一体感を楽しめる。
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昨日に引き続き、ニッカのリミテッドリリース。今日は余市のモスカテルウッドフィニッシュです。
リリース背景の推測や、モスカテルワインの紹介は昨日一気にやってしまいましたので、その部分は割愛させていただくとして・・・今日はベースとなっている余市の酒質や全体の構成の話から。

ご参考:ニッカウイスキー宮城峡モスカテルウッドフィニッシュ2017
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1068065018.html

今回のリミテッドリリース、宮城峡のほうは、樽由来の甘みやウッディーさに対して原酒の若さが目立つようなちぐはぐな味わいに時間が必要と感じたところ。この余市もまた若さはあるのですが、それが気にならないというか、冗長気味ですが酒質と樽感、そしてピート、それらが主張しあった上でバランスがとれていると感じます。

使われている原酒の熟成感は、オフィシャルの構成からプラスアルファという感じで、幅広い原酒が使われて平均10年程度。長熟原酒がふんだんにという感じではないですね。
よもやフィニッシュの期間分だけ通常のシングルモルトのレシピにプラスされたとは思いたくはないですが、共通するニュアンスは樽感の奥に垣間見えます。
他方、この手の酒精強化ワイン樽で熟成感されたウイスキーは、熟成期間が長すぎると酒質部分の香味を樽感が圧殺してしまいますので、フィニッシュの香味がわかり、酒質由来の香味もわかりという、蒸留所としての個性を楽しむ上での熟成のバランスはこの辺りがちょうど良いのかもしれません。

モスカテル樽のシェリー樽に通じる甘くビターな香味に、コクと香ばしさのある余市の酒質。スモーキーなピートフレーバー。
通常のシングルモルト余市と飲み比べなどで、樽由来の香味の違いなどが伝わりやすくあるとも感じます。 

ニッカウイスキー 宮城峡 モスカテルウッドフィニッシュ 2017 46%

カテゴリ:
NIKKA WHISKY
MIYAGIKYO
Moscatel Wood Finish
Bottled 2017
700ml 46%

グラス:リーデルヴィノテクスピリッツ
量:30ml
場所:BAR飲み@ナデューラ
時期:開封後1週間程度
暫定評価:★★★★★(5-6)

香り:粘性のある飲み口を連想させる甘いアロマと、奥から若さに伴う刺激。シロップを入れた紅茶、ブラウンシュガー、ドライオレンジ、微かな硫黄香。時間経過で甘みが開いてくる。

味:粘性とピリピリとした刺激のある口当たり。オレンジママレード、サルタナレーズン、シェリーオークのウッディネスと微かに硫黄。焼き芋のような焦げた甘みがじわじわと広がる。
余韻はウッディでカカオの苦味、収斂するようなドライなフィニッシュ。

甘口だが苦味も強い構成。加水すると樽感が軽減されるためかベースとなる酒質の若さ、薄めたリモンチェッロのようなフレッシュな香味が際立つ一方、硫黄も浮ついて感じられる。

   
アサヒビール(ニッカウイスキー)が日本、欧州・米国、それぞれの市場向けに展開中のシングルモルトのリミテッドエディション。
日本向けは9月26日に発売された、余市、宮城峡のモスカテルウッドフィニッシュ。欧州・米国市場向けとしてはラムカスクフィニッシュが、それぞれ11月に3500本限定で発売予定となっています。

今回の限定品は、ニッカウイスキーでは珍しいフィニッシュタイプです。
同社のシングルモルトは、ここ10年ほど宮城峡はシェリー樽、余市は新樽が王道路線で、フィニッシュで仕上げたボトルは明示的にリリースされていなかったと記憶しています。(竹鶴ではシェリーフィニッシュなどがありましたが。。。)
新しい製法へのチャレンジと言える動きですが、本音はシングルモルト需要が高まる中、今使える原酒のキャラクターを短期間で変えるためのフィニッシュ、というところでしょうか。
こうした手法は決して悪いものではなく、前例としてはグレンモーレンジなどで積極的に使われていますし、追加熟成期間を長くとったダブルマチュアードはMHD社のディスティラリーエディションでも毎年お馴染み。良い樽と追加熟成期間を見極められれば、充分面白いモノが出来ると思います。

フィニッシュに使われたモスカテルカスク、つまり元々熟成されていたモスカテルワインは、マスカットタイプの葡萄品種を天日干しにし、糖度を高めた上で醸造する甘口の酒精強化ワインです。
今回はポルトガル産が使われていますが、シェリー酒で知られるヘレスに加え、ヨーロッパ各地でもモスカテルワインは作らているようです。
平均的にはペドロヒメネスに次ぐ甘口なワインに位置付けられますが、単に甘口なだけではなく、フレッシュな酸味や果実味を備えているのが特徴。 特にポルトガル産のものはヘレス産に比べて熟成期間が短いものが多く、フレッシュな傾向が強くあるのだとか。

※モスカテルワインについては、ウイスキー仲間のTWD氏がTasters.jpに詳しくまとめています。

もっとも、基本的には酒精強化ワインの空き樽なので、普段飲みなれたオロロソシェリーオーク樽のウイスキーに共通するところもあります。
この宮城峡もとろりとした飲み口に、レーズン系のドライフルーツの甘み、ウッディーなタンニンがしっかり。そこにオレンジなどの柑橘を思わせる香味も混じってきて、この辺りがオロロソシェリーとは異なる、モスカテルらしさかなと感じられるところです。
全般的に悪い樽感ではないのですが、ほんの微かに硫黄香があるのは、ベースの原酒由来か、樽の処理なのか・・・。

っと、樽に関する前置きが長くなってしまいました。
とりとめない感じですが、最後にベースとなった原酒は、比較的若さの残ったタイプのもの。樽由来の香味の奥から、そうしたニュアンス、刺激が感じられます。
アサヒのニュースリリースやウイスキーマガジンの記載では、「通常」のシングルモルト宮城峡、シングルモルト余市ベースと読める書きぶりで、流石にいくらなんでも既製品のレシピをフィニッシュしただけ・・・なんて作り方は無いとは思いますが、通常品とリンクする比較的若い原酒が使われているのは間違いないと感じます。

この結果、原酒のキャラクターと強めに出ている樽感のちぐはぐ感が個人的に気になってしまったわけですが、開封後の時間変化でまとまって、また違う美味しさに繋がることを期待したいです。


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